●AGAIN +8●






見られた見られた見られた。

もう終しまいだ。

きっと全てがバレてしまったのだろう。


そうだよ。

サトルは僕の弟なんかじゃない。


キミと僕の子供なんだ―――















「でさ、ここはハネた方がいいと思うんだよ。で、こっちを殺す」

「うん、いい手だ」


けれど、あれから一ヶ月経ったけど、進藤は何も言ってこなかった。

会えば検討検討検討。

彼自身、本因坊戦でそれどころじゃなかったのかもしれない。



「やっぱ桑原先生って強えわ…」


結局―――2勝4敗で進藤は本因坊を奪取出来なかった。



「次は名人のリーグ戦が大詰めだね。頑張って」

「ああ。オマエも明日の復帰第一戦頑張れよ」









7月―――僕は手合いに復帰した。


変な縁があるのだろうか。

初戦の大手合の相手は―――松澤女流本因坊だった。


「戦えるなんて光栄です」

「お互い全力を尽くそう」

「はい」

「お願いします」

「お願いします」


実際に打ってみて納得した。

確かに……強い。

新プリンセスと言われるだけはある。

これが若干16才で女流本因坊を取った新星の実力か。


―――でも


「…ありませんっ」

彼女が頭を下げてきた。

その顔は悔しそうというよりは嬉しそう?

満足そうに

「ありがとうございました」

と笑顔で言って帰っていった。



「塔矢、勝ったのか?」

「あ……うん」


進藤も終わったらしく、僕に一緒に帰ろうと言ってきた。


「松澤さんてオマエのファンらしいぜ」

「へぇ…」

「瞬殺されるの本望とか言ってたから、喜んでなかったか?」

「ああ…だからか」



棋院を出た所で―――進藤が手を握ってきた。


真剣そうな顔でこっちを見つめてくる。



「…あのさ、これからメシ食いに行かねぇ?」

「え?別にいいけど…」


実は近くのフレンチレストランをわざわざ予約してくれてたらしい。

二人きりでこんな改まった食事。

初めてで何だかちょっと緊張する。

進藤もいつもより口数少ないし……


「…塔矢。今日は大事な話があるんだ」

「なに?」

「オマエがこっちに帰ってきてから、初めてオマエん家に行った時のことなんだけど――」

「………」

「オレ、その時は女って年頃になると皆母乳が出ると思ってたんだ」

「まさか…」

「うん。だから和谷に訂正されて驚いた」

「………」

「でも、それじゃあなんでオマエは出るんだろう…て考えた」

「……で?」

「答えはすぐ出たよ。オマエの弟は……本当はオマエが産んだんだろ?」

「……うん」

「あの時の子供…なんだよな?」

「…ああ」

「オマエ、いつかオレに言ったよな?まだ16才のオレにどう責任が取れるって言うんだ…って」

「ああ…」

「オレ、あと二ヶ月もしたら18になる。責任……今から取ってもいいか?」





………え?
















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