●WILLFUL PRINCESS 8●
「進藤、明日合コンあるけど来るか?」
「行かなーい」
和谷の誘いをすぐさま断った。
「何だよ、もう彼女出来たのか?」
「ううん、作るのをやめただけ」
「え?何で?」
「しばらくは碁に集中したいんだ」
「はぁ??お前、前は彼女いた方が集中出来るとかほざいてなかったか?!」
「そうだっけ?」
確かに言ってたような気もする。
だって溜めこんでた方が体に悪いし、集中力も落ちるじゃん?
でもオレは今もっといいものを見つけたもんね。
「あ、塔矢〜」
「進藤、おはよう」
「おはよ」
休憩室に入って来た塔矢にすぐさま近寄っていった。
「オマエ今日碁聖の3次なんだって?」
「うん。キミは?」
「十段の2次。終わったら待っててくれる?オレん家で一緒に結果検討しようぜ」
「いいよ」
――あれから1ヶ月。
「男の部屋には行ったらいけないんじゃなかったのか?!」
と反論した塔矢に
「オレん家以外はな」
と言って連れ込んだ。
塔矢は本当に碁を打った後は大人しく脚を開いてくれて――やりたい放題。
今じゃまるでセフレのような関係だ。
ま、あくまで碁優先でそっちはついでってことなんだけど―。
こいつに好きな奴が出来たらこの関係も終わりかなって思うけど、ほとんど囲碁ばかりの生活で、その合間をオレん家で過ごしているこいつには彼氏なんてまず出来ないだろう。
それでいい。
オマエはオレ以外の男を知らなくていいんだよ―。
前以上に塔矢と過ごすようになったオレは、当然戦績も上がってきた。
この前だって八段の人を負かして、初の名人戦リーグ入りを果たしたばかりだ。
公私共に順風満帆ってこういうことだよな。
最高っ!
…だけど問題も不満もある。
「―ねぇ、進藤君て今彼女いないんでしょ?」
「まぁね」
「私と付き合わない?タイプなのよねー」
女の子も大勢集まっていたこの前の飲み会でオレに構ってきたのは、モデルだというキレイ系の巨乳のお姉様。
確かにちょっとやそっとではお目にかかれないようなかなりの美女。
だけどオレは
「遠慮しときます。間に合ってるんで」
と速攻お断りした。
本人はもちろん、周りにいた奴等も信じられないという顔をした。
男はヤれたら誰でもいいという理論は一体どこにいってしまったんだろう。
あれ以来塔矢以外の女は抱いていない。
抱きたいとも思わない。
もうオレはすっかりアイツにしか興味がなくなってしまったんだ。
だけどしょせん碁と体だけの関係。
つまらない部分もある。
この前も、もうすぐアイツの誕生日だったから
「何か買ってやろっか?」
と聞いたら
「何で?」
と聞きかえされた。
そうなんだよな…。
オレらは付き合ってるわけじゃねーからプレゼントをあげる理由はないんだ。
友達だってそれぐらいあげるんじゃ…とオレは思うんだけど
「悪いからいい」
だって。
一緒に買い物に行くのも、映画を観に行くのも、遊びに行くのも全部断られた。
旅行…は聞くだけ無駄だな。
今まで嫌々彼女にしてたことを、塔矢にならいくらでもしてやりたいんだけどな。
「進藤、オマエって塔矢と付き合ってんのか?」
「え?まさか―」
「なんだ、最近いっつも一緒にいるから、てっきり付き合ってんのかと思ったぜ」
「……」
和谷クン…。
オレだって本当は付き合いたいんだよ…。
セックス以外の恋人同士がするようなこともしたい…。
だけど……無理なんだ。
オレは一度聞いた。
「オレのこと好き?一人の男として」
って―。
だけど塔矢は返事をしなかったんだ。
それって……フラれたも同然だと思わねぇ?
だから不服だけど今の関係を続けたい。
いつか…アイツがオレを好きになってくれることを信じて―。
「…でもさ、オマエのマンション近くに住む院生の奴がさ……塔矢がオマエの部屋から朝帰りするとこ見たって言ってたんだけど……マジ?」
「……」
「オマエら付き合ってないんだろ…?」
「…ああ」
「一晩中碁打ってたのか?」
「ハハ、まさか」
「じゃあ……付き合ってもねぇのに、寝たことあるんだ…?オマエら―」
「ご想像にお任せしまーす」
塔矢、早くオレのこと好きになって―。
―END―
以上、わがまま姫物語でした〜。
でもわがままだったのは最初だけ?
振り回されてたのも最初だけ?
後半はヒカルがかなり性悪男に…。
お前ら何やってんねん!ってとこでひとまず終わります。
本当は全5話完結の予定だったんですが、上手いことまとまらず結果こんなことに…(汗)
でもものすごく私の好きな展開です。体だけ(笑)
打ってくれれば何でもしちゃうわ!みたいな。(しーん…)
「7 DAYS〜」のアキラ子バージョンだと思っていただければ…。
次はアキラ視点に変わります。
かなり…エロい単語が多いのでご注意ください。(気分はR18)
ではどうぞ〜。
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WILLFUL PRINCE