「こらっ！ヒカルっ！さっさと起きろ！」
布団の中に包まって中々起きようとしないオレに向かって、アキラは叩き起こさんばかりの大声で怒鳴っていた。
「いつまで寝てるんだ！研究会があるんだろ？！遅刻するぞ！ヒカルっ！ヒカルって！進藤っ！」
その『禁句』にムカついてゆっくり体を起こした。
「『進藤』って呼ぶな…」
睨んでるオレの目付きにもビクともせず、アキラもオレを睨んだ。
「キミがさっさと起きないからだ」
「……」
朝っぱらから嫌な雰囲気が漂う。
もし昨日上手くいっていたら、今朝はもっと甘い雰囲気だっただろう。
――そう
昨日は結局…最後まで出来なかったんだ。
不発、未完、惨敗、黒星、だ！
畜生っ！
上手いこと布団に押し倒した所までは良かった。
だけどその後すぐ―
「あっ、授乳の時間だ！」
とオレを押し退けてアキラは部屋を出て行ってしまった。
…マジかよ。
数分後に帰ってきたアイツを再び脱がし、乳繰り合ってたのはいいが、しばらくすると佐為の泣き声が聞こえ――アキラはまたパジャマを着て出て行った。
それを繰り返すこと数回…。
子供の前では常にきちんとした格好をしたがるアキラをいちいち着替えさすのは不憫に思え、そのうち服着たまま触り合ってたんだけど―
あまりに佐為が呼ぶので、ロクに進まないまま時間だけが過ぎて―
そのうちアキラが
「もう今日はやめておこう」
と言ったのだ。
ったく、佐為の奴―
盛り上がりかける度に邪魔をしやがって―
昼間はあんなに静かなくせに…！
「朝食出来てるからさっさと食べちゃって」
そう言い放って部屋を出て行こうとするアキラの手を掴んだ。
「…ヒカル？」
そのままぐいっと引き寄せて――キスをした。
「んっ…―」
唇を合わせたまま――ゆっくり布団に押しつける。
「…は…ぁ…―だめだよ…時間ないだろ…？」
「ちょっと触るだけ―」
「もう…」
アキラは少し困ったような顔をしたけど、すぐに抱き付いてきてくれた―。
唇の横にも頬にも首にもキスをして…手は隙間から滑るように服の中を探って行く―。
その手を追うように体にも口付けて、舌を這わした。
胸を揉むとすぐに母乳が滲み出すので、服を汚さないよう即座に舌でそれをすくってやる―。
「やっ…擽ったい―」
「佐為で慣れたって言ってなかった…？」
「キミのは舌遣いがイヤらしいんだっ！」
「ふーん…」
確かに佐為は純粋に乳房を吸うことのみに専念する。
でもオレまでそれじゃ芸がないだろ。
半笑いしてるアキラの様子が可愛くて、更に攻め立ててみる―。
周りからゆっくり唇と舌で刺激を与えながら――それでも最後はオレも先端を甘噛みして吸い付く―。
「ちょっ…、…ぁ…―」
ゴクっとひと飲みすると、張っていた胸もだいぶ緩んで柔らかさを取り戻した。
「どう？ちょっとは楽になった？」
「ん…―」
「もうすぐ授乳の時間だろ？反対側は佐為に飲ませてやれよ？」
「うん…」
ゆっくり体を起こしてやって、最後にもう一度口にキスをして…体を離した。
「ヤベっ、研究会9時からなのに―」
「…ヒカルっ！」
「ん？」
慌てて寝室を出て行こうとしたオレを、アキラが呼び止めた。
「その…ありがとう」
少し照れてるアキラの顔が可愛くて、自然と顔が緩む。
「いいって。ご馳走さま♪」
片目を瞑ってそう言うと、アキラの顔はますます可愛く赤面した。
畜生っ…！
研究会がなかったら絶対最後までするのにっ！
台所に行くと、オレ用の洋食の朝食が用意されていた。
もちろん牛乳もある。
こっちの方も一口飲んでみた。
「…うーん」
やっぱりこっちの方が美味しい…。
――そう
アイツのは味的には劣っているんだよな…。
何というか…めちゃくちゃ薄い。
それも牛乳を薄めた味じゃなくて…カルピスを薄めすぎたようなのに近い…。
さすが人間の赤ん坊用、だ。
それに生温かったりする。
――でも
オレにとっては絶品なんだよな。
味はともかく、嫌がりながらも感じてくれるアイツの表情が堪んない…。
「ヤベ、マジで遅れる」
うっとりしてる場合じゃねェ！
慌ててパンもサラダも一気に流し込んだ。
「アキラ、行って来るな」
「うん、気をつけて」
佐為を抱き抱えて見送りにきてくれたアキラの口に、軽くキスをした。
続けて佐為の頬にも―。
昨晩散々ジャマされたのには少しキレるが、やっぱり姿を目の当たりにすると…我が子は可愛くて仕方がない―。
「今夜は……出来るかな？」
気まずそうにそう聞くと、アキラも眉を傾けながら
「出来たらいいね」
と曖昧に笑いながら答えてくれた。
本当…
これからどうなるんだろ…？
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