●CUPID 9●
「…あ……もう、だめ…――」
ビクンと塔矢の体が痙攣して、達したのが分かった。
すぐ後にオレにも限界がきて、彼女の中に注ぎ込む。
「進…ど…」
「ん……」
キスの連発で、オレと塔矢の唇はほとんどくっついたままだ。
と同時に下半身も達した後も挿れたまま。
もう何回もイってるけど、まだまだ出来そうな今日のオレの性欲は我ながらすごいかも。
塔矢は塔矢で、初めてのくせに感度良すぎだし。
このままマジでオールで出来そうな勢い……
「…ん…?」
「ちょっと後ろ向いてくれる…?」
「…うん」
少し抜いて、体勢を変えてみた。
動物みたいな格好が恥ずかしいのか、枕に顔を隠してる。
「いい眺め…」
「や…見ないで…」
彼女の秘部からはオレが出した白い液体が垂れてきていて、栓をするように再びそこに押し入れた――
「…あっ、…あぁ…っ、ん…」
激しく突いて、出し入れを続けて、お互いを絶頂にまで導いていく――
でも、この体位はあんまりよくない。
塔矢の顔が見えない。
次は上に乗ってもらおうとか思いながら、更にスピードを早めた―――
「…あ、やばい。言い忘れてた」
「ん…?」
夜明け前―――ようやく満足出来るぐらい体を重ねた後、塔矢に腕枕してやりながら休憩していた時に思い出した。
「オレ、オマエに誕生日おめでとうって言ってないや…」
「ああ…そういえば」
「日付変わっちゃったけど、おめでとう塔矢」
「ありがとう…」
何度もイき過ぎてぐったりしてる彼女には、誕生日なんか別にもうどうでもいいみたいな感じだ。
うーん…休憩ナシのぶっ続けだったからなぁ…
「あと30分ぐらいしたらさ、もう一回してもいい?」
「…したいなら構わない…けど」
「塔矢はもうしたくない?」
「出来ればこのまま寝たいかな…」
「あと一回だけ。だって…これでしばらく出来ないし」
「……」
もし本当に今夜妊娠したとしたら、来年の9月まで禁欲生活。
妊娠中も出来ないわけじゃないけど、きっと塔矢は嫌がる気がするし。
生まれるまで大事にしたい気持ちはオレも一緒だ。
「…そうだね。分かった、あと一回だけならいいよ」
「サンキュ、塔矢」
チュッと頬にお礼のキスをして、残りの時間眠ることにした―――
「アキラさんをオレに下さい」
次の日――塔矢と一緒に帰宅したオレは、先生の部屋で頭を下げていた。
「絶対に幸せにします」
しばらく沈黙が続いた後、先生がずっと組んでいた腕を解いた。
「アキラを頼む…」
「はいっ!ありがとうございます!」
もう一度頭を下げた後、塔矢が駆け寄ってきた。
「進藤っ」
「塔矢…」
先生と明子さんの前で堂々とキスをしてラブラブ振りをみせるオレら。
コホンと気まずい先生はわざと咳ばらいをしてきたけど、顔は微笑んでいた。
娘が本当に好きな人と一緒になる。
それは親にとってどれだけ嬉しいことなのか、オレが理解出来るのはまだ20年以上も先の話だ。
ホタルが同じように嫁ぐ時。
オレは塔矢のお腹を優しく撫でた――
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