TIME LIMIT〜学歴編〜 おまけ

※須本君の元カノ・有馬さん視点





「有馬さーん、どうしてオレじゃダメなんですか?オレの方が絶対有馬さんを幸せにしてあげれるのにー」

「はは…」


飲み会の席で酔っ払って戯れ言を言う後輩に、私は苦笑するしかなかった。




(幸せかぁ…)

(私は彼と結婚して…、果たして本当に幸せになれるのだろうか…)






私には26歳の時から2年間付き合ってる恋人がいる。

正式にはまだプロポーズされてないけど、そろそろ結婚話も出ていて、先週末についに彼のご実家に挨拶にまで行ってしまった。


正直……住む世界が違うと思った。



私の彼氏、須本大樹は医者だ――超が付くほどのイケメンの。

両親も揃って開業医で、知的で品があって優しそうで仲がよさそうで……本当、要所要所で育ちのよさを見せてくる大樹を育てた親って感じがした。

一体何億するんだろうという豪邸に、お手伝いさん。

玉の輿目当ての女だったら大いに喜んだことだろう。


(私は恐怖しか感じなかったけど…)


母子家庭育ちで、奨学金とバイトで自力で学費もろもろを賄い大学を卒業した私。

片や幼稚園からずっと私立で、大学ではバイトも一切せず、仕送りだけで悠々自適な大学生活を送っていた彼氏。

私が有名企業に就職出来たからって、根本から違うのだ。

育ちが違う。

金銭的価値観が違う。

そんな彼と結婚して家庭を築くなんて……そしていずれは開業医の妻にならなくちゃいけないなんて……あまりにも現実的ではない気がした。






「オレ、本当に有馬さんが好きなんですよ?有馬さんの彼氏より絶っ対!」

「……」


後輩から熱い告白を受けて、私の心は動揺する。

そう――私が大樹との結婚に踏み切れないのには、もう一つ理由がある。


「好きだよ」と彼はいつも私に愛を囁いてくるけど、本気で私を死ぬほど愛してる!って感じではないのだ。

好きです好きです言ってくるこの後輩君からのアプローチを受け始めてから……気付いてしまった違和感だ。


(きっと私がもうすぐ20代最後の歳になるから、ご親切に無理に話を進めようとしてくれてるんだろうな…)


両親に紹介された時の大樹の表情には、正直…傷付いたものだ。

私の隣でにこやかに笑ってた彼だけど、どう見ても迷いがあるように感じたからだ。

本当に生涯の配偶者が私でいいのか、いまいち自信が持てないような顔をしていた。

必死に隠してたけど。







「有馬さん、本当にオレじゃダメなんですか?」

「……ダメじゃないよ」

「……へっ?」


私の返事に後輩が目を丸くする。

私にだってプライドがある。

このまま彼となし崩し的に結婚するなんて真っ平ごめんだ。

どうせなら私を世界一愛してくれてる人と結婚したい。


大樹は誰がどう見ても引く手数多だ。

私と別れても、きっとまたすぐ恋人が出来るだろう。

いつかあなたが本気で、心から好きになった女性と結婚してほしいと思う。



だからとりあえず私とは


「別れましょう」











3
年後。

同期の安井から大樹の近況を聞かされる。


「そういえば有馬、聞いた?有馬の元カレの須本さん、結婚したらしいよ」

「へぇ…、おめでたいねぇ」

「あら、何か余裕じゃない」

「そりゃねぇ…」


私はもう8ヶ月になる大きなお腹を撫でた。

例の後輩と1年の交際の末ゴールインした私。

半年前に妊娠も判明し、今は自分も幸せの真っ只中だからだ。

よかったね、と心から祝える。



――結婚おめでとう大樹――

 

 

 

END

 

 

 

以上、須本君の3番目の彼女・合コンで出会った有馬さん視点でした〜。

別れ話ですが(笑)

初カノ以外には別に恋してなかった須本君なので、相手も冷めたらまぁこんな感じの終わりかな。

玉の輿狙いじゃない女性から見たら、須本君ちは恐怖でしかないみたいですね(笑)

有馬さんは「開業医の妻とか絶対無理!」って感じなんでしょうね。育ちが違うと。

 

明菜も小学校から大学までずっと私立ですからね。

庶民派ではありますけど、何だかんだで育ちがいい明菜なので、「医者の妻とか余裕っしょ!」っていう気構えなんですかね?肝が据わってるわw