●LITTLE GIRL FRIEND 3●
アキラちゃんが塔矢先生の娘??!
うっそ!
マジで?!
本当に??
「あんまり似てないね…先生に」
似てても嫌だけど…と、小さく呟きながらアキラちゃんを会場から連れ出した。
「僕は母似なんです」
「そっか…。でも、なんか納得した。君が噂の名人の一人娘だったんだ。どうりで強いわけだ」
「…七光って言いたいんですか?」
「ハハ、違うよ。事実、名人とは全く違う碁を打つしね。オレはアキラちゃんの碁の方が好きだな〜」
「………」
途端にポッと赤くなるこの女の子は今日は一段と可愛い。
母親がコーディネートしたのかな?
落ち着いた深緑のワンピースがすごく似合ってる。
本人の雰囲気も落ち着いてるから、ぱっと見、高校生ぐらいに見えないこともない。
本当に高校生だったらよかったんだけど……
って、ダメだぁ〜。
オレ、マジでこの娘気に入っちゃってる気がする。
小学生だっつーの!
「…この後オフなんだ。今日は打てる?」
「あ、大丈夫です。両親は後援会の方々と食事会があるとか言っていたし…、緒方先生と帰るつもりだったけど、それを断れば…」
うお。
緒方先生か…強敵だな。
会場に戻ったオレらは、同じ塔矢門下で固まってる輪の中に恐る恐る入っていった。
「緒方先生。あの…塔矢先生の娘さんをちょっと借りてもいいですか?一局打ちたくて…」
「駄目だ」
う。
即答。
「あれ〜?アキラ来てたんだぁ?」
後ろから芦原先生が覗きこんできた。
「珍しいな」
「進藤プロともう一度打ちたくて、緒方さんに連れて来てもらったんです」
「ふーん…進藤君とねぇ」
芦原さんがチラッとオレの方を見る。
何だよ。
オレと打ちたいって言うのがそんなにおかしいのかよ。
「どこで打つの?アキラ」
「囲碁サロンが近くていいかなって思うんだけど…」
「だってさ。囲碁サロンならいいんじゃないですか〜?緒方先生」
「ふん。門限18時だからな。ちゃんと家まで送れよ、進藤」
「あ…ありがとうございます!」
やった!とアキラちゃんがオレの腕の裾を掴んできた。
そのまま早く行こう!と引っ張っていく。
「あのさ、囲碁サロンって…?」
「父が経営してる駅前の碁会所のことです」
「へー」
「やっぱり来てよかった。こんなに早くまた進藤プロと打てるなんて」
「オレも」
目を輝かせてこっちを見てくる彼女。
やっぱり可愛いな〜なんて。
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