●TIME LIMIT〜17才編〜 2●
進藤がシャワーを浴びてる間、僕はどうやったら回避出来るのかをずっと考えていた――
生理中だと嘘をつくのはどうだろう。
いや、一発でバレるし…きっと彼は例え生理でも関係なしにするつもりだろう。
じゃあ逆に危険日だと言ってみるのは?
いくらなんでもこの歳で出来たら彼も困るだろう。
いや、でも元々避妊するつもりなら危険日だろうが安全日だろうが関係ないか……
「うーん…うーーん…」
「なに唸ってんだよ?」
「え?あ…いや、別に…」
いつの間にかお風呂から上がっていたみたいで、頭を拭きながらソファーにいる僕の横に座ってきた。
僕に拭け、とタオルを渡される。
仕方なく彼の頭に手をかける…。
「塔矢に拭いてもらうと…すげぇ気持ちいい」
「そう…?」
髪の毛を拭いてあげながら、横目で進藤の浴衣姿を盗み見た。
少しいつもより前を開けてるから、鎖骨とか胸元がよく見える。
いつまでも少年のようなイメージが強い彼だけど、いつの間にかちゃんと『男』になっていた。
いつの間にか僕より身長も高くなって…声も低くて…筋肉もついてきて。
僕もそう。
いつの間にか女の体になった。
今夜の僕らは普通の男と女なんだ。
恋人同士という設定の…男と女……
「……塔矢」
「――え…?…ん…っ」
いきなり唇を奪われた僕は、ただ驚いて…固まることしか出来なかった。
でも優しく何度も啄まれると、なんとなく心地よく感じてきて…次第に僕の方も目を閉じた。
「…んっ、ん…ん……―」
一年ぶりの進藤とのキス。
ライバルと一体何をしてるんだろう…という気持ちとは裏腹に、あまりにも甘くてとろけそうなキスに夢中になってしまう。
勝手に僕の手が彼の首の後ろに回って――進藤の手も僕を抱きしめるように腰に回ってきた。
そして徐々に激しく、恋人同士のキスになっていく。
お互い舌を絡めあって、唾液が混ざるぐらい貪りあって。
「んん…っ、ん…ふ……―」
キスって気持ちいい。
でも…その先のことの方がもっと気持ちいいことを僕は知ってる。
去年進藤に嫌ってぐらい教え込まれたから…――
「――…は…ぁ、は……進…ど…」
「塔…矢……」
息を整え終わる前にもう一度軽くキスをして――進藤にベッドに引っ張っていかれた。
僕が先に横になって、続いて進藤が上に乗ってくる。
「塔矢……好きだ…」
「…進藤」
首筋にキスされながら…囁かれた。
好きだ。
好きだ好きだ好きだ。
何度もそう繰り返されて、頭に刷り込まれていく。
「好きだ…大好き塔矢…」
「…どうせ他の女の子にも言ってたんだろう…?」
「ヤキモチ?」
「……別に」
クスッと笑われた。
「そりゃ…その気にさす為にちょっとは言ったかもしれないけどさ。でも…本気で言ったのは塔矢にだけだから」
「ふぅん…そう」
「あ、信じてないな」
「………」
プチプチと胸元のボタンを片手で器用に外されていった。
徐々に露になってきた僕の肌にもキスをして――舐めて…
「塔矢は…セックス一年ぶり?」
「…悪かったな」
「ううん…すげぇ嬉しい。まだオレしか知らない体なんだ…」
「………」
「ずっと…オレしか知らなければいいのに…。このままオレのものに出来たらいいのに……」
「…今はキミのものだよ。僕は……『恋人』…だから」
再びあげる『恋人』のプレゼント。
今夜、進藤と僕はどんな恋人になるんだろう―――
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