●KAKE 4●



「―…ん、…と…うや…」


「………」



――翌朝

進藤より一足先に目が覚めた僕は、横で僕の夢を見つつ幸せそうに眠っている進藤の顔をひたすら睨んでいた――


くそっ!

僕は勝ったのに!

昨日はエッチは無しのはずだったのに!


自分の進藤への甘さに溜め息を吐きながら、僕は再び内風呂へと向かった―。







「…ふぅ…」


温泉はやっぱり一人で入るものだな。

異性……特に進藤となんか入るものじゃない。

もう二度と入ってやるものか!


「塔矢〜♪おはよ〜」


――と思ったのも束の間、不吉な声が聞こえ…恐る恐る振り返ると――進藤が引き戸を少し開けて顔だけ出していた。


「オレも入っていい?」

「入ってきたら殺す」

「マジ?殺されたーい♪ってことで入るなv」

「………はぁ」


進藤がタオルを腰に巻き付けた状態のまま、僕の隣りに入って来た。


「お。いい湯加減」

「そう。じゃあごゆっくり」


入ってくるのを止めれないなら僕が出るしかない。

そう思ったのに――立ち上がった途端腕を掴まれた。


「まだ出るなよ。オマエも今入ったばっかだろ?」

「嘘つきなキミとはもう二度と入らない」

「なんだよ。まだ昨日のこと怒ってるわけ?」

「当然だ!エッチは無しだって言ったのに――」

「マッサージのフルコースしただけじゃん」

「どこの世界にセックスが含まれてるマッサージがあるんだ!」

「オレらの世界?」

「……出るっ」

「だーめ」


何とか彼の手を振り切ろうとしたけど―――所詮僕は女で進藤は男だということか。

全くビクともしない。


「塔矢お願い。何もしないから…」

「何もしない?キミがそう言って本当に何もしなかったことが今までにあったか?!」

「だって…我慢出来ないんだもん」


進藤がしゅん…と反省の顔を見せつつも、手は直ぐさま僕の太股辺りを擦りだす―。


「うわっ、スベスベ〜♪やっぱ温泉効果かな?来て良かったな」

「もう二度とキミとは来ないけどね!」


今にも僕の秘部へと伸ばしそうな彼の右手を抓ってやった。

そして少し怯んだ隙をみて浴槽から飛び出る―。


「ってー…。…塔矢ってさー、オレに冷たいよなー」

「は?」

「ちょっとぐらい触らせてくれたっていいじゃん。減るもんじゃねーし」

「減るもんじゃないだと?!僕はキミと賭け碁をし出してから…少なくとも貞操は失ったぞ?!」

「だよな〜。オレが頂いちゃったんだよな〜♪」

ふふふふと嬉しそうに笑い出した。


「な、塔矢。今から早碁しねぇ?」

「…それで?キミが勝ったらまた…するつもりか?」

「うん♪」

「……はぁ」


恋人でもないのに…もう何十回も彼としてしまってる自分の尻軽さに反吐が出る。

流されやすさに反吐が出る。

甘さに反吐が出る。



「……分かった。ただし僕が勝ったら…」

「オマエが勝ったら?」

「この馬鹿げた賭け碁はもう終わりにしてもらう」














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