●MY DOUBLE 〜アキラ&菜々編〜







「菜々、お前高校行ったら囲碁部に入れよ」

「はぁ??何でヒカル兄にそんなこと決められなきゃなんないのよ!」

「オレが従兄だって自慢していいから」

「それこそ、はぁ??よ!馬っ鹿じゃないの?!」

「無料で指導碁しに行ってやっから」

「もう!意味分かんないし!」

「いいから、絶対に入れよ!!」



従妹の菜々を無理矢理高校の囲碁部に入れたオレは、約束(?)通り、指導碁に行ってやった。

もちろん、塔矢も連れて。

もちろん、二人を引き合わせる為に――




「進藤先生、塔矢先生、今日はお忙しい中本当にありがとうございます!感激です!」

と、部長らしき人に感動された。

ま、それはいいとして…


「おい、菜々!お前塔矢に指導碁してもらえよ!」

と塔矢を菜々の前に引っ張っていった。


「ふぅん…確かにキミに似てるね」

「だろ?」

「失礼ね、ヒカル兄なんかにちーっとも似てません!つーか、アンタ誰?」

「ちょ、お前な…」


口の聞き方に気をつけろ!

とオレが注意するまでもなく、菜々は他の部員にもみくちゃにされていた。


「ぎゃー進藤さん!塔矢名人になんてことを!」

「囲碁界の貴公子よ?!プリンスよ?!四天王よ?!あなた正気??」

「は…?」


碁のことなんてこれっぽっちも知らない菜々は、当然ポカンとなっていた。


「ごめん…塔矢。コイツ口悪くて…」

「ああ、そういうところもキミにそっくりだね。可愛いよ」



塔矢が菜々に近寄って、さりげなく手を握った。


「菜々さん、初めまして。塔矢アキラです」

「え?あ…はじめまして。進藤…菜々です」


嫌味なくらい美形で、まるで王子の風格がある塔矢に近距離で見つめられて、菜々の顔は徐々に赤くなっていった。


「良かったら僕と一局打ちませんか?」

「あ…でも…私全然囲碁のこと知らないっていうか…難しそうだし」

「大丈夫、ルールさえ覚えてしまえば誰でも打てるものですから。僕がお教えしますよ」

「…あ…ありがとうございま…す」


周りがいいな〜と溜め息をつくのと同時に、オレもホッと溜め息。

とりあえず、第一段階はクリア…かな?



………にしても塔矢の奴。

アイツ絶対女を落とすの上手いだろ!

実はタラシの才能あるだろ!

ちぇっ、面白くねぇの!!



やっぱりまだ塔矢を手放したくないや、と実感した23歳の春だった――







―END―









以上、続編・菜々ちゃん登場編でした〜。
アキラと菜々を会わせる為だけに、現名人と本因坊が高校に指導碁に行っちゃうのです(笑)ラッキーだね!囲碁部の諸君!
菜々ちゃんは他サイト様のヒカ子みたいなイメージです。

ささ、次は7年後。30歳になったヒカル君がついに動きます!



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