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この話は彩が夏コミで買ってきた京佐為(京田七段×進藤名人女体化)本です。
京田さん視点でどうぞ!


 

 

「佐為がどうしてもって言うから門下入りは認めるけど。でも佐為に手を出したら破門だからな!」


プロ試験合格後、念願の進藤門下への入門を許された俺。

でも進藤先生の開口一番の台詞に、「分かりました」と同意しながらも……自信はなかった。

帰り際、駅まで送ってくれるという彼女。

「無事入門出来てよかったですね」

とにこりと微笑む彼女の笑顔に、胸の鼓動が速くなって。

俺はこのプロ試験中、敢えて意識するのをずっと避けてきた想いに、気付かずにはいられなかったのだった――

 

 

 



あれから2年と5ヶ月後。

高校を卒業した俺は一人暮らしを始めた。

新居は進藤家と棋院のちょうど間ぐらいで、研究会にも手合いにも行きやすい最高の立地だ。


「一度新居にお邪魔してもいいですか?」


研究会での休憩時間、進藤さんが突然そんなことを言い出した。

別に構わないけど……全然よくない。


「あー…、何人かで来るなら構わないよ」

「じゃあ彩と行きます」

「うん、それならいいよ」

「明日でもいいですか?」

「うん。住所あとでLINEしておくよ」


俺が了承すると、彼女は少し嬉しそうに口元を緩めた。


(ああ…やっぱり可愛いなぁ…)





高校1年生。

15
歳になった進藤佐為はもう誰もが振り返る美女に成長していた

母親の塔矢アキラ名人似の彼女を父親の進藤ヒカル本因坊は溺愛していて、当然男という虫が寄ってくるのを許さない。

それは俺にももちろん同じ態度で、入門の時から口を酸っぱくして言われ続け、聞かされ続けた。

佐為に手を出したら破門だと――


破門だけは絶対避けたい俺は、自ずと進藤さんへの気持ちに蓋をするしかなかった。

好きになっては駄目だ好きになっては駄目だと何度も自分に言い聞かせる毎日。

でも研究会で週に何回も会って、長い時間を共にして、彼女の素の部分を知れば知るほど……どんどん好きになる毎日。

まるで拷問だ。


そんな生活を25ヶ月も続けたら……流石に俺は行き詰まっていた

このままではマズイ気がする。

二人きりになんてなったら最後、彼女を襲ってしまうかもしれない

そうなると100%破門だ。

それだけは絶対に避けたかった――

 



『京田さん、院生の時からずっと好きでした』


昨日の手合いの後、俺は一人の女流棋士に告白された。

もちろん今までだってされたことは何回もあって、毎回即お断りしていた。

好きな人がいるのに、他の人となんて今までは考えられなかったからだ。


でも、昨日俺はついに返事を保留にさせてもらった。

このまま進藤さんへの想いを実らすことが出来ないのなら…、他で恋人を作った方が賢明ではないかと考えたからだ。

その方が今よりよっぽど楽な気がした。

それに恋人と定期的に息抜きが出来たら、今後もし進藤さんと二人きりになっても、最悪な状況は免れるんじゃないかと――そう思った。

 

 

 

 


ピンポーン


翌日、進藤さんと妹の彩ちゃんが俺の部屋にやって来た――はずだった。


「……彩ちゃんは?」

「何か友達と遊びに行くことになったみたいで」

「……そうなんだ」

「私だけじゃ駄目ですか?」

「……」


駄目に決まってる。

でもここまで来てもらったのに、拒否するなんて酷いことは俺には出来なくて。

「…いいよ、入って」

と部屋に招いてしまった。


「ありがとうございます」


にこりと綺麗に笑う彼女。

ああ…、もう俺はどうしたらいいんだ……

(とりあえず常に2メートルくらい離れておこうかな)



「ワンルームなんですね」

「まぁ…、分相応だろ?」

「家賃はどのくらいなんですか?」

「共益費入れて10万くらいかな」

「そうなんですね」


プロになって2年。

まだ最終予選止まりの俺の給料には見合った部屋だと思う。

既に全リーグ入りしてて、女流のタイトル戦にも挑戦している進藤さんなら、当然もっといいところを選ぶんだろうけど。



「…今後はここに恋人も呼ぶつもりなんですか?」




―――え?



