●TIME LIMIT〜明人編〜 3●





「わ〜、このロビー変わってなーい♪」



ご機嫌な美鈴ちゃんを連れて、オレはそのホテルのフロントにやってきた。

土曜だけどこの辺りのホテルはむしろ平日の方が混むので、喫煙室も禁煙室も、どの眺めの部屋も、スイートも、余裕で一通り空いていた。

父さん達が泊まった時はスイートだったみたいだけど、正直言ってバカだろう。

ま、父さんはあの頃既にタイトルホルダーだったし、年に一度のその誕生日の為に生きてたようなものだったみたいだから……ある意味そのお金の使い方は間違ってないのかもしれないけど――




「あれ?ちょっと内装変わったのかな?」

「変わらない方がおかしいと思うよ。だって美鈴ちゃんが泊まったのって20年前でしょ?」

「20年??そっか…そうよね、私もうすぐ三十路だもんね…」


結局オレらが選んだのは、美鈴ちゃんが8歳の時に姉さんと泊まったという部屋のダブル版。

20年という歳月にショックを受けた美鈴ちゃんは、ベッドに突っ伏してしまっていた。


「あの時まだこの世に存在してなかった明人君が…もうハタチだもんね。早いなぁ…」

「……」

「私、小学生の時は絶対20代前半で結婚するって思ってたのにな…。ううん、大学まではそう思ってた。なんでこんなことに…」

「…まだ28じゃん」

「来月29になっちゃうもん。このままじゃアッという間に三十路よぉ!三十路になっても普通に独身でいる自分が目に浮かぶわ…」

「じゃ、オレと結婚する?」


オレもベッドに上がって…横になっていた美鈴ちゃんの手首を掴んで転がして――組み敷いた。


「明人君…」

「オレは美鈴ちゃんと結婚したいって思ってるよ。出来ることなら…今すぐにでも」

「………」

「オレとじゃ嫌?」

「……なんか」

「え?」

「なんか…恥ずかしい」

「恥ずかしい?」


頬を赤めた美鈴ちゃんが、視線を逸らしてきた。


「だって明人君のこと、生まれた時から知ってるし。あの赤ちゃんだった明人君に…上に乗られるなんて…」

「この前も乗ったじゃん。…というか…シたし」

「わ、私はあの時の記憶がないの!飲んだ後の記憶がないの!起きたらラブホで隣に明人君が寝てて…」


どんどん顔が赤くなってテンパっていく美鈴ちゃんを見ていると、どんどん理性が遠退いていくのが分かった。

めちゃくちゃ…可愛い。

我慢出来なくなる。


「美鈴ちゃん…」

「きゃん…っ」


首にキスをして、筋に沿って舌を這わしていった。


「明…人…くん」

「さっき言ってたの…実践してもいい?」

「何…だっけ?」

「子作り…」

「……」

「オレ、美鈴ちゃんに父さんと似てるって言われるの…あんまり好きじゃないけど、実際似てる部分もあると思う」

「あ…嫌だった?ごめんね、明人君は明人君なのに…」

「でもオレも父さんと同じだよ…。子供がほしい。美鈴ちゃんとの…」

「明人…くん」


服を脱がして下着をずらして、彼女の肌に触れ…弄っていった。

豊満な胸ももちろんいいけど、少し出てるこの柔らかいお腹もオレは好きだ。

程よく括れたこの腰も、太股も、お尻も、頭から脚の爪先まで全部が愛おしい。

美鈴ちゃんに触れてるだけで幸せな気分になれる。


「明人君も脱いで…?」

「ん…」


オレの方もトランクス一枚になると、美鈴ちゃんが体を起こしてきた。


「大きくなってるね…。先…濡れてる」

「うん…」

「触ってもいい?」


オレが返答する前に、彼女の手はオレの下半身に伸びていた。

最初は下着の上から、でもすぐに捲られて……直に握られる。


「は…っ…」

「昔千明と三人でよく一緒にお風呂に入ったよね…」

「それオレが何歳の時?覚えてないんだけど…」

「2、3歳かな?4歳かも。あの頃はココも小さかったのにねー」

「……」


美鈴ちゃんの口が近付いてきた。

チュッと先にキスをされた後――舌で付け根まで舐められる。

口に頬張られ、唇と舌で弄られる。


「はぁ…、っ…」

「ふふ、明人君のコレ、すっごく綺麗。あんまり使ってないでしょ?」

「…これから使う予定だから」

「あはは、そっかぁ〜そうだね」

「……」


