●My BROTHER, My SISTER 10●
今まで彼女なんかいなかった。
いなかったのに、女性経験があるのって変?
ただ寂しくて、やりきれなくて、女の肌を求めた時期があった。
毎晩名前も知らない女と意味のないセックスの繰り返し。
一対一の恋人ごっこならまだマシ。
一対ニの時もあったし、三…、ニ対ニの時もあったっけ。
お金を出せば軽い女の子は簡単に脚を開いた。
出さなくても開く子もいた。
逆にお金をくれるお姉さんだっていた。
あの頃の自分の行動を『荒れてた』と一言で片付けてしまえばそれまでなのかもしれない。
後悔した。
反省もした。
今度女の人と関係を持つ時は、好きな子と付き合った上で、愛のあるエッチがしたい。
そう思ったから、今まで告白されても誰とも付き合わなかった。
オレが好きな奴は昔から…塔矢アキラ一人だから―――
「…て、もう『塔矢アキラ』じゃないんだよな?」
「え?うん…『進藤アキラ』だね」
「うわー…何か悔しい。自力でその名前にさせたかったのに、父さんに先越されたっ」
「そうだね。僕もこんな形で名乗りたくなかったかな」
入れ代わりで風呂に入った後、オレの部屋に集合。
集合というか、オレが塔矢を部屋に引っ張りこんだ、が正しいかな?
パジャマ姿の彼女が緊張気味にベッドに座っていた。
オレもすぐ横に座る。
「…な、二人っきりの時だけでもいいからさ、アキラって呼んでもいい?もう塔矢じゃないんだしさ」
「呼び捨てなのか?」
「当然♪なんせオレはお兄様だからな!それともアキラちゃんの方がイイ?」
「…気持ち悪い」
「じゃあやっぱアキラだな♪」
そのアキラの唇に、オレはそっとキスをした。
「――…ん…」
うっわー…すっげぇドキドキする。
でもこんなにキスが嬉しいのは、こんなに心が満たされるキスは初めてだ。
「…んっ、…ふ…、んっ…―」
舌も挿入して、絡めあって、どんどん深く混ざり合っていった。
片目だけ少し開けると、真っ赤なアキラの顔が。
目尻からは涙が少し零れてるみたい。
可愛いなぁ…。
「……ん…っ!」
胸に手を伸ばすと、アキラの肩がビクッと動いて体全体が強張った。
パジャマの上から優しく揉んでいく。
最初は右手だけで。
やっぱ左手も。
意外と大きい?
C…いや、Dかな?
「――…ん、…は…っ、ぁ…はぁ…進…ど…」
「すげー柔らかい…」
「……ぁ…っ―」
パジャマのボタンを外していった。
上から下まで全部。
寝る時は下着を着けてないのかな?
パジャマを脱がすともう胸が丸見えだった。
「進藤…、電気は…?」
「恥ずかしい?」
「…かなり」
「んー…じゃあ消すか。でも代わりにベッドのライトは点けるぜ?」
「…うん」
一度ベッドから下りて、部屋の電気を消しにいった。
うお、真っ暗!
手探りでベッドのライトのスイッチを探す…。
パチン
「…へぇ、間接照明の方がムード出るかもな」
「そう…だね」
再びアキラの横に座って、ぎゅっと抱きしめた。
ガチガチに緊張してる。
初めての女ってこんなもんなのかな?
でも、自分の彼女が初めてなのって、すっげぇ嬉しい!
…オレもそうだったらよかったのにな。
今日が、アキラが、初めてだったらよかったのに――
「優しくするからな…」
「うん…――」
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