「知ってますか?私も昨日手合いだったんですよ?」


今となってはいつも5階の彼女。

終局し帰ろうと階段を降りていたところで、俺が告白されてるのを見たらしい。




(……ヤバい)

 

「山名女流、可愛いですもんね。いつも断ってた京田さんが、返事を保留にしたい気持ちも分かります」

「…別にそういう意味で保留にしたわけじゃないよ」

「じゃあ、どういう意味ですか?」


俺の方に振り返って来た彼女は、涙目だった。

彼女にこんな目をさせたいわけじゃない。

こんな目をされて、彼女の想いに気付かない俺でもない。


「……進藤さんに俺の気持ちが分かる?決して好きになっちゃいけない人を好きになってしまって。このまま一生隠し通さなくちゃならない俺の絶望感が分かる?」

「そんなの――」


進藤さんが近付いてきた――と思ったら、あっという間に俺は唇を奪われていた――

「――……ん……」


乱暴で、下手くそで、ムードなんてこれっぽっちもなくて。

でも、それでも俺の最後の理性を無くなすには充分だった。

ワンルームの狭い部屋は、3分の1をベッドが占めていて。

体を倒すと自ずとベッドの上に落ちる。


「――…んん…、…ん…、ん…」


進藤さんを押し倒して、もう無我夢中で唇を押しつけ合う。

口内を探りあう。


「――…は…、京田さん…」


唇を離すと、火照った顔して俺を誘惑する彼女の顔が目に入ってきた。

絶対隠さなくちゃならなかったのに。

こんな近さ、許されるわけがないのに。

こんなことをして、もう破門確定だ。

それならそれでもういいやと思ってしまった俺の口から、この25ヶ月間ずっと隠してきた気持ちが溢れ出す。


「好きだ…、ずっと好きだった」

「京田さん…」


私もです――と彼女が胸に抱き着いてくる。


(進藤先生ごめんなさい…)

心の中で師匠に謝って、俺は、俺達は欲望のままに体を合わせ始めた――

 

 

 

 



「破門な、破門。もう二度とうちの敷居跨ぐな」


二人して手を繋いで進藤さんを家に送り届けると、進藤先生に通告されてしまった。

それも仕方ないと思う。


「ヒカル、いい加減にしろ」

と奥さんの塔矢名人が即座に仲裁に入ってくれる。


「もういいだろう。佐為の気持ちも少しは考えてあげて」

「やだ。佐為は絶対渡さない」

「京田さんのどこが不満なんだ?」

「どこって…」


進藤先生が悩みだした。

性格も考え方も囲碁への姿勢もどこをとっても悪くないな…、あれ?むしろ好物件?と。


「あれだ、あれ。タイトル持ってない点がマイナスだな!」

「…じゃあタイトル取れば許してくれますか?」


俺が聞き返すと、進藤先生は「いいよ」と意外な回答をあっさりとくれた。

「オレからタイトル取れたらな」と。

「分かりました。いつか、必ず」


結局は破門にはならず、それからも進藤先生、進藤さん、俺の3だけの研究会は続いている。

今までと何も変わらないけど、進藤さんがたまに俺の部屋に来てくれるようになったことだけが変わった。

もちろんその時は恋人らしいことをたくさんしている俺ら。

早くリーグ入りして、タイトル取って、もう少しいい部屋に彼女を招きたいと思う――

 

 



END

 

 

 


以上、彩がイベントで買った京佐為本でした〜。何書いてるの私!(迷走中)
佐為女体化というからアレですけど、つまりはFEMALEシリーズでヒカアキの間に最初に生まれたのが男の子ではなく女の子だった場合のifです。(タイトルはだからif
名前もそのまま佐為(15)です。
妹は彩です。京佐為話の彩は京田さんには興味がありません(笑)
もちろん彩は院生で、京田さんや柳さんとも仲がいいです。(この辺は元と同じ)
でも彩が姉(佐為)の話をするたびに気になってる京田さんです。
でもってプロ試験を一緒に受けて、2ヶ月間色んなやり取りがある中で次第に好きになります。
この京田さんが進藤門下に入りたいのも同じで、佐為が取り持ってくれます。
でもって無事入門は許可されましたが………で、冒頭のヒカルの台詞です。
ヒカルはアキラ似の佐為を彩以上に溺愛してるからね!手を出したら即破門です!
で、破門はされたくないけど佐為への想いが募っていく京田さんの地獄の日々が始まるのです〜。

あいやーこの話ちゃんと書いたらFEMALE並に長く書けそうだわw
普通に私好みのカップリングなんですが(笑)
FEMALE
に出てくる腐女子の皆さんの気持ちがよく分かるぜ!
でも本当に、佐為が女だったら京田さんは彩ではなく佐為に惹かれてたと思う。うんうん。
でもそしたら精菜の立場がないので、精菜を男の子にして彩とくっつけようかな。
精菜も昔言ってたしね、自分が男だったら彩に告白してたかもしれないと。
でもってヒカルと緒方先生も、お腹の子が男だったら彩君をいただくぞって言ってたしね。
このFEMALEシリーズの展開も全然ありだわ…ハアハア

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