彼女のその余裕ぶりを無くしたくて、オレも彼女の下半身に手を伸ばした。

すっげーぬるぬるしてる…。


「何か…もう入りそう…」

「やん、入ると思うけどまだ挿れちゃダメだからね」

「じゃ、オレも舐める」


美鈴ちゃんの脚を開けれるだけ開いて、舌で弄っていった。

溢れてくる愛液を吸うように飲んでみる。


「はぅ…っ、ん…っ、や…だっ、気持ち…い…」


指を中に入れて掻き回しながら、舌でクリを弄って舐めて。

中がすっごく熱くて狭くて気持ちいい。


「美鈴ちゃんの中…気持ちいい」

「んん…まだ指だけでしょ?」

「指だけでも気持ちいいよ」

「ん…じゃ、もっと気持ちよくしてあげる…」


来て…と耳元で囁かれたオレは、直ぐさまその秘部に自分のものを押し当てた。

少し力を入れると、たちまち中に飲み込まれていく――


「は…っ、美鈴…ちゃん」

「ん…やだ、私、明人君と繋がっちゃった…」

「まだ…恥ずかしい?」

「恥ずかしいよぅ…、明人君とエッチする日が来るなんて…思わなかったもん」

「オレは美鈴ちゃんと…したかったよ。ずっと美鈴ちゃんのこと想像して…抜いてたし」

「やだ、ホントに?」



オレの自慰の相手は最初から美鈴ちゃんだった。

想像だけならもう何十回、何百回と犯してる。

でも、実際にはまだ2回目。

…いや、この前のは美鈴ちゃんの方に記憶がないから、これが初めてだと言ってもいいかもしれない。

初めてのエッチを、父さん達の思い出のホテルでするなんて……なんだかなぁ。

でも、父さんが成功したのなら、オレだって成功するかもしれない。



「く…っ、も…出してい…い?」

「は…ぁ…いいよぉ…」

「…っ――」


ドクドクという音が聞こえるぐらい下半身が痙攣して、溢れさせているのが分かった。

すぐに抜かないのは、出した精液が流れ出ないようにする為。

どんだけ子供が欲しいんだって感じだよな。

でも、本当は子供が欲しいんじゃない。

美鈴ちゃんが欲しいんだ。

彼女を手に入れる為に、一生傍にいてほしい人だから、確かな繋がりが欲しいんだ――



「好きだよ…美鈴ちゃん。愛してる…」

「明人君…」

「ずっと…ずっと大好きだった…。やっと手に入れた…。もう離れないからな…」

「うん…いいよ。私を離さないで…」



今日初めてのキスをして、繋がったまま…オレは彼女の胸の中で目を閉じた―――









****************









思い出のホテルが望めるオレの部屋を美鈴ちゃんは気に入ったのか、それからは頻繁に来てくれるようになった。

もちろん合い鍵を渡してある。

たまに棋戦が長引いてヘトヘトで部屋に帰ると、美鈴ちゃんがご飯を作って待ってくれたりして、オレはもう感動で涙が出そうだった。



「…あ、そういえば父さんが夕飯食べに帰ってこいって言ってたな」

「そうなの?たまには行ってくれば?」

「彼女…連れて来てもいい、とか言ってたけど…」

「やだ、私、明人君の彼女としておじさん達に紹介されるの?」

「やだ、って…」

「だって今更じゃない!」



恥ずかしがって中々OKしてくれなかった美鈴ちゃんだけど、彼女が29歳の誕生日を迎えたその日――突然「行ってもいいよ」と言い出した。



「でも、『彼女』としてじゃなくて…」

「え?」

「その………今朝分かったんだけど………出来たみたい…なの…よね」



えっ??!



「産んでも…いいよね?」

「当たり前だよ!結婚しよう!絶対に幸せにする!」

「うん…――」



あっという間の結婚。

翌月には晴れて入籍して夫婦になったオレらがいた。



ちなみに姉さんもオレらに触発されたのか、一ノ瀬さんとの結婚をようやく決めたりするんだけど。

でもってオレら夫婦は隣同士で家を建てたりするんだけど。

その辺りのことはまた別の機会に―――








―END―






以上、美鈴編の明人君視点なお話でした〜。
こんなとんでもエロ話をインテでペーパーで配ったんだからビックリですよね!(笑)

再会したのが10月中旬の二人。
妊娠したのが11月だから交際期間はほぼ一ヶ月な二人です。早いねー。

おまけのヒカル視点もあります。ではどうぞ〜☆

おまけ