●MY DOUBLE 〜ヒカル&ミナミ編〜






あのホワイトデーから7年後の、同じ3月14日。

オレはとある大学の研究室を訪ねることにした。




「…進藤君?」

「久しぶり…ミナミちゃん」


7年ぶりに見た彼女は相変わらず塔矢にそっくりで……心がほんのりと温かくなる。

オレの目的をすぐに見抜いた彼女は、オレを人気のない大学の中庭に連れていった。


「あんまり人いないな…この大学」

「今は春休みだから」

「あ、そっか」

「で?今日はどうしたの?私にプロポーズでもしに来た?」

「はは…バレバレだな。当たり。でも、『一応』…お付き合いから始めませんか?」

「ふふ、いいわよ。『一応』ね」


ミナミちゃんは即答だった。

『一応』形から入ったオレら。

でも、オレは別に恋愛を彼女に求めてるわけじゃない。

家族…を求めてる。



「ミナミちゃんは本当に…こんなオレでいいの?オレ…きっと君を塔矢に重ねるよ?」

「いいわよ。アキラは元々私の分身だもの」

「…そっか」

「アキラの方はどうなってるの?進藤君の従妹の子と上手くいってるのかしら?」

「ああ。アイツが本気になったら落とせない女はいないって」

「そう…ならよかった」

「……」




オレと塔矢は先日―――ついに囲碁だけの関係に戻ることに決めた。

正直…やっぱり今はまだ辛い。

でも、オレも塔矢も…家族が欲しくなったから。

子供が欲しくなったから……これでいいんだ―――








「ミナミちゃん……」

「『塔矢』って呼んでもいいわよ。せっかく…同じ苗字なんだから」

「……ごめん」



気持ちが落ち着くまでの間、オレは彼女を塔矢の代わりにして……抱いた。

菜々の苗字も進藤だ。

きっと塔矢も今頃同じことをしてるだろう。


でも、すぐに名前で呼んで…割り切れる日がやってくると思う。

もう塔矢をこの手で抱くことは出来なくても…一生側にアイツの分身がいてくれるから―――









―END―









以上、7年後でした〜。
あらら、何だかとっても、ヒカル君辛そう。
これじゃあちょっと救われませんね。
てことで、更に3年後を見てみましょう!(笑)



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