TIME LIMIT〜新婚編〜おまけ

※惣田さんのお話・パート2です





「私は小児科かぁ…」



前期試験が終わると臨地実習に入る私達1年生。

配属される科は大学側がランダムに割り当てたらしい。

実習先一覧のプリントを確認すると、私の所属する5班は小児科に配属されていた。

進藤さん達3班は循環器内科だった。


「離れちゃったね」

「ね。残念だね」

隣の席の進藤さんとも暫しのお別れだ。



進藤さんは私が大学に入ってから初めて出来たお友達だ。

顔も可愛いけど性格もとっても可愛くて、気さくで、優しい女の子

きっと高校の時も絶対モテてたと思う。


(彼氏とかいるのかな?)


ちなみに私は……きっと一生彼氏なんて出来ないと思う。

出会いがない以前に、私は男の人がちょっと苦手なのだ。(推しは別)


中高と女子校だったし、兄弟もいない。

今まで父親くらいしか男の人と接する機会がなかったから、いざ話をするとなるとテンパってしまって…緊張して上手く話せない。


(こんなので看護師なんかになれるのかな…)


だから将来は産婦人科に就職しようと思っている。

産婦人科なら、少なくとも患者さんは全員女の人だからだ。


 



「うちら小児科なんてラッキーだよねー」

「ねー」

実習の事前ミーティングの時、同じ5班の子達は妙に喜んでいた。

「須本先生いるもんね」

「あのイケメン顔を2週間も毎日拝めるなんて眼福だよね〜v


須本先生とは、大学病院で若手御三家と呼ばれている3大イケメンのうちの1人らしい。

現在31歳。

開業医の息子で、ご実家の病院を継ぐことが決まってる将来を約束されたエリート。

独身(彼女あり)。


皆は喜んでるけど、正直私は……微妙だ。

(そんなリア充な男性となんて絶対上手く話せないよ…)


 

 



迎えた実習初日。

引率の教授に連れられて私達実習生7人は小児科にやって来た。


「「よろしくお願いします」」


病院の一日は慌ただしい。

軽く実習生全員が自己紹介した後、小児科に勤める医師、看護師、小児クラーク、保育士等からも手早く自己紹介される。


「須本です。よろしくお願いします」


例の須本先生は想像以上のイケメンだった。

(俳優?)


 



小児科では看護師1人に実習生1人が付き、仕事内容をマンツーマンで伝授してくれるらしい。

私が付くことになったのは、看護師8年目・30歳の阿部さん。

ハキハキ物申す、姉御肌な人だった。


「惣田さん、昼前に新生児室の診察行っちゃうよ」

「あ、はいっ」


新生児も小児科の担当らしい。

まだ生まれて1週間と経ってない、生まれたてほやほやの小さな赤ちゃん達が並ぶ新生児室。

将来産婦人科希望の私にはもってこいの実習先だった。


「阿部さん、お待たせ」



(―――え?)



待った?と軽やかに新生児室にやって来たのは須本先生で、私は固まった。

そ、そりゃそうだ。

新生児を診察するのは看護師じゃない、医師なのだ。

基本は研修医の先生が主に診察して、須本先生がそれをチェックするという形だった。

私は今日は阿部さんが診察の補助をする様子を横で観察させてもらった。


「実習生って昼食どうするの?」

須本先生に話しかけられてビビる。

「え…、えっと…、各々取る感じです…」

「惣田さんはどうするの?」

(何で名前覚えてるの?!もしかしてさっきの自己紹介だけで全員暗記したの?!天才か?!)

「わ、私は…コンビニで買って来ようかな、と…」

「じゃあ俺もそうしようかな」

(何で?!)



診察が終わった後、午後の回診まで1時間の休憩に入った私。

今日はお弁当だという阿部さんと一旦別れ、私はコンビニに向かった。

なぜか須本先生と一緒に……


「入学して4ヶ月くらい経ったけど、友達出来た?」

とか話しかけてくる。

(ひーーーー)


「え?!あ…、はい……まぁ」

「どんな子?」

「あ…、進藤さんっていって、とっても可愛い子です」

「そうなんだ」

「優しいし、性格もすっごく可愛いし、頑張り屋さんだし…」

「だよな」

(だよな?)


