●THURSDAY●





「行こう、進藤」

「………」



毎週木曜日。

手合いの後、オレは必ず塔矢にホテルに連行されていた。

何をしてるのかは言うまでもない。

普通なら、恋人同士がすることだ―――






「―…はっ、塔…矢…っ」

「ん…っ、もうちょっ…と…、…ぁ…っ」

「……オレ…も…っ」

「あ…っ、ぁあ…っ――」


塔矢が達したのとほぼ同時にオレも達して、二人ともぐったりとベッドに沈む。

熱を出して頭が正常に戻ると、何やってんだろオレ…と、また酷い罪悪感に襲われてしまった。



オレにはちゃんとした彼女がいる。

塔矢にも彼氏がいる。

つまりこれは浮気ってことになるのか…セフレってことになるのか。

……はぁ。








「やっぱりキミは最高だね♪」


ご機嫌になった塔矢が、体を起こしてすぐに服を着だした。

する前に外した指輪も再びハメ直す。


「…それって婚約指輪だろ?」

「まぁね」

「いいのかよ…、婚約者がいるくせにオレとこんなことしてて…」

「だから指輪は外してるだろう?」

「そういう問題じゃないだろ」

「婚約者がいたら他の男と関係を持ったら駄目なのか?」

「…常識だと思うけど」

「だって仕方ないじゃないか。キミとじゃないと僕はイけないんだもの」

「………」



そう―――塔矢はオレとのセックスでしかイけないらしいのだ。



彼氏とどんなに激しいエッチをしてもサッパリらしい。

話を聞く限りでは、その彼氏が特別下手ってわけでもないし、オレが特別上手いってわけでもななさそうなんだけど……




「僕の気持ちの問題なのかもね」

「オマエの気持ち?」

「どうして僕らがいつも木曜にしてるか分かる?」

「…手合いの後だからだろ?」

「そう、手合いの後だ。だからだよ」

「?」

「キミの新しい棋譜を見るとすごく興奮するんだ。検討すればするほど体が熱くなってきて我慢出来なくなる。キミと早く交わって、キミを手に入れて僕だけのものにしたくなる。体でキミを感じたくて仕方ないんだ」


だからこれからも付き合ってね、と笑顔でまたとんでもないことを言ってきた。

はは…ともう笑うしかない。

どこまで碁馬鹿なんだよ……




「でも…さ、さすがに結婚したら……やめような?」

「どうして?酷い、キミは僕に一生不感症で悩めっていうのか?」

「頑張って彼氏とでも感じるように努力しろよ」

「無理だ!僕はもうキミでしか感じない体になってしまったんだ!」

「じゃあ、それならいっそ彼氏と別れてオレのものになれよ!今の関係のままじゃ、オレもう堪えられねぇよ!」


ドンッと塔矢の体をベッドに突き倒した。

彼女に跨がって、着たばかりの服をまた脱がして。

オレのものだという印を体中につけていく――


「あ…進藤…」

「オレのものになるか、彼氏で我慢するか、どっちかだ。今すぐ決めろ」

「………」


もうこんなエッチ…耐えられないんだ。

体だけの関係なんて馬鹿げてる。

まともな奴のすることじゃない。

オレか、彼氏か、今すぐ決めろ。




「じゃあ…」


少し考えた塔矢が、オレの体を優しく抱きしめてきた。

チュッと、頬にキスされる…。


「塔矢…?」

「じゃあ、キミにする。キミの代わりはいないからね」

「マジ…で?」

「うん。彼氏には謝っておくよ」

「本当に…?いいのか?」

「そのかわり、キミもちゃんと彼女と別れてね?」

「あ…うん、そりゃあもちろん」

「それじゃあ、僕らは今から恋人同士だね。キミは僕だけのものだ♪」

「………」



オレと塔矢が――恋人



決まった途端に、何だかあっさりとオレの中にあったモヤモヤが消えていった。

へへ…恋人同士かぁ…

いい響き♪

やっぱ男と女はこうでなくちゃな!





「な、もう一回しようぜ」

「うん!」



すぐに湧き出てきた、彼女に対する愛情と熱情。

この晩、オレは初めて自分から塔矢を求め、彼女を家に帰さなかった――







―END―









以上、ヒカルとでしか満足出来ないアキラの話でした〜。
うふふ、きっともう10代の頃から手合い⇒Hを繰り返してるんですよ、この二人vv
普通の対局ならまだいいけど、三大タイトルで2日に分けて対局がある時なんて、大変だっただろうなぁ〜ヒカル君。
一日目の夜にアキラさんが夜這いかけに部屋にやってくるんですよー。
何で、敵なはずの奴とエッチしてるんだろ…オレ……、みたいな?(爆)

やばい…私が書くタイトル戦ってめちゃくちゃ汚れてそう…(=△=;)

ふぅ…、何か今回もよく分からない体だけの話になってしまいましたが、とりあえずアキラさんがヒカルとでしかイけないことにかなり萌えますvv(笑)