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京田さんと付き合い始めて7ヶ月。

今日は朝から彼の部屋で一局打つことにした。

持ち時間は130秒の早碁。

対局中は時計を押すカシャッという音と、石を置くパチッという音だけが聞こえていた。


……はずだった。

 


「――…ぁ…、ん…、…あぁ…ん」


突然隣の部屋から聞こえてきた喘ぎ声に、私の手が止まる。

京田さんが「またか…」と嫌そうに顔を歪めた。


「お隣さん、最近彼女出来たみたいで。結構土日は昼間っからヤってるんだよな…」

平日の夜も聞こえる時あるけど…、とボヤいていた。


「そ、そうなんですね…、お隣さんてどんな人ですか?学生?」

「いや、社会人。土日が休みの普通のサラリーマンかな。歳はたぶ256くらいだと思う」

「へぇ…」

「彼女も一度見たことあるけど、ギャルだった」

「へ、へぇ…」


その後もアンアン聞こえてくる声に二人とももう耐えられず、京田さんが「外行こうか」と対局を中断した。

他の人の喘ぎ声なんて初めて聞いた私は、顔が火照ったままだ。

私の声も、あんな風にお隣に聞こえてたのだろうか…。

(だとしたら恥ずかし過ぎる…)



近所のカフェに移動して、今度はマグ碁で続きを打ち出した私達。

でも私はいまいち集中できないでいた。

きっと…、ちょっとお隣りさんが羨ましかったのだ。


(私達はもう2週間もしてない…)

今日だって、私はちょっと期待して彼の部屋を訪れたのだ。

でも一局打つ流れになってしまって…。

もちろん彼との対局もすごく勉強になるし、為になるのだけれど……



「こっちから切った方がよかったかな…」

「そうですね。その方が結果的には2目は得してるかと」


一局打ち終わって、もうそのままこのカフェでランチもいただく。


「そろそろ終わったかな…」

「どうでしょう…」

「向こうも出かけてくれないかな…」


でないとコッチも出来ないし…、と京田さんが呟いたのを私は聞き逃さなかった。


「あ、あの…」

「え?」

「今日…、両親も彩も双子連れて遊園地に行ってて、夜まで帰って来ないんです」

「…え?」

「だから…」

 


――私の部屋に来ませんか?――

 

ドキドキしながら思い切って誘ってみる。


「…うーん」


京田さんが検討しだす。

当然だ、私の部屋は当然自分の師匠の家なのだ。

しかも私の部屋はお父さんの部屋の隣。

誰もいないと分かってても、それ目的では行き辛いのが本音だろう

でも私は――


「早く京田さんと……、したいです

「―――」

「…京田さん?」


京田さんがガタッといきなり立ち上がる。

そして私の手を掴んでレジに向かった。

急いだ様子でお会計をして、次は駅に向かう。


ずっと握られたままの右手。

とても熱くて、彼もその気になってくれたのだと悟る。

電車で移動すること8分。

更に徒歩で5分。


一緒に私の家に帰ってきて、玄関に入ってドアが閉まった瞬間に――キスされた――


「――…ん……」


師匠の家の玄関でこんなにも堂々と。

誰もいないと分かっていても、いつもの彼なら遠慮しそうだけど……


「――…は…、京田さ…ん…」

「部屋…、案内してくれる…?」


耳元で囁かれでドキンとなる。


「はい…、こっちです」


リビングから繋がる階段を、彼が初めて上がってくる。

2
階に上がったすぐ右の部屋が私の部屋。

勉強机と本棚とベッドと碁盤しか置いてないシンプルな部屋。

変なものが置きっぱなしになってないよね?と彼を入れる前に一応確認する。


「ど、どうぞ…」


でも例え変なものがあったとしても彼は気にも止めないだろう。

だって彼の目にはもう私しか映ってなかったから――


「――…ん…、…んん…」


部屋に入ってドアが閉まった瞬間またキスされて……そしてそのままベッドに倒された。

自分の部屋のベッドで、彼に跨られてるなんて変な感じだ。

口からすぐに首筋へと唇が移動して…、舐められていく。

胸を服の上から揉まれる。

もちろんすぐに…直にも。

服なんてあっという間に脱がされて、彼も脱いで。

生まれたままの姿で私達はその行為を行う。

体のあちこちに落とされるキス。

付けられる痕。

指だけでなく唇と舌を使って準備を施される。


「…ぁ…っ、や…だ…ぁ…っ、…ぁ…っ」


自分の秘部にまで舌を這わされて、初めての感触に、初めての羞恥に、もう訳がわからなくなる。


「…ぁ……も…」


ビクンと体が弓なる。

荒い呼吸をしながら、私は彼がアレを付けてるところを見つめる。

イッたばかりで敏感になってるアソコに、今度は彼のものが押し入ってくる。


「――…ぁ…っ」

「…佐…為…」


最初からもう我慢出来ないみたいに奥まで突かれる。

気持ち良すぎておかしくなりそうだ。


「――…ん、ん…」


もちろん途中でキスもたくさん挟んでくる彼。


「好きだよ…」

と甘い台詞もたくさん挟んで来て、私の胸を熱くさせる。


可愛い。

好きだ。

愛してる。

と聞いてるこっちが恥ずかしくなるくらい愛を囁かれる。


「……ぁ…っ、ぁ…っん、ぁ…っ」


誰もいない実家でセックスすることのメリット。

それはいくら声を出しても誰にも迷惑がかからないし、誰にも聞こえないというところだろう。

両隣の家にも、距離があるからもちろん聞こえないだろうし、そもそもこの家は壁が厚い。

両親も恐らくしょっちゅう体を合わせていると思うけど、その音が聞こえたことは一度もないからだ。

(まさかお父さん、家を防音で作ってる?)


「…京、田…さん、…もう……」

「うん…、一緒に…いこう…か」

「ん…」


スピードを上げてくる彼

さっきイッたばかりなのに、私はまたあっという間にドクンと上り詰めてしまった。

急に動きが止まった彼も…おそらく。


「はぁ…、は……京田さん…」

「佐為…」


視線を合わせた私達は、汗だくのままもう一度キスをした――

 

 

 

 

 



「ただいまー」

「あ、お帰りなさい。皆楽しかった?」


19時過ぎになって家族が遊園地から帰って来た。

いつもは祖父母の家で暮らしている双子も今夜はここに泊まるらしい。


「あおい、さいおねえちゃんのへやでねるー」

と抱き着かれてしまったけれど、

「ごめんね…、明日手合いの日だから」

と断った。

「えー」


本当は私と京田さんの汗とか色んな液体で汚れたシーツに、妹を寝かすわけにはいかないから…なんだけど。


「その代わり、寝るまで絵本読んであげるね」

と誤魔化した。


ちなみに17時には帰って行った京田さん。

我に返った京田さんは「師匠の家でしてしまった…」と少しばかり落ち込んでいたけれど。

でも私が「また来て下さいね…、私の部屋にも」と言うと、「もちろん」と言って帰って行った。

家族が全員出払ってることはレアだけど、でも全くないわけではない。


今後も来てくれますように――

 

 

END

 

ちょ、私の時は完全に拒否したくせに、なんでお兄ちゃんが誘ったら家でシちゃってるわけーー?!(by 彩)

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