TIME LIMIT〜新婚編〜おまけ

※須本家に挨拶に行った時のお話です





「大樹、せっかく来たんだから明菜ちゃんに昔のアルバムでも見せてあげたら?」

「わ〜見たいです♪」



リビングを出て、2階に移動した私達。

階段を上がってすぐ右のこの部屋が、須本さんの部屋らしい。


(わぁ…)


「アルバム確かクローゼットの中だと思うから、ちょっと探すな」

「うん」


今でもマメに掃除をしてくれてるのか、ホコリっぽさは全然ない。

ただ、彼が家を出た高校3年生の時から時が止まってる部屋だった。

机の本棚には大学受験用の参考書とかがズラリと並んでいて。

ベッド横の本棚にも医学系の難しい本がたくさん……



(あれ…?)



私がふと気になって手に取ったのは、見覚えのある一冊の本。

『進藤ヒカル本因坊監修 基本詰碁集500

私も持ってる父の本だった。

んん?

本棚をよくよく見ると、他にも死活や定跡など囲碁系の本がたくさんあった。


「…ね、須本さんも囲碁打つの?」

「え?」

アルバムを探し終えた彼に、父の本を見せた。


「あー…うん。学生の時は囲碁部だったから」

「え?!そうなんだ、全然知らなかった〜。言ってくれたらよかったのに」

「でも全然弱いし…」

「ふーん?」

チェストの上にたくさん飾られているトロフィーや盾をチラリと見た。


「昔千明さんにもボロ負けしたしね…」

「え?お姉ちゃんと打ったの?いつ?」

「大学3年の時に一度だけ。強すぎて驚いたよ」

「そりゃそうだよ〜お姉ちゃん、普通にプロ並みに強いもん。まぁお兄ちゃんには負けるけど」

「はは…お兄さん今や五冠だもんな」

「……」


一ノ瀬お義兄ちゃんは囲碁を全く打たない。

だから一般の人と同じ知識量しかない。

でも須本さんは違う気がする。

ただの元囲碁部……ではない気がした。


「…須本さん、お母さんが今女流何冠か知ってる?」

「え?三冠?」


タイトル戦の度にテレビでニュースになっている兄と違って、お母さんが今何冠かを即答出来る人は――ガチ勢しかいないのだ。


「須本さん…、私に隠してることあるでしょ?」

「え…っ?!」

「本当は今でも囲碁にめっちゃ興味あるんでしょ。結婚の挨拶の時、内心実は喜んでたんじゃない?お父さんとお母さんに会えて」

「そんなことは…………あるかも///


須本さんが降参してゲロってくる。


「昔から二人の碁のファンで…めっちゃ棋譜並べてたから。今でも碁は好きで、休憩時間によくネットで配信見てるよ…」

「まさか須本さん…、私に近付いてきたのもそれが目的?」

「あ、それは無いから安心して。確かに先生たちが義両親になるのは夢みたいだけど」


夢みたいなんだ…、正直すぎでしょ。


「も〜、婚約するまで黙ってるなんてヒドいよ」

「ご、ごめん…」

「罰として、今度私とも打ってよね!」

「それは…、もちろん。喜んで」


途端にこにこしてきた彼は本当に囲碁が好きなんだろう。


気を取り直して、私達はアルバムを見出した。

彼が生まれた時から高校までの写真。


(小さな須本さん可愛すぎーーーっ!!vv)


小中高の卒業アルバムも見せて貰った。

学生服の須本さんもカッコいいvv


「大学以降の写真は無いの?」

「今の部屋にちょっとはあるけど、基本現像なんてしないからなぁ。余っ程気に入ってるやつ以外は」

「お姉ちゃんの結婚式のあの写真みたいに?」

「あの写真は宝物だから。もちろん、付き合い始めてからたくさん撮ったツーショット写真も全部」

「これからもたくさん撮ろうね♪新婚時代も、子供が生まれても、おじいちゃんおばあちゃんになっても」

「そうだな…」


私達はそっとキスをした。


 

 

 



後日、私達は須本さんちの碁盤の前で向き合っていた。


「「お願いします」」


最近は全然打ってなかったから久しぶりの対局だ。

須本さんもリアルで打つのは4年ぶりくらいらしい。

互先で打ち始めてみたけど、結構張り合ってる気がする。

というか須本さん、予想以上に強い。

何が全然弱いし、だ。


結果は須本さんの1目半勝ちだった。

やっぱりガチ勢じゃん。

(脚付き碁盤を持ってる時点でそんな気はしていたけど…)


「今度お父さん達とも打ってみたら?」

「それはさすがに……」

「打てるってアピールしてた方が両親からの株が上がると思うよ?

「え?本当に?じゃあ今度お願いしてみようかな…」

「そうしなよ〜私からも言っておくし」

「ありがとう」



囲碁が打てると知って、須本さんにより親近感を覚えた私。

もし将来子供が生まれたら、一緒に囲碁を教えてみる?

 

 


END

 

 

 

以上、須本君が明菜に囲碁好きだとバレた時のお話でした〜。
アキラが女流何冠か即答出来るガチ勢な須本君ですw
その後ヒカアキとも打って更に株が上がったらしいよ★