●AGAIN +4●







僕がなぜ中国に行ったのか、キミは知ってる?





両親と約束したからだ。

中国で………中絶するって―――


でも、出来なかった。

キミとの子供を殺すことなんて僕には出来なかった。

嫌。

無理。

したくない。

泣いて両親を困らせた。



「…分かったわ。そこまで産みたいなら産みなさい」

「お母…さん」

「ただし、私達の戸籍に入れさせてちょうだい」

「……?」

「アキラさん、世間はあなたが思ってるより冷たいわ。しかも、あなたはただの16才の女の子じゃないのよ。棋士として第一線でまだまだ頑張っていかなくちゃならないんでしょう?」

「………」

「だから、私が産んだことにしましょう。あなたの弟妹として育てるのよ」


スキャンダルは娘の囲碁生命を閉ざす。

必死の両親に、僕は首を縦に振るしかなかった。


それでもよかった。

キミの子供が産めるなら―――





















「塔矢、デートしようぜ」


帰国して、待ちに待った彼との初デート。

こんなの初めて。

すごく楽しかった。


「遊びに来ない?」

と家に誘われた時もウキウキとついていった。

もしかして…エッチ、とか、するのかな…とドキドキして。

あの時とは違う、優しく彼が僕を抱いてくれるシーンまで想像して、一人で照れてしまったぐらいだ。


だけど彼が僕の胸に触れた瞬間―――現実に戻った。


どうして今まで忘れていたんだろう。



そうだよ、僕…………母乳が出るんだ……












「………はぁ」


逃げるように家に帰った後、残念すぎて溜め息が出た。

時間なのでサトルを抱っこして―――ミルクを飲ませた。

美味しそうに吸う弟。

目の形とか…結構進藤に似てる…。

もしあのまま進藤とエッチしてたら、彼もこんな風に僕の乳首を吸ったのだろうか。

母乳が出てきたら驚くだろうな…なんて。


「アキラさん、進藤さんとのデートどうだった?」

母が興味津々に聞いてきた。

「すごく楽しかったです」

「もうちょっと遅くなるかと思ってたんですけど、ずいぶん早かったわね」

はい…そりゃあもう健全な17才のデートですから。



「お母さん…母乳っていつまで出るんですか?」

「サトルさんが吸わなくなるまでよ」

「それって………まだまだ先?」

「そうねぇ…個人差があるけど、アキラさんは10ヶ月ぐらいまでだったから同じぐらいじゃないかしら」

「10ヶ月…」


サトルは今4ヶ月。

ということはまだ半年も先??

目眩がしそうだ………


「早く止まってほしいなら粉ミルクにすればいいわよ?」

「いえ、母乳で育てます。そっちの方がいいって何かの本に書いてあったし」



ごめん進藤。


あと半年待ってくれる?















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