●My BROTHER, My SISTER 5●








結婚することになった母と進藤のお父さん。

おまけに母のお腹には新しい命も芽生えてるらしい。

突然のことに僕の頭はもう大混乱だ―――






「進藤アキラ…か」


母が正式に入籍した為、またしても名字が変わった僕。

新しい名前を口にすると…少し頬が赤くなるのが分かった。

この名前は僕が将来名乗りたかった名前だ。

もちろんこんな形ではなくて、進藤と結婚して…だったんだけど―――









「塔矢の誕生日って12月だろ?」

「え?うん…」

「オレ9月なんだ♪てことはオレの方が兄ってことだよな!お兄様って呼んでもいいぜ?」

「…ハッ」

「あ、鼻で笑った。妹のくせに生意気だぞ!」

「進藤、ふざけてないでさっさと次の石を置け」

「へいへい」


進藤がバチッといい音をたてて打った。

うーん…いい手だ。

さすが進藤。

さすが僕のライバル。

さすが僕の…兄?


「はぁ…何だかなぁ」


溜め息をついてソファーに倒れ込む僕を見て、進藤が笑ってきた。



ちなみに、僕らが今対局しているこの場所は、家のリビングだったりする。

先日この新しい家に引っ越してきた僕ら。

一階はLDKと和室2つとバスルーム。

二階は両親の寝室と僕の部屋と進藤の部屋がある。

おかげで毎日が緊張の連続だ。

新しいお父さんが出来たってだけでも気を使うのに、よりによって進藤と住まなくちゃならないなんて…。

しかも兄妹として…。

はぁ……




「な、腹減った。塔矢昼メシ作ってよ」

「もうお昼か。いいよ、何がいい?」

「焼き飯か炒飯かピラフ♪」

「…分かった。それ系ね」

「うん♪」



平日の昼間だから、当然お父さんは仕事。

お母さんも今日は華道教室の日だから、家にいるのは僕ら二人だけだ。

僕がキッチンで料理している間、進藤はご機嫌にテレビを観ていた。


「…何だか二人きりだと僕らが新婚のカップルみたいだな…」

「は?!な、何言ってんだよ、オマエ!」


僕がボソッと呟いた言葉が聞こえたのか、直ぐさま反応した進藤が真っ赤な顔をして振り返ってきた。


「オレら兄妹だろっ?!変な想像すんなよな!」

「別に変な想像なんかしてないよ。キミじゃあるまいし」

「オレがいつ、んな想像したって言うんだよ!」

「ふん、今もしてるんじゃないのか?言っておくけど、いくら女性に飢えてるからって、妹に変な気を起こさないでね、お兄ちゃん」

「はぁ??飢えてねーし!つーか、気持ち悪い呼び方すんじゃねーよ!」

「さっきはお兄様って呼べって言ったのはキミだ」

「お兄様とお兄ちゃんは全然違うの!!」

「あっそ。さ、炒飯出来たよ。食べよう」

「お、おぅ」


気を取り直して昼食を食べ始めた僕ら。

でも進藤の顔はなぜかずっと赤いままだった。

何を考えてるんだか……いやらしい。



「…なぁ、塔矢」

「何?」

「もしも、だからな。もしもオレらが…その、間違いとか起こしちゃったりなんかしたらさ、それって近親相姦になるのかなぁ…」



は?



「…なるわけないだろう。僕とキミは一滴の血も繋がってないんだから」

「だよな…!よかった〜!」


よかった??

何で??









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