●CUPID 10●






「ママ、キレイなストラップだね」

「昔初めてパパからもらったお土産なんだ」

「へー」


物持ちのいい私のママ。

10年以上も前にもらったお土産を、今でも大切に持ってるらしい。

氷の結晶を模ったディズニーランドのストラップ。

25周年…とか書いていた―――














「そういえばお隣りの家、外国人が引っ越してきたんでしょ?ママ会った?」

「うん。昨日挨拶にみえたけど、ちょっと変わった感じのアメリカ人だったな」

「私も会ってこよ♪」


興味半分で挨拶にいくと、新築なのに何やら薄暗い雰囲気が漂っていた。

出てきた外国人は、何だかメカオタクっぽい若いお兄さん。


「はじめまして。隣に住んでる進藤ホタルです。よろしくお願いします」

「よろしく。ジャック・バーテンブルクです」


へー、日本語ぺらぺらだ。

発音も上手。


「白衣着てるけど、お医者さんなんですか?」

「いや、科学者なんだ。僕の研究見てみるかい?」

「はい♪」


中に入ってみると、図書館かと思うぐらいの本の山だった。

もちろん全部英語。

さっぱり分からない。


「時間について研究してるんだ」

「タイムマシーン?」

「似たようなものかな。マシーンは使わないけど」

「未来とか過去に行けちゃうの?」

「ああ。僕の生み出した方程式によると、一番近いので明日だ。明日の午後1時、あそこの学校の屋上から飛び降りると、時空の裂け目に当たって13年前に行ける計算だ」

「ええ?飛び降りるの??恐すぎ」


その時は笑って流したけど、夕飯の時にその話を家族にすると―――パパとママの表情が変わった。



「ホタル、頼みがあるんだけど」


その時聞かされた真実に耳を疑った。

冗談でしょ?

でも、私が行かないとパパとママは結婚しなかったかもしれないんだって。

それってつまり……私達兄弟が消えちゃうってこと??

それは困る!!



「いいか、着いたらまずオレが住んでるマンションに行ってくれ」

「どこのマンション?」

「地図を書くから」


次の日、棋院主催のイベントに行く。

インターコンチネンタルにディナーに行く。

ディズニーランドに行く。

ママのお見合いの会場に行く。


一個一個詳しく説明してくれるパパを見て、あまりの真剣さにマジな話なんだ…とビックリした。



「あ。もしかしてママのストラップ…」

「そう。オレとホタルでディズニーランドに行った時のお土産なんだ」

「そうだったんだ…」

「いいか、ジャックさんによると再び13年後に戻れるチャンスは一回だけだ。オレを会場まで案内した後すぐに同じ学校の屋上に帰ってこい」

「うん。分かった」


持たされた服やメイク道具とかは何だか大人っぽくてドキドキする。



「頼むな」

「任せて!絶対パパとママをくっつけてくるから♪」




進藤ホタル、12才。


恋のキューピッドになるために13年前に行ってきます―――
















―END―

















以上、2008年アキラ誕生日話でした〜。
おめでとう!アキラさん!

今回は映画「ニューヨークの恋人」を見て、タイムスリップする話っていいな〜と書き始めました。
しかもスリップするのは二人の子供。
ヒカアキをくっつける為に未来からやってくる。
という設定に一人で萌えて書きました(笑)

ヒカルもアキラも頑固な上、鈍感+不器用ですからねー。
誰かが仲介に入らないと結ばれない可能性の方が高い気がします。
一生ライバルで終わって後悔する二人は見たくないよー。
お互いの結婚式に行ってモヤモヤするなんてやだー><
…と思いませんか?(笑)

二人には幸せ家族計画をしてもらいたいものですーvv