●My BROTHER, My SISTER 22●







「アキラ、そういえばオマエって何型…?」

「え?ABだけど…」

「AB??!」

「え?うん…」

「オレもそうなんだけど…父さんも確かO型なんだよ」

「えっ!?」


O型の親からAB型の子供は生まれない。

塔矢先生の言う通りなのかもしれない。

可能性が見えてきた。


オレとアキラは急いで日本へ帰った―――









「父さんっ!!!」

「ヒカル、もう帰ってきたのか?今朝北京に向かったばかりじゃなかったか?」

「父さんお願い!思い出してほしいことがあるんだ!!」


家に帰った途端、オレはまた父さんに詰め寄った。


「父さんが母さんと浮気したのって、いつ??」

「は?何だ急に…」

「いいから、いつ!?答えてよ!!オレとアキラの人生がかかってるんだ!!」

「…前にも言った通り、大学4年の…忘年会だ。12月…27日か28辺りだったと思うが」

「じゃあ母さんから子供が出来たって告白されたのは?」

「…一ヶ月後だ。1月の終わり…」

「じゃあ、明子さんと別れたのは?」

「その3日後だ。1月の最終日」

「じゃあ…別れた後、明子さんと関係を持ったことは?」

「ない。会ってもいない。料理教室で再会するまで…一度もな」

「本当に?」

「ああ」


塔矢先生はその4月に明子さんとお見合いして……結婚。

4月時点で2ヶ月だったって言っていた。

じゃあ、逆算するとアキラが作られたのは3月。

アキラの誕生日から逆算しても、それは間違いないだろう。

でも父さんが明子さんと別れたのは1月の終わり。

それ以来関係は持っていない…と、なると………


「…本当だ。アキラは父さんの子供じゃないや…」

「え?どういうことだ?」

「父さんはとりあえずDNA鑑定受けといて。詳しいことは後で話すよ」



オレとアキラは今度は明子さんのいる病院へと急いだ。

途中のタクシーの中では、次第に喜びが隠せなくなってきて、オレもアキラも顔の筋肉が緩んできていた。


「やばい…どうしよ。オレ、今すっげー叫びたい気分。やったー!って」

「僕も…」

「でもさ、父さんの子供じゃないなら……オマエって一体誰の子なんだ?」

「分からない。お父さんでもないみたいだし…、母に話して貰うしかないね」



病院に着いたオレらは、急いで明子さんの病室へと向かった。

バンッと豪快にドアを開けると、明子さんに「し?っ!」とされる。

妹が寝てるみたいだった。


「どうしたの?二人とも。そんなに息切らして」

「お母さん…本当のことを話して下さい」

「本当のこと?」

「僕の本当の父親は、進藤さんじゃないんでしょう?一体誰何ですか?」

「嫌だわ、何を言い出すのかと思ったら。正夫さんに決まってるじゃない」

「でも!それじゃあ計算が合わないんです!…血液型も。僕が進藤さんの子供であるはずがないんです!」

「アキラさん、私がそんなに尻軽な女に見える?私は今まで正夫さんとあの人以外、誰とも関係を持ってないの。でもあの人とお見合いをした時には、既にあなたはお腹にいたのよ。ね?正夫さん以外ありえないでしょう?」

「そうですけど……、でも…っ」

「私が嘘をついてるとでも言いたいの?」

「そうじゃないですけど……」



…一体どういうことだ?


父さんか明子さんの…どっちかが嘘をついてるのか?

でも二人ともそんな風には見えないし、やけに自信ありそうだし…。

さっぱり分からない。

でも、アキラが父さんの子供じゃないのは血液型から考えても確かなんだ。

つまり、オレと血は繋がっていない。

オレら…結婚出来るんだ。

子供も堕ろさなくて済むんだ。



やったー!!








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