●DIVORCE 4●
塔矢と同じ部屋。
隣り合わせの布団。
今夜我慢出来るのかな…とずっと考えてた。
手を出したら殺される?
拒否られる?
風呂上がりの塔矢は少し濡れ髪で顔が火照っていていい香りがして………
部屋に帰ったらすぐにでも押し倒してしまいそうだった。
ダメだダメだダメだー!
落ち着け落ち着け落ち着けっ!
「と、塔矢、一局、打たねぇ?」
「いいけど…」
気を紛らわす為に打ち始めたのはいいけど、全く集中出来ない上にどんどん妄想ばかりが膨らんでいく。
塔矢の髪を耳にかける仕種だけでもう倒れそう。
浴衣の隙間から見える白い肌。
あの下がどうなってるのかオレは全部知ってる。
どこをどうすれば感じるのかも、どんな表情をするのかも全部知ってる。
もう二度と…本当にもう二度と抱き合うことは許されないのかな…。
「……進藤」
「え?な…なに?」
「彼女とは……上手くいってるの?」
「……え?」
彼女……?
いきなり現実に戻った。
上手くいってるというか、ギブアンドテイク?
高いものをプレゼントする代わりに性的処理をさせてもらってる。
ただそれだけの関係。
「やっぱり若い女の子の方がいい…?」
「なっ…!んなわけねーじゃん!一緒にいてオレが一番満たされる女は今でもずっとオマエだし!」
「心が?でもキミの体は僕だけじゃ満足しなかったんだよね?」
「………っ」
満足…してたよ。
してたはずなのに……――
「…まだ怒ってる?」
「一生許さないと思う」
「………そっか」
当然だよな。
塔矢の性格じゃ…絶対に許してくれない。
いや、許す女なんかいないだろう。
「…もう片付けようか。これ以上打っても意味ないよ」
「……ああ」
碁石を片付けた後、すっと立ち上がった彼女。
明日の支度をして、さっさと布団に入ってしまった。
オレに背を向けて――
「………くそっ」
オレも布団に入って――塔矢に背を向けた。
一生許さない?
じゃあいいよ、許してくれなくても。
どうせオレはそんな最低男なんだ。
だから、だから………彼女も裏切る――
「――進っ…!」
塔矢の布団を剥いだオレは、そのまま塔矢に被さった。
抵抗しようとした彼女の腕を押さえつける――
「――…ん…」
キスで口を塞いで……何度も何度もついばんだ。
挿入した舌。
嫌なら噛むだろ…て思ってたのに――舌で返された。
「―……ん…っ、んっ…」
絡めあい…お互いをもっともっと求めるかのような深いキス。
離れた途端に息があがってしまった。
「はぁ…は…ぁ…アキラ…」
「は…ぁ…ヒカル…」
久々の呼び方。
夫婦だった…楽しかったあの日々が脳裏に甦って来て―――涙が滲んだ。
「ごめん…ごめんアキラ…」
「………うん」
「もう…絶対しない。二度と……約束する」
「………うん」
「アキラ…好きだ。大好きだ……愛してる」
「ヒカル……」
もう一度だけチャンスを――
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