「彼氏とかいるのかなぁ…」

「いるんじゃない?」

「ですよね…、絶対高校の時もモテてたと思うし…」

「え…っ?!」

(何で動揺してるんだろう…)


コンビニではサンドイッチと飲み物を買った私。

須本先生はおにぎりとホットスナックを買っていた。

あとコーヒーも。


「惣田さんも飲む?」

「え?!あ…、はい」

「どれがいい?」

「じゃあ…、カフェラテで…」

と何故か奢ってくれたり。


というか……視線が痛い。

さすが御三家と呼ばれるだけあって、病院中で大人気な須本先生。

女性スタッフとすれ違えば

「須本先生、お疲れ様ですv」

と挨拶され、その全員の語尾にハートが見える。

そんな彼の横にいる私は「なにこの子」と睨まれてるような感覚に陥る。


「あ、じゃあ俺こっちで食べるから。またね」

と須本先生は形成外科に入っていった。




小児科に戻ると、阿部さんが「こっちおいでよ」と手招きしてくれたので、一緒に食べることにする。


「須本先生は?」

「あ…、何か形成外科で食べるって途中で別れました」

「ああ…また一ノ瀬先生のところか」

「一ノ瀬先生って確か御三家の1人の…」

「そ。須本先生とは大学時代からの友人らしくて、仲いいんだよねぇ」

「そうなんですね」

「そもそも須本先生がこの大学病院に来たのも、一ノ瀬先生に便乗してって噂もあるくらいだし」

「へぇ…」

3月まで一ノ瀬先生が育休取ってたんだけど、休みの日は須本先生、一ノ瀬先生の家に入り浸ってたらしいしね」

「本当に仲がいいんですね…」

「結婚間近な彼女がいるらしいけど、それが一ノ瀬先生の妹って噂もあるしね。どんだけ一ノ瀬先生のこと好きなんだよって感じよね…」

「ふふ…、そうですね」


でも、須本先生が想像より全然話しやすくてビックリした。

私なんかの拙い言葉に耳を傾けてくれたお陰で、不思議と段々と緊張が解けていったのだ。

やっぱり年上だからかな?

大人の余裕も感じられて素敵だなって思った。


 

 

 



2
週間の実習はあっという間に過ぎていった。

入院中の子供達やその親御さん達からもたくさん話を聞けて勉強になった。

阿部さんの仕事ぶりは見習うことばかりで、私もいつかこういう看護師になりたいと思った。


「須本先生、お世話になりました」

「惣田さんも2週間お疲れさま」


私が挨拶した後、須本先生は他の実習生の子達に、「先生も来て下さいよ〜」と実習の打ち上げに誘われていた。

「行きたいのは山々なんだけど、今日当直だから…」

「え〜〜」


そんな様子を尻目に、私はレポートを提出する為に一度大学に戻った。


「あ、惣田さんお疲れさま〜」

教室に入ると進藤さんがいた。


「お疲れさま。無事終わってよかったね」

「ね。疲れた〜。でもこれでやっと夏休みだね」





この進藤さんとあの須本先生が結婚したと私が知るのは、夏休み明けの話だ。

本当にお似合いな二人だと思った。


少し前までは彼氏なんて一生無理だと諦めてた私。

でも今は…、いつか私もいい人に巡り会えたらいいなぁと少しだけ心境の変化があった私がいた。


(年上の人とかいいかも…)

 

 


END

 

 

 

以上、明菜の大学でのお友達・惣田さんのお話パート2でした〜。
男性が苦手なので、休日は専ら推し活に勤しんでるのです。

さて、小児科に実習に行った惣田さん。
須本君はもちろん惣田さんが明菜の友達だと知ってるのです。
惣田さんの口から明菜のことを聞き出そうと近付く須本君なのでした(笑)

阿部さんは須本君・一ノ瀬君達と同期なのですよ。
皆がきゃーきゃー奉る須本君にも、ビシバシ遠慮なく接する阿部さんなのでした★