●CHANGE 5●





****第五章 進藤の部屋で  アキラ****




何度も来たことのある進藤の部屋。

いつもは碁しか打たなかった。

でも今からすることは―――




「…お待たせ」


バスルームでシャワーを浴びて部屋へ戻ると、進藤が焦り気味に何かを探していた。


「何を探してるんだ?」

「ん…ちょっと」

「ふぅん…」


忙しそうなので、取りあえずベッドに座って待つことにした。


「やっべー…ないや」

「何が?」

「…ゴム」

「……」


いきなり具体的な名前を言われて、恥ずかしさで変な汗が出てきた。


「絶対アイツの部屋だ。最後にしたのあっちだったし」

「アイツって元カノ?」

「うん…。あ、ごめん塔矢。デリカシーないなこんな話」

「何を今更。それに、なくても別にいいんじゃないか?僕が妊娠するなんてありえないし」

「んー…そう思うんだけど、一応生理も来たみたいだし…もしもということが…」

「その時はその時だ」

「…男らしいなオマエ」

「中身は男だからね」

「なるほど」


探すのを諦めた進藤が、僕のすぐ横に腰掛けてきた。

へへっと笑って抱きしめられる。

僕も抱きしめ返してみた。


「柔らかい…やっぱ女なんだなオマエ」

「ん…」

「全身確かめてもいい?」

「いいよ……ぁ…―」


首筋に吸い付いた唇が徐々にずらされ――印を付けられていく。

裾から入りこんだ手が、腰やお腹をまさぐったかと思うと一気に脱がされて、上半身を裸にされた。


「ふーん…可愛いブラ」

「屈辱的だよ…こんなのをするはめになるなんて」

「ペチャパイだったらしなくてすんだのにな〜。結構デカいよな、Cぐらい?」

「う…ん」


後ろのフックを外さずに、ブラジャーを上にずらして揉んできた。

その行為が悔しいけど気持ちよくて声がもれる。


「……ん……ぁ…ん」

「先、固くなってきたぜ?」

「や……―」


きゅっと摘まれたかと思うと口を近付けてきて…吸われた。


「は……ぁ……」


単に吸うだけではなく、舐めたり弄られたり。

慣れた舌遣いに少々胸が痛んだけど、彼の体に抱き着くと…今は僕だけのものだと安心出来た。


「…んっ」


続いて太ももやら股を撫でてきた。

女性の一番大事な場所も服越しに擦られる。


「下、見てもいい?」

「……ああ」


僕の体をベッドの中央に移動させ、服を脱がされながら倒された。

進藤の方も下着を残して全部脱いだ。

彼の体は正直見慣れている。

男だった時はよく一緒の泊まりの仕事が入って、温泉も何回も一緒に入ったものだ。

でも下半身だけがいつもと違う。

下着越しでもはっきりと分かるくらい大きく伸びて、先があたっている場所に染みを作っていた。

僕の体で彼が反応してくれてるのかと思うと嬉しい。


「…ん…っ」

「うわぁ…すげぇ…塔矢が普通の女だ」

「そんなに…見るな」


下半身をじろじろ見られるとさすがに恥ずかしい。

手で覆って隠してみたが、すぐに剥がされて奥に手を伸ばされた。


「…ぁ…」

「すっげーぬるぬる…。ほら、オマエも触ってみろよ」

「え?ちょ…」


僕の手を掴んで、自分で下半身を触らされた。


「な?すごいだろ?」

「…うん」

「オマエさぁ…女になってから自分の体研究してないの?」

「…は?」

「だってある意味女の体見放題の触り放題なわけだろ?オレだったらとことん調べまくるけどな〜」

「そ…そんなことするわけないだろ!」

「なーんだ。クソ真面目な奴。勿体ない」

「進藤っ!集中しないならもう帰るからな!」

「してるって」


指をいきなり秘部に押し込まれ、中を掻き回された。


「…ぁっ、…あ…ぁ…っ」


足も限界まで開かされて、あまりに無防備な体形に恐怖で体が強張った。


「進…ど…」


彼の体を求めるように手を伸ばすと――自身の体を僕の横に寝そべらせて…頬や額にキスしてくれた。

それでもずっと触れてる下半身の指は、次第に二本三本と増えていき、僕の方も準備が整った。




「塔矢…いい?」

「う…ん」


改めて下着を脱いだ彼の下半身は見たこともないぐらい固くなって反り上がっていた。

ゆっくりと僕の入口に押し当てられる……


「挿れるな…?」

「…うん」

「すげぇ痛いと思うけど我慢な?力は抜いて」

「う…うん」


遠慮気味に入ってきた彼の分身。

痛くて涙が出そうだったけど、それより進藤と一つになれた喜びの方が大きかった。


「塔…矢…大丈夫か…?」

「何とか……キミは…?」

「良すぎてダメかも…。すげ…気持ちいい」

「…ぁ…っ、あ…―」


彼が突く度に漏れる声は、自分で聞いても普通の女の人の喘ぎ声だった。

僕…女なんだ…。

進藤と普通の男女のセックスをしてるんだ……


「進藤…好き…だ」

「オレも…好きだよ…塔矢」


抱きしめあってキスをして愛を囁きあって、女になれたことを良かったと心から思った。


「は…もう出るかも…」

「ん…―」

「ごめん…っ、中で出す」

「あぁ…っ―」


最後の最後で一番激しく動かれて、ドクンと僕は絶頂に達した。

男とは全然違う絶頂。

これが女の人の絶頂。

好きな人と達するとこんなに嬉しいものなんだ……



「うー…ごめん…塔矢」

「まだドクドク動いてるよ?まだ出てるんじゃないのか?」

「うー…久しぶりだったし…生初めてだったからかも。ヤバすぎる…これ」


ようやく落ち着いた彼が僕の中から引き抜くと、僕の鮮血混じりの彼のものが溢れるように出てきた。


「気持ち悪いだろ…?ごめんな…」

「平気だよ」


ティッシュで拭ってくれながら謝る進藤の頭を撫でながら、僕は妊娠の可能性について考えてみる。

生理があるということは、卵巣や子宮もあるということになるのだろうか。

なら、妊娠する可能性はゼロではない?

でも、例え妊娠したとしても十月十日経たないうちに僕が男に戻ってしまったら?

その赤ちゃんはどこに行ってしまうのだろう。

それとも僕は一生女のまま?

あの時黒ずくめの男に飲まされたのは薬だ。

女になる薬?

だけど薬というものはいずれ効果がきれる。

それは一体いつなのだろうか。

何もかも謎だらけだ……



「塔矢…好きだ」

「進藤…」

「もし戻らなくても、オレがオマエを嫁にもらってやるから安心しろよ」

「ありがとう…」



その晩――正直に母に電話で話し、進藤の部屋に泊まることを許してもらった。

一回ぐらいでは満足出来ない僕らが一晩中体を合わせていたのは言うまでもない――








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