●LITTLE GIRL FRIEND 16●





「アキラ君!中学入学おめでとう!」


入学式の後、囲碁サロンに行くと、市河さんを始め常連のお客さん達に拍手されてしまった――


「…ありがとう」

「海王中ってどんな感じだった?囲碁部も強いんでしょ?」

「そうみたいだね。部員も多いみたい」

「でもアキラ君には関係ないわね。プロ試験、今年こそ受けるんでしょ?」

「うん…」


碁会所を見渡すと――今日も来てない…と肩が落ちた。

あの日以来、進藤さんはここには来なくなった。

僕の制服姿が見たいとか言ってたから着て来てみたけど……無意味だったみたい。

会いたい。

でも、プロになれば絶対に会える。

今年のプロ試験…絶対に合格しよう。

その為に、あのクリスマス以来猛特訓してるんだから―――









「ただいま」

「お帰りなさい、アキラさん」

「お父さんは?」

「今日は棋院よ」

「ふーん…」


碁会所で一局だけ打って家に帰った後、お母さんが煎れてくれたお茶を飲みながら今日発売の週刊碁を広げてみた。

表紙があの斎藤女流棋聖で一瞬胸が痛んだ。

彼女の女流名人位奪取の記事だった。

この人…本当に強いのだろうか。

一度打ってみたい。

もちろん負ける気はしない。

早くプロになって公式戦で勝って……絶対に進藤さんを取り戻してやる。




「…お母さん、ちょっとパソコンで棋譜整理するから夕飯まで邪魔しないでね」

「はいはい」


部屋に戻った僕は、すぐさまパソコンを立ち上げた。

もちろん棋譜整理なんかとっくに終わってる。

僕が用があるのはインターネットの方。

進藤さんを手に入れる為には棋力ともう一つ…。

大人の知識が必要だから……



「………」



ソレ系のサイトを回ること30分。

やっぱり…見ていて気持ち悪い…。

女の人の裸ばかり載ってて…僕は別に興味なんかないのにと否定してしまう。

でも必要な知識は得られる。

写真はともかく小説の方は少し面白いし。


それにしても…こういうサイトに載ってる人は皆とても胸が大きい。

自分のを触ってみると見事にまだ発達途中で。

進藤さんにブラもしてないガキのくせに…と言われてしまったことを思い出した。

僕も中学生になったんだし…そろそろ欲しいな。

せめて形からでも入らないと。



「あの…お母さん」

「なに?アキラさん」


居間に戻った僕は、ドキドキしながら母に言ってみた。


「そうねぇ…アキラさんももう中学生ですものね。じゃあ今から買いに行ってみる?」

「うん」


母の馴染みのランジェリーショップでサイズを計ってもらうと、意外にもAじゃなかった。

Bの65。

もちろんまだ小さいことには変わりないけど、これから大きくなるはずだし。

進藤さんはどのくらいの大きさを求めてるんだろう。

早く彼の理想の体型になって、見返してやろう―――










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