WEDDING おまけ1●





結婚式から数日後、私は体調が優れなかった。

どうも胃の調子が悪い。

気持ち悪い。

食べ過ぎた?



「彩、大丈夫か?胃薬飲む?」


寝室で寝込む私に、昭彦さんがお水と薬を持って来てくれた。

でも私は首を横に振った。


「…いい、いらない」

「でも」

「いいの。寝てれば治るよ」

「……」


薬をサイドテーブルに置いた彼が、ベッドに腰かけてきた。

優しく頭を撫でてくれる……


「彩…」


そして手を額にあててきた。

熱がないか確めてるらしい。


「ちょっと熱いか…?」

「……大丈夫だから」

「うん…そうだな。明日、病院に行こうか。俺も一緒に行くよ」

「……うん」


昭彦さんの顔が近付いて来て……チュッと額にキスされる。

彼も薄々気付いているんだろう。

そういう私も少しばかりそんな気がしている。

だから薬は飲まない。

明日病院に行って、ちゃんと診てもらうまで――


 

 

 


お兄ちゃんが披露宴をキャンセルすることになったから、その二の舞だけは絶対に嫌だった。

だから付き合ってた時はもちろん、入籍した後もずっと我慢していた。

でも挙式まで一ヶ月を切って、もう大丈夫だと悟った私はついに解禁することに決めた。


「ねぇ昭彦さん……今夜から付けずにしない?」

「え…?」


ベッドの上でキスを繰り返してる途中、私は昭彦さんの耳に囁いた

「いいの?」

と確認して来る旦那様に、私はコクンと頷いた。


「もう式までちょっとだし、さすがにもうキャンセルはないかなぁって、思って」

「まぁな。彩がいいなら、俺はもちろんいいよ」

と言いながらベッドに押し倒された。

首筋にキスを落とされる。


「……ぁ……っ」

 

 



16
歳の誕生日に初めて昭彦さんと結ばれてから、もうすぐ丸6

真面目な彼はもちろん毎回付けてくれたし、それが普通だと思っていた。

だけど18歳の時、私は精菜からとんでもない告白を受ける。


「え?彩って生でしたことないの?」


耳を疑った。

確かに結婚出来る歳にはなったけど、まだ独身の兄と親友がそんな危険なことをしてるだなんて信じられなかった。


「当たり前だよ!」

「したくないの?」

「そ、そりゃしたくないわけじゃないけど…、怖くて出来ないよ…」


もしデキたら京田さんはきっとお父さんに殺される。

破門される。

そう思ったらずっとずっと恐くて出来なかった。

 

 


「昭彦さん…」

「彩…」


汗ばむ体。

リズムよく軋むベッド。

今の私達に間には隔てるものは何もなかった。

いつも付けていたたった数ミリの避妊具がないだけで、こんなにも違うんだって驚いた。


「ぁ…ん、…ぁ…何これ…、気持ちい…」

「は……ごめん彩…、そんな保たな…い」


いつもより早い彼。

そういう私もあまりの気持ちよさに呆気なく達してしまった。


「……ぁ……」


その時自分の体の奥に出される心地よさも、生まれて初めて知った。

それからは毎日毎日何時間も、今までの我慢を発散させるかのように二人で生の世界にのめり込んでいった。

 

 

 


結婚式が無事終わって数日が経った今日、夕飯を作ってる時に猛烈に吐き気が襲ってきた。

慌ててトイレで吐いて、でも胃のムカムカは治まらない。

ぐったりとベッドに横になった。


「ただいま。彩…?」


対局を終えて帰ってきた昭彦さん。

作りかけの料理を放置したままベッドにうずくまる私を見つけて、たちまち駆け寄ってくる。


「彩?大丈夫か?」

「う…ん…、なんか気持ち悪い……」


彼は急いで薬を持ってきてくれたけど、私はそれを拒否した。

昭彦さんもそれ以上強く進めてこなかった。

お互いこの気持ち悪さの意味に気づいていたからだ――

 

 

 


「おめでとうございます。7週目に入ってますよ」

翌日一緒に訪れた婦人科で、妊娠を告げられる。

しかも「双子ですね」というサプライズ付きで。

予定日は来年1月。


「楽しみだな」

と笑顔を向けてくれた彼と、私は手を繋いで帰路についたのだった――

 

 



END

 

 

 



〜おまけ〜

精菜に妊娠を報告しました


「おめでとう彩!!」

「うん…、ありがとう」

「なぁに〜?嬉しくないの?」

「嬉しいよ。すっごく。でも…」

「でも?」


やっとやっと6年間我慢して解禁した中出しセックスがもう出来ないんだと思ったら残念で残念で仕方がないのよ〜〜〜

赤ちゃん出来るの早すぎだよ〜〜〜

(…なんて絶対誰にも言えないけど…)


「何でもない…。悪阻がこんなにキツイなんて知らなくて…って思っただけ」

「あ〜辛いよね〜。私も大変だったもん」


(生まれたらまた出来るのかな…、でも双子って育てるの大変そうだし、またすぐデキたら困るからしばらくやめとくしかないよね…)


この時はまさかその後12年間我慢するハメになるとは思わなかった彩なのでした!

 

 

〜おまけA〜

精菜から佐為に妊娠が伝わりました


「京田さん、おめでとうございます」

「ありがとう、進藤君」

「性別はどっちでしょうね?」

「どっちでもいいけどね…」


彩と子作りし始めてから約1ヶ月。

まさかこんなに早くデキるものだとは思わなかった。

もちろん嬉しい。

嬉しすぎることではあるんだけど……


(正直もうちょっと楽しみたかった…)

(生って想像以上に最高だった…)


「京田さん?」

「あー…進藤君て、もう緒方さんと……再開してるの?」

京田さんが言おうとしてることにピーンと来た佐為。

「してますよ。2ヶ月経ったあたりから」

「そ、そうなんだ…」

「あ、別に妊娠中も出来ますよ?安定期に入ったら」

「う、うん…、そうらしいね」


でも、中出しはさすがに出来ないよな……はぁ

またすぐデキたら困るから、生まれた後もきっとしばらく出来ない

彩が更に子供がほしいって思ってくれるその日まで…。

双子って育てるの大変そうだし…、もしかしたらもう二度とそんな気にはならなくてもう二度と出来ないのかも……

いや、閉経したら出来るか?でもそれって何十年後だよ……


落ち込む京田さんなのでした!

大丈夫!次に出来るのは12年後ですよ(笑