●LITTLE GIRL FRIEND 54●
「今日は学校に行かなくていい。部屋で反省していなさい」
進藤さんにメールを打たされた後、僕は自分の部屋で謹慎させられた。
すぐに
「アキラさん、大丈夫?」
と母が様子を見に来てくれる。
「お父さんたら、外泊ぐらいで何もここまでしなくてもいいのに…」
「…お父さん、本当に進藤さんを訴えるつもりなんでしょうか…?」
「そんなことさせないから安心しなさい」
「でも…っ」
考えれば考えるほど不安になる。
お父さんは一度言い出したら聞かない人だ。
僕らの言い分なんて…言い訳なんて、絶対に聞いてくれない。
どうしよう。
進藤さんが捕まっちゃったらどうしよう。
僕のせいだ。
進藤さんはずっと前から忠告してくれていたのに―――
『今終局した。今から行くから』
16時過ぎに進藤さんから再びメールが届いた。
『待ってます』
と返事をして、父にもその旨を報告しに行く。
「分かった。来たらこの部屋に通してくれ」
「…はい」
「お前と明子も入ってこないように」
「……はい」
30分後――進藤さんが到着した。
「ごめん、着替えたから少し遅くなった」
という進藤さんの格好は…スーツだった。
いつもにも増して真面目な表情。
ここに呼ばれた意味を既に分かってるんだろう。
緊張してるのが一目で分かった。
おまけにお母さんへ手土産付き。
「あら、ありがとう進藤さん。後で皆でお茶しましょうね」
何だか……結婚の挨拶みたいだ……
不謹慎にもそんなことを、ふと思ってしまった。
「先生は?」
「父の部屋に…。案内します…」
母が台所に行ってしまって、少しだけ二人きりになれた時。
「ごめんなさい…」
と僕は謝った。
「アキラちゃんは悪くないよ。悪いのは全部オレだから」
「違います!僕のせいです!僕のせいで……」
涙が滲んできた。
進藤さんが零れた涙を指で掬ってくれる…。
「好きだよ…アキラ」
「進藤…さん」
「この気持ちを、今日は先生にも分かってもらいたくて来たんだ」
「………」
「大丈夫だから。オレに任せて」
「……はい」
お父さんの部屋の前に着いた後、僕はもう一度進藤さんの顔を見た。
僕を安心させるように…笑顔を向けてくれる。
そしてすぐまた真面目な顔に戻った。
「…お父さん、進藤さんを連れてきました…」
「入りなさい」
進藤さんが「失礼します」と言って入った後、すぐにまた戸を閉められた。
「アキラさん♪」
廊下に残された僕に、母が手招きしてくる。
「こっちの部屋から盗み聞きしましょう♪お父さんが万が一変なことを言い出したら、すぐに止めに入らなきゃならないしね」
母は何だか楽しそうだ。
一体僕たち…どうなるんだろう……
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