●LITTLE GIRL FRIEND 39●





「送ってくれてありがとうございました」

「あ……うん」

「お休みなさい」

「…おやすみ」



今日もまた何とか理性が勝った。

でも同時にアキラちゃんの顔からは笑顔が消えて、結局家に着くまで一度も笑ってくれなかった。

(つーか目も合わせてくれなかった…)


この調子だと…本当にあと4年半もオレらの関係が続くのかどうか…不安になってくる。

アキラちゃんが好きだ。

今までの…誰よりも。

そしてきっとこれからの…誰よりも。

でも、今の感じだとあと4年半ももつか?

近いうちに派手な喧嘩でもして…嫌な方向に向かいそうで怖い。


でも、アキラちゃんが満足するだけの男女の付き合いは出来ない。

今の関係を続けるしかない。

でもそれだといつも言い争いになって……もうどうすりゃいいんだよ………












「おーっす、進藤」

「おはよ…和谷」

「暗っ。彼女にでもフラれたか?」

「違うって…」



翌日――森下先生の研究会で和谷に会った。


和谷は今やオレにとって一番の話し相手だけど、アキラちゃんのことは言ってない。

斎藤さんのこともオレの口からは言わなかった。

もちろん和谷も自分のプライベートは滅多に話さない。

友達って意外とこんなもん…?

つまんねーの…。

よし、たまには聞いてみるか。


「…和谷ってさ、彼女とかいるの?」

「は?何だよ急に…」


和谷の顔が少し赤くなった。

ふーん…いるんだ。


「どんな子?何歳?」

「いや、いないって。…好きな子ならいるけど」

「そうなんだ。誰?」

「えっと…」


腕を掴まれて、誰もいないトイレ前まで連れていかれた。

何か、別にもうこの程度のことでドキドキする歳じゃないのに、ドキドキするな。

ちょっと楽しい。


「誰にも言うなよ。特に先生には!」

「先生って…森下先生?」

「ああ。だってオレが好きなのって…茂子ちゃんだし。先生にバレたらきっと殺されるかも」

「茂子ちゃん…って誰だったっけ?聞いたことのある名前だけど…」

「先生の娘さんだよ」


あ、そうだそうだ。

確か森下門下の新年会を手伝ってくれてた子だよな。

あれ?でもオレより3つか4つ下じゃなかったか?


「茂子ちゃんって何歳?」

「18。この春から短大に通ってる」

「…ふーん。18…ね」


羨ましい……


「だからやっと告ってもいい頃かな…と思ってさ、今タイミングを見計り中なんだよ。やっぱ高校生だとちょっとまずかったし…」

「はは…」


じゃあ中学生と付き合ってるオレはどうなるんだよ〜〜??!


はぁ……ダメだ、更に落ち込んできた……



「で、進藤の方はどうなんだよ?斎藤さんとは別れたんだよな?」

「聞くなって…」

「はは、わりぃ。でも…ま、何かあったら話してくれよな。俺でも伊角さんでも。お前って昔っからそういうこと全然話してくれない割には、言っちゃ悪いけど結構…周りを驚かしてくれるじゃん?この前の斎藤さんのことにしても…」

「……」

「余計なお節介かもしれないけど、ちょっと心配でさ…」

「和谷…」

「ま、気が向いたらでいいからさ」

「うん…サンキュー、和谷。お前っていい奴だな」

「普通だって。あ、そういえば話し変わるけど聞いたか?永夏、明日来日するらしいぜ?」




………え?










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