●TANABATA2020●





アキラと結婚して10回目の七夕。



「一局打たないか?」

「え?いいけど…」


珍しくオレもアキラもオフだった今日、子供達を学校に見送った後すぐ、彼女が突然言い出した。


「ちょっと待ってて」

というので、和室の碁盤の前で待機すること10分。

おせぇなぁと思い始めてきたその時、「お待たせ」と奥様が帰って来た。




――え――




「え、オマエ、何で浴衣…?」


そう――戻って来たコイツは浴衣を着ていた。

髪までアップにして結って、まるで今からどこかの夏祭りに向かうみたいな格好。

え、何の作戦?

何のサービスのつもり?



「去年新調した浴衣なんだけど、結局忙しくて一度も着る機会がなかったから。そして今年もおそらく無いだろう?」

「……そうだな」


世の中を騒がせている流行り病のせいで、今年はおそらく夏祭り系は全て無いだろう。

また今年も着れないと思った彼女は、七夕の今日、家で着ることにしたらしい。


「えーと、ちょっと待ってて」


今度はオレが急いで着替えに行った。

オレの方も急いで浴衣に着替えて戻って、彼女と碁盤を挟んで座った。



「ふふ…ちょっと新鮮だね」

「そうだな」

「でも今日も雨だね」


アキラが窓の外を見る。

七夕ってあんまり晴れる年ないよね、と。


「織姫と彦星はちゃんと会えたんだろうか」

「会えたんじゃねぇ?七夕の雨って、織姫の嬉し涙なんだろ?」

「え?そうなの?」

「知らねぇけど、誰かがそんなこと言ってた気がする…」

「ふぅん…」


ニギり終えたオレらは「「お願いします」」と頭を下げた。



オレらは毎日会えるから幸せだよな、と七夕の日が来るといつも実感する。

こんなに美人で可愛いくて碁も強い彼女が奥様だなんて最高だよな、と。

眩しいくらいに美しい彼女の浴衣姿。

滅多に見れないから、今日は一日この格好でいてもらおう。

いや、一局打ち終わったら向こう(寝室)でじっくり堪能させてもらおう、と朝っぱらからエロいことを考えたり。

織姫と彦星も今日はイチャイチャするだろうから、オレらもイチャイチャしよう。




アキラと結婚してもう10回目の七夕。

でもオレらは1回目と変わらずラブラブだ――






―END―








以上、夫婦なヒカアキの七夕SSでした〜。
小学生の子供が二人くらいいるかと思われます。
二人してオフの日に、子供達が学校に行ってしまえばこっちのものです。
ヒカル君のアキラ愛は止まらないので、毎回昼間っからラブラブしてるそうですよw
一局打ち終わったