●LITTLE BOY FRIEND 6●





●○●○● 一人  アキラ ●○●○●



「僕も意地が悪いな…」



進藤を帰した後、僕は自室に戻り、机の引き出しを開けた。

経口避妊薬――いわゆるピルの箱を取り出した。

もちろん僕は避妊の為に飲んでた訳じゃない。

不正出血が続いたり、生理が数ヶ月来なかったり。

僕はホルモンバランスがすぐ崩れる体質らしく、周期を整える為に以前からこれを使用していたんだ。

だから本当はゴムなんて付けなくても大丈夫だった。

(少なくとも、妊娠に関してだけを言えばね)


じゃあなぜ拒否したのか。

ゴムがないからそのまま挿れていい?赤ちゃんが出来たら責任取るから――という彼の態度にカチンときたからだ。

まだ17歳のくせに何が責任だ、生意気な。

本当に妊娠したら逃げるくせに。

ああいう男がいるから、世の中の女の子が泣くはめになるんだ。


……とはいえ、本当は残念がってる自分もいた。

彼に付けられた痕を鏡で確認すると、彼に揉まれて吸われた胸を触ってみると……次第に体が熱くなってくるのが分かった。


したかった…な……



布団の中に入って、僕は仕方なく一人で続きをしてみた。

他人からどんなイメージを持たれてるのかは知らないが、僕だって普通の女だ。

例えこの24年間男性経験がなくても、性欲がないわけじゃない。

自慰ぐらい…したことある。

進藤に触られてるつもりで自分で胸を揉み、進藤に触られてるつもりで自分で下半身も弄る。

今日は特にすごく濡れていた。

指一本くらいなら…するする入る。

進藤のアレはどれくらいの大きさなんだろう。

やっぱり最初は痛いのかな…なんて思いながら、指を出し入れしてみた。



「…は…ぁ…」


気持ちよくてどんどん息があがってくる。

進藤…。

進藤進藤進藤…。

さっき上に乗られた時の彼の重さや温かさを思い出しながら、クライマックスに向かっていった。



「……ぁ…も…」


♪〜♪〜〜♪〜♪〜〜


もう少し、というところで邪魔が入った。

汚れてない左手で携帯の画面を見ると、『進藤ヒカル』からの着信を知らせていた。

どうしようか迷ったけど、ピッと通話ボタンを押した。

体は起こしたけど、右手はまだ下着の中だ。

こんな状態で電話に出るなんて、僕って実は変態なんだろうか……


「……もしもし?進藤?」

『アキラさん?』

「…ああ」

『えっと…えっと…』


携帯越しなのに、進藤の何か言いたくてモジモジしてる様子が見て取れた。


「何だ?」

『えっと……』

「うん?」

『あの…さ、オレ…やっぱ我慢出来なくて…』

「……は?」

『だから…!やっぱ今日したくて…っ、駅前の薬局で買ってきたんだ!で、もうアキラさんの家の前なんだけど……入れてくれる…?』

「…え?え…っ!」


僕は大慌てで立ち上がって洗面所に向かった。

汚れた手をハンドソープで念入りに洗って、濡れた下着も新しいのに変えて。

準備が出来たところで、玄関のドアを開けた。



「アキラさん…」

「……入って」

「うん…!」


進藤を家に入れ、ドアに再び鍵をかけたところで――後ろから抱きしめられた。


「アキラ……」

といきなり呼び捨てにされる。

うなじにキスされて、髪に、頬に、そして唇に――


「――ん…っ、ん…ん…っ」


初めから舌を入れてくる激しいキスに、僕の頭も体も麻痺してくる。

気持ちいい……

体の芯からまたジュワッと、何かが溢れてきた気がした。


「あ…っ、こら…っ」


手が胸に伸びてきて、僕はストップをかけるように彼の手を押さえた。

ここでは嫌だ、と目で訴えると、一目散に僕の部屋に引っ張っていかれた。

さっきより乱暴に、布団に押し付けられる。


「アキラ…好きだ…」

「うん…僕も好きだよ…」


上からギュッと体を抱きしめられる。

……嬉しいな。

出来なくて残念だと思っていたのは僕だけじゃないんだ。

来週まで我慢出来ないくらい、薬局で新たに調達してくるくらい、進藤もしたかったんだ。

僕も彼の背中に手を回して、抱きしめ返した。


「…進藤…」

「アキラも…オレのことヒカルって呼んでくれる…?」

「ん…いいよ、ヒカル…」

「アキラ…」


またブラウスのボタンを外される。

でも今度は焦らさず下まで一気に。

ブラも取られ、おまけにスカートも、下着も全部。

あっという間に丸裸にされてしまった。

進藤も全部脱いでくる。

まだ17歳なのにしっかりと筋肉がついていて、大人の男の人の体だった。

もう既に勃ち上がってる彼の下半身は…思った以上に大きい。

挿れたら痛そう…、とまだ経験のない僕は逃げ腰になる。


「ん…っ――」


またキスしながら彼は僕の体に触れてきた。

口から首、胸にかけて、どんどん唇をずらされていく。

程よい力加減で胸を揉まれると、すごく気持ちよかった。

舌で愛撫されるのも…すごくいい。


「…ぁ……」

と勝手に口から声が漏れる。


「…ひゃっ!」


いきなり下半身にも手を伸ばされて、とっさに僕は脚を閉じてしまった。

でも進藤の手が優しく促してくるので…僕は恐る恐る少しずつ、足を広げていった。

ありえないくらいに既に濡れてしまっている下半身。

まだ全然触ってないのにこんな風になってるなんて…進藤にひかれないだろうか。

いやらしい女だと思われないだろうか…。


「…感じてくれてるんだ?」

「…え?」

「すっげぇ嬉しい…」

「…そう?」

「うん」


指を中に入れられた。

僕の指と違って、太いし、何だかゴツゴツしている。

僕の指使いと違って、中を確かめるように遠慮なく掻き回された。

少し怖いけど…気持ちいい。


「…ぁっ、…あ…ぁ…っ…」

「アキラ可愛い…。気持ちいいの…?」

「だっ…て…、…ぁ…んっ」

「な、もう…いい?声聞いてるだけでオレ出ちゃいそう…」

「…え…?」


一度僕から体を離した進藤が、ガサガサと鞄を漁りだした。

張り詰めたソレに、慣れない手つきで頑張って付けているのが薄目に見て取れた。

そして付け終えた彼が、再び僕の上に帰ってきて――その場所に当ててくる。


「――ん…っ」


……痛い。

ものすごく、痛い。

でもそれ以上に嬉しくて、感じてる自分がいた。


進藤と付き合い始めてもう2年。

僕ら…とうとう結ばれてしまったんだね……


「おかしくなりそう…」

「ん…僕も…」

「動いてもいい…?」

「…うん」


最初は遠慮気味に、徐々に早く、彼が腰を動かしてきた。

奥に進む度に声がもれて、引かれる度にも声が出る。

僕はずっと喘ぎ声というものを部屋に響き渡らしていた。


「アキラ…好き、大好き…っ」

「ん…僕…も…」

「ごめん、も…無理…」


最後に激しく打ち付けた後、彼は僕の胸に脱力した。

僕の中で彼のモノが痙攣してるのが分かる。

出た…のかな…なんて、欝すらと考えながら僕も一緒に息を整えた。


「はぁ…は…ぁ…」


よしよし、と頭を撫でてあげた。


「オレ…今すっげぇ幸せ…」

「僕も幸せだよ…」

「ホント?」

「うん。キミは気付いてないみたいだけど、僕もずっとキミと早く一つになりたいって思ってたから…」

「ホントに?」

「うん…」

「じゃ、もう一回いい?」

「……いいよ」


新たなゴムを付けた進藤が、また僕の中に入ってきた。

僕は今夜初めて、17歳の体力というものを思い知らされるのだった――








NEXT