if side:怜次J 番外編〜細川視点A〜





「塁斗君♪待った?」

「ううん」


楓と初めてセックスしてから一週間後、オレらはまた駅で待ち合わせていた。

一緒に家に向かいながら、楓が

「高校の制服着てみた?」

とウキウキと話してくる。

「中学より可愛いよね。リボンが特に」

「男子はあんまり変わらないけどな。色が濃くなったくらい?」

「言えてる〜。でもまた彩たちとWデートしたいね!今度は高校の制服で!」

「そうだな…」

 

 

 

 


無事二段に上がり交際を始めたオレら。

三段になったら一線を越えるつもりだった。

でも三段になった直後に、オレは兄弟子から忠告を受けたることになる。


『女なんかに現を抜かしてたら三段リーグは抜けれないぞ』

と――


確かにその通りだと思った。

三段リーグは甘くない。

半年にたった二人しか抜けれなく、半分以上が20代で占められている三段リーグ。

皆死に物狂いで年齢制限とも戦う中で、一線がどうとか浮かれてる自分が嫌になった。

次第に楓を避けるようになって……別れる方向で考えていた。


でも……オレはまた間違った選択をしようとしてるんじゃないだろうか?

誰かに相談したかったけど、師匠や兄弟子にそんなこと言えるわけもなく、そこまで仲のいい友達もいない。


(緒方君ならなんて言ってくれるんだろう…)


3はクラスも離れてしまい、また彼と接点がなくなってしまったオレ。

悶々と残りの中学生活を過ごす中、楓からLINEが送られてくる

通知で内容だけ確認してまたスルーしようとしたら、思わぬ文章が綴られていた。

 


『今度の日曜日、Wデートしない?彩と緒方君と一緒に』

 


(―――え?)

 


オレは即座にLINEを開いて『いいよ』と返事を返す。

緒方君に会えるチャンスをオレが逃すわけがない。

彼に相談出来るチャンスを――

 

 

 



あのWデートに参加して本当によかったと思ってる。

楓とも前以上に色んな意味で親しくなれたし、緒方君ともあれ以来連絡が取れるようになったからだ。

家にまで招いて恋愛ごとの相談までしてしまった。

彼のアドバイス通り、行為の最中にオレは楓に普段言えない想いを何度も打ち明けてみた。

『好きだ』――と。


その時の楓の幸せそうな顔は、オレの脳裏に今も焼き付いている。

 

 

 

 



「楓…」

「塁斗君…」


部屋に到着次第、オレらは早速抱き締め合う。

他にすることないのかよと言われそうだけど、ぶっちゃけ、無い。

オレも楓もコレ目的で今日も会ってるからだ。


「――…んん…、ん…」


キスしながら早速服を脱がし合っていく。

この前は『電気消して』と言われたが、今日は明るさはどうでもいいらしい。

恥じらう彼女ももちろんいいけど、積極的な彼女ももちろん最高だ

オレの方もさすがに前回よりかは気持ちに余裕がある。

二人でベッドに倒れ込み、無我夢中でキスし合う。

同時に彼女の体にも手を伸ばし、探っていく。


「…ぁ…っ、…ぁ…ん…」

オレの動きに敏感に感じてくれる彼女。

下半身も程よく解れて来たところで、オレは彼女の中に自分の息子を挿入した。


「ぁ…っ、…ぁ…っ、は…」


初めての時はさすがに痛そうにしていた彼女だけど、オレは1時間も開けず前回2回目も求めてしまった。

緒方君が何回もしてると言っていた意味が分かった気がした。

楓が可愛くて愛おしくて、エロくて気持ちよくて……とてもじゃないけど1回では済まなかったのだ。

気持ち的には全然3回目もしたかったが、残念ながらタイムオーバーだった。

オレの母親は夕方5時半には仕事から帰ってくる。

今はまだ14時過ぎだから、今日も複数回出来たらいいなぁ…と思ってる。


「…ぁ…、塁斗…くん」

「楓…」


彼女の目尻から涙が零れている。

オレはその涙を舌で掬って…、そして耳元で今日も愛を囁いた。


「好きだ…、楓…」

「塁斗君…」


私も――と彼女が抱き着いて来る。

心が満たされて、幸せな気分になった。

きっとこれがもし体だけのどうでもいい彼女が相手だったなら、こんな気持ちには絶対にならないと思う。

今オレの腕の中にいるのが、オレがこの世で一番大好きな女の子だから、ここまで幸せを感じられるんだろう。


「楓…、愛してる」

「うん…、うん…私も…」


やがてクライマックスに入る。


「ぁっ、あぁ…っん、…ぁ…っ」


オレの動きに喘ぎ声を途切れることなく発する彼女。

もう痛さは全くないのか、気持ち良さそうに快楽に浸る姿が見て取れる。

巧みに激しく打ち付けて、やがて彼女の中が締まり、彼女の声も途切れた。

イったんだろう。

それを確認してからオレも溢れさせた。


「はぁ…、は…」

「塁斗君…」


楓が手を伸ばしてくる。

キスを求めてくる。

もちろんすぐに応じて、オレらはしばらく抱き締め合った――

 

 

 

 



「わ!塁斗君また同じクラスだね!」

「……なんかずっと一緒だよな」

さすがにおかしくないか?とクラス発表を見て首を傾げた。


「海王は面倒だから一括りにしてるんだよ。知らなかった?」

と緒方君が教えてくれる。

だから俺と彩も囲碁のプロ棋士で一括りにされてるから、卒業までたぶんずっと一緒なのだと。

なるほど、オレと楓は将棋で一括りにされてるわけか…と理解した。


「緒方君、今年は一緒のクラスだな。よろしく」

「こちらこそ」


緒方君が小声で

「上手くいったらしいじゃん」

と聞いてくる。


「お陰様で」

と少し照れながら小声で返した。

 


もうすぐスタートする三段リーグ。

死ぬ気で頑張ろうと思う。

そしてもしいつか四段に上がれて、感謝の気持ちを誰に伝えたいか問われた際には、オレは間違いなく緒方怜次の名前を挙げることだろう――

 

 



END


 

おまけ細川視点

 

以上、細川君視点でした〜!
怜次のこと気にしすぎじゃないですか、細川君(笑)
楓が細川君のストーカーなら、細川君は怜次のストーカーだろコレw

えー、師匠はやっぱりここは加賀で(笑)
ヒカ碁で将棋と言えば加賀ですので、ここは欠かせませんな!

細川君が四段に上がるのは3年後、つまり高3後期のリーグなので、その頃には怜次はタイトルホルダーかもね!(笑)
でもって彩と既に結婚してるかもね!

にしても海王高校ってどんな制服なんでしょうかね?
今回は女子は中学よりリボンが大きくて、男子は色が濃いことにしてしまいましたが。
色んなパターンが考えられますよね〜。
でも中学みたくカッコいい制服なんでしょうね!