●WEDDING NIGHT　３●

「塔矢…」


彼女の顔を覆っている手を少しずらしてみた。

案の定涙で真っ赤になってる。


「挿れるな…？」

「………」

返事をする代わりに覚悟を決めたように目をぎゅっと瞑った。

もちろん眉間にシワは寄りまくり。


「力…抜いてろよ？」

「…うん」

小さく返事をしてくれた塔矢の額に軽くキスをして、その体勢に入った。

そっと入口に押し当てて…徐々に中に入れていく―。


「……っ…―」

「大丈夫か…？」

「…痛…い…」

「もうちょっとの我慢だから…」


入れては戻して…を繰り返し、徐々に深く埋めていった―。

狭いしキツい…けど、それでもオレの方は徐々に気分が盛り上がってきてる。

でも塔矢の方は全然だ…。

力抜けって言ったのに相変わらず思いっきり力んでて…、まるで感じることを拒否しているみたいに思える。



「塔矢、もう痛くないはずだから…力抜いてみて？」

「抜いてる…」

「いや、抜いてないだろ。…んーとな、碁で言うと…大切な対局前に肩の力を抜いて、気分を落ち着かせるような感じでさ」

「……」


そう説明すると、塔矢は上手いことスーっと力を抜いていった。

やっぱりコイツには碁で例えてやるのが一番だな…。



「本当だ…。痛くない…かも」

「だろ？」

すると顔の強張りも解いて…少し安心したように笑ってくれた。


「すごく…変な感じだ。圧迫感があって…怖くて…熱い」

「気持ちいい？」

「分からない…。でもキミの重みは心地いいよ…」

塔矢が抱き付くように手を背中に回してきた―。


良かった…。

肌を合わせること自体は嫌いじゃないみたいだ。

やっぱり塔矢の場合、ただ慣れてないだけだな…。

オレだって最初はそうだった。

初めてが不安なのは誰でも同じだよな…。



「…ぁ…っ―」


少し中で動かすと、塔矢の口から甘い声が出た。

恥ずかしいのか、慌てて両手で口を塞いでる。


「ん…、ん…っ―」

更に動かしてみると、取り止めなく出て来た。

「進…藤…、ちょっとストッ…プ……ぁ…―」

「だ〜め。せっかくいい感じになってきたんだから…」

「え…？やっ、ぁ…っん―」

徐々に激しく上下して奥へ突いていきながら、塔矢を快楽へと導いていく―。

と同時にオレの方も盛り上がってきて……だんだん思考も鈍ってきた―。


「やぁ…っ、なん…か変…」

一人エッチすらしたことがない塔矢は、たぶん人生で初めてこの瞬間を迎えてるんだろう。

性的絶頂の瞬間を――


「んっ…――」


一気に内部が狭ばって締まった。

その直後から喘ぎ声は荒い吐息へと変化する。

女がイった証拠。

そしてオレの方もその締め付けで導かれ…彼女の中へと出すことになる。


「……ふ…ぅ」

「は…ぁ…、進…藤…」

「塔矢…」

上からぎゅっと抱き締めて、頬に何度も優しくキスをした―。


「どうだった？初めてのセックスは…」

「ん…、よく分からない…けど、何だかすごいね…。こんな気分になったの初めてだ…。頭が真っ白で…何も考えれない」

「じゃあ抜くな…」

「…うん」

再び体を起こして、ゆっくりと塔矢の中から引き抜いていった―。


「…ぁ…、や…っ―」


またしても不安げに甘い声を出してくる塔矢。

その声を聞くだけでもオレはあと数回は頑張れそうだけど……取りあえず今日はこれで終わりにしてやるか。

一応今日の目標は達成したしな。

あとはゆっくりじっくり時間をかけてこれから教えていってやろう。


「お休み、塔矢…―」

「うん…お休み」



――こうして


何とか無事にオレらの初夜は終わった――


















―ＥＮＤ―

















以上、初夜話でした〜。
今時初夜ごときにこだわる夫婦がいるのか？？って感じですが……いるんです！それがヒカアキなんです！！！
にしても初夜って英語でなんて言うんだろう…って辞書で調べてみますと、普通に今回の題『WEDDING NIGHT』でした。
うーん…まさしくそのまんまですね（笑）結婚式の夜？いや、入籍の夜？それとも一緒に住み始めた初日かな？

内容としましては何だかヒカルが無理やりっぽかったですが、でもヒカルは間違ってないと思います。
だって今回のアキラは怖がって本当にずるずる逃げそうだから。
囲碁婚も偽造夫婦も成田離婚も嫌だ〜〜！！っていうヒカルの心境を理解して下さると…嬉しいです（笑）
でも慣れたらアキラもすごいと思うのは……私だけ？
今度は反対にアキラがヒカルに教えるって話書いてみたいなぁ…（笑）