●if side:怜次J 番外編●〜細川母視点〜
※これは細川君のお母さん視点です(笑)
(何かがおかしい…)
息子の塁斗が春休みに入ってから、家の中が何かおかしいのだ。
誰かが入った形跡がある。
というか、塁斗が誰かを家に呼んでるのだろう。
シンクに置かれているマグカップ2つがその証拠だ。
友達だろうか?
それとも――まさか彼女?
その謎は次のゴミの日に呆気なく解ける。
塁斗の部屋のゴミを回収した時に、とんでもないものが入っていた
「これって……」
それはどう見てもコンドームの袋だった。
私はもちろんショックを受ける。
ずっと子供だと思っていた息子が、私の留守中に彼女を部屋に招い
――でも
同時に将棋ばかりで、そういうことにはずっと無縁だと思っていた
今月から高校生となった息子だから、めちゃくちゃ早いというわけ
ただ……気になるのは相手の女の子だ。
一体どんな子なんだろう。
(ギャルだったらどうしよう…)
気になって気になって気になって仕方のなかった私は、夕飯時に思い切っても
「塁斗、もしかして…彼女出来た?」
途端にお箸を止める息子。
「あ、別に反対してるわけじゃないのよ?ただ、私も会ってみた
「……聞いてみる」
「え、ええ…。お願いね…」
その時はこれで会話は終了。
次の土曜日、掃除機をかけていると息子が
「今から来るらしいんだけど…いい?」
と突然言ってきた。
「今から?!」
私は慌てて掃除機を終わらせる。
10分後にピンポーンとインターフォンが鳴り、息子が玄関を開け
ドアの向こうに立っていたのは………楓ちゃん。
「お、おばさん、お久しぶりです…!これ良かったら召し上がって下さ
「あら、ありがとう…」
ご丁寧に手土産を渡して来た息子の彼女は、なんと昔将棋クラブで
確か今は女流棋士だったはず。
(なぁんだ…楓ちゃんと付き合い始めたのか…。なぁんだ…)
一気に安心した私がいた。
息子は将棋ばかりで友達が多いタイプではない。
小学校の時、彼が一番よく口にしていたのが楓ちゃんのことだった
「楓も研修会行くんだって」
「楓も海王受けるんだって」
などなど…。
中学校に入ってからはそれは緒方君に変わったのだけれど。
「緒方君、名人リーグ入りして七段になったんだって」
「緒方君と一緒のクラスになったんだよ」
などなど…。
(緒方君は囲碁のプロ棋士らしい)
「楓ちゃん、息子をよろしくね」
「あ!はい!もちろんです!私の方こそよろしくお願いします!」
ペコリと頭を下げて来た。
小学校の時と変わらず、相変わらず可愛い子だ。
息子が好きになる気持も分かる。
この子が将来お嫁さんになるのなら大歓迎だ。
……なーんてね。
―END―
以上、細川君のお母さん視点でした〜。
まぁ普通に連れ込んでることはバレるよね、と。
大して話したこともないのに、細川君が怜次のことを母親に語りまくる光景は微笑ましいというか、面白いですな!
(この子…よっぽど緒方君が気に入ってるのね…と母親に思われてた塁斗君なのでした)