●YOUR HOUSE, YOUR ROOM 6●





進藤と体の関係を持ってしまった。





「……」

横を見ると、まだ気持ち良さそうに眠っている進藤の姿がある。

寝顔がすごく可愛い…。ついじーっと見入ってしまった。

すごく不思議な感じ…。

ほんの3日前までロクに話もしなかったのに―。

3日前にキミへの思いに気付いて、2日前に告白された。

そして昨日気持ちが通じたかと思ったら、今日にはもう体を重ねてしまっている…。

早過ぎと言えば早過ぎだけど…。

でも……嬉しい。

ずっと、キミと、こうしていれたらいいのに――。


「進藤、起きて!もう7時だよ!」

「んー…もう朝ー…?」

「なにを言ってるんだ!夜の7時だよ!キミ、帰らないと――」

体を布団の上から揺すると、進藤の瞼が上がってきた。

僕の方に顔を向けて…微笑んでくる―。


「泊めて?」

語尾にハートマークが付きそうなぐらい甘えた声で促してきた。

「だ、ダメだ!泊まってしまったら朝からした意味がなくなるじゃないか!」

「アキラ冷たいー」

布団の中から僕に擦り寄ってきて、鎖骨にキスが落とされた。

「オレ…まだ離れたくない」

「そりゃ…僕だってそうだよ―」

「じゃあいいじゃん!今日は一緒に居よ?」

「でも…」

「家にはちゃんと連絡するからさー」

「……うん」

それなら…とOKすると、進藤が更に抱き付いてきた。

「やったー!これであと2回は出来るぜ!」

「は?え…何言って―。朝から散々やったんだからもういいだろ…?」

「やだー。まだ全然足らねぇ…」

そう言いながら僕の胸を揉み出したので、慌てて離そうと進藤の手首を掴んだ。

「キミは猿か!」

「オマエを抱けるんだったら猿でも何でもいいよ…―」

「こらっ…ぁ…―」

掴んでいたはずの手がいつの間にか反対に掴まれて、進藤の口が僕の乳首を舐めて吸い出した―。

しばらくすると思考が上手く回らなくなり、またされるがままの僕がいた―。



――そう

実は今朝からずっとこの調子だ。


部屋に招いた後、すぐに僕は彼に押し倒された―。

お互い初めてだったからかなり不安だったんだけど、意外に彼は急がずゆっくりと持久戦で事を進めてくれたので、初めてのわりには僕も思ったより苦痛を強いられなかった。

だけど一度してしまうとストッパーが外れたみたいに彼の欲求はとどまることを知らず、そして僕も今まで散々打てなかった欲求不満が、こっちの欲求に同調してしまったかのように無我夢中で受け入れてしまった。

それから今まで間で小休憩は取るものの、ずっとこの調子だ―。



「…進藤、僕ら今日碁打ってないよね…」

「そういや…そうだっけ」

「今から打とうよ」

「いいぜ」


また一通り終わった後、思い出したように囲碁を持ち掛けると、進藤はためらうことなくそれにのってきた。

僕らは体を起こして、服を着ようとしたわけだけど……


「うっわ、部屋ん中ぐちゃぐちゃじゃん…」

「本当だ…」

改めて自分達の周りを見渡すと、散乱した服やらアレやらソレやらで一瞬言葉を失うかと思ったくらい酷い有様だった。

「うーん…オレって絶倫かも。こんなに出してるのにまだ出来そうだもん」

「いいからっ、さっさと捨てて!」

シーツで体を包み、進藤にも手伝ってもらい、なんとか元通りに片付けようと試みた。


「なぁ、風呂入ってもいい?何か体が汗で気持ち悪くて…」

「いいよ。場所分かる?」

「ううん」

仕方ないので着替えだけ持たせ、浴室の場所へと案内した。


「ここだから」

「うん、ありがと」

だけど帰ろうとした手を掴まれた。

「一緒に入ってはくれないわけ?」

「まさかっ!僕はお風呂は一人じゃないと落ち着かないんだっ」

「ちぇっ」

残念そうに舌打ちする進藤を無視してさっさと自室へ戻った。


「はぁ……」

思わず部屋に入った途端、床にしゃがみ込んで、手をついてしまった。

何をやってるんだ僕は…。

進藤ってこんな奴だったのか?

もっとこう………

あれ…?

そういえば今まで365日間ずっと気になって考えない日もなかったぐらいだけど、それ以前はロクに話したことがなかったんだった…。

打った回数も小6の時に2回……

中1で1回…

中2は…打ってないな。

そして一昨日に1回(プラス検討)

昨日放課後に2局…。

今思い返すとこれでよくライバルだの告白だのしたものだ…。



「塔矢出たぜ〜」

サッパリとした顔になった彼がタオルを首から下げて戻ってきた。

思わず胸がきゅんとする。

か、可愛い…!

僕は彼の棋力や行動にも惹かれてるが、もしかしたら容姿もかなり僕好みなのではないだろうか。

「塔矢?オマエは入らねぇの?」

「あ、いや、入るよ」

ドキドキして少しニヤけた面持ちで部屋を出ようとしたら、後ろから抱き締められた。

「塔矢ぁ〜。一局打って、もしオレが勝ったらさ……またしてもいい?」

「いいよ。でも僕が勝ったらもう一局だからな」

「うん。それって勝っても負けても最高っ!オレ、オマエと碁打つのもセックスするのも大好きっ」

「……僕もだよ」

そう言うと、横から顔を覗かせて…唇を合わしてした―。

「これから今まで出来なかった分、いっぱい打ったりヤったりしような♪」

「うん…―」



キミの言動には相変わらず謎な所も、納得のいかないことも多いけど………とにかく、これからだ。

今までの、2年4ヶ月分の空白をゆっくり埋めていこうね、進藤。












―END―












以上、急速展開話でしたー。
早いよお前ら…。
原作でもそうですが、こいつらってあんなにお互い無視しまくっておきながら、何でお互いのことを一番理解してるんだろう…と思います。
特にアキラの思い込みはすごかった…。
キミの事を一番良く知ってる僕だから分かる、とかなんとかも言ってましたが、もう何年話してないんだよお前ら…。
何で分かるんだよ…。
まさに恋はミステリー。
テレパシーでしょうか。
でもまぁ…この名人戦を境に今までの分も含めてラブラブして下さるといいかと。
いきなり恋人になっちゃうのも素敵ね!
ってのが今回のお話。
アキラはストーカーしたり暴走したり色々大変でした。
にしてもこの話ってあんなにエロを引き延ばし引き延ばししたのに結局最後は素っ飛ばしてしまい……別にR15でなくても良かったのでは…。んん?まぁいっか(いいのか)