●AGAIN +3●
「塔矢、デートしようぜ」
塔矢の帰国から数日後―――オレは彼女と初めてデートをすることにした。
待ち合わせ場所にやってきたコイツは、薄緑のパステルカラーのワンピース。
「スカートなんか穿いてるところ初めて見た…」
「向こうにいた時はいつもスカートだったんだ。だから慣れちゃった」
「へー」
やべ……すっげぇ可愛い。
しかも、なんかコイツ体型変わった??
胸…デカいし。
ウエストは締まってるけど尻はまたいい具合に出てる。
一年前はどちらかと言うとスレンダータイプだったのにな。
「大人っぽくなったな…オマエ」
「キミもね」
ニコッと微笑まれて、オレの腕を取ってきた――
今まで二人きりと言えば囲碁ばかり。
夢みたいな年相応のデートにオレの顔は緩みっぱなしだった。
男友達とじゃ絶対に入れないようなレストランにも入った。
映画も見に行った。
初めてだという塔矢とプリクラも撮った。
服とかアクセサリーだとかの買い物もした。
そして―――
「あれ、乗ろうぜ」
「観覧車?」
日が沈みかけた頃の観覧車は絶景で、オレンジ色に輝いた海にウットリしてる彼女。
そっと手を握って――キスをした。
「―……ん…」
温かくて柔らかい唇。
何度もついばんで……甘い雰囲気なデートの終わりを楽しむ。
「……は…ぁ」
嬉しそうに息を零した彼女の耳に耳打ちした。
「…塔矢、オレ一人暮らし始めたんだ。遊びに来ない?」
「一人暮らし…?」
「うん」
「うん…行きたい」
観覧車を降りたオレらはすぐにオレの家に向かい出した。
リーグ入りもして割りかし給料が上がったオレは、広くはないけど狭くもない、1LDKのマンションにこの春から住んでいる。
一人暮らしの男の部屋に遊びに行くのをOKする…て、どういうことなのかちゃんと分かってるよな?
オレ、言ったよな?
今度は付き合った上でオマエを抱きたいって。
「あ、偉い。ちゃんと片付いてる」
「当然だろー。昨日大掃除したもん」
プッと笑った彼女をソファーに座らせて、オレもすぐ横に座った。
ぎゅっ…と体を抱きしめる。
「今夜…帰らないとまずい?」
「うん…でもまだ大丈夫」
「よかった…」
再びキスをして―――彼女の豊かな胸に触れた。
「――んっ!ダメだ!」
「……え?」
いきなり正気に戻った塔矢は、慌ててオレから離れ――立ち上がった。
「塔矢…?」
「ごめん進藤、用事思い出した。帰るよ」
「え??」
「じゃあまた電話かメールして」
「塔…っ――」
まるで逃げるようにバタバタと帰って行ってしまった。
あまりの早さにしばらく呆然と固まってしまう。
なんでなんだ……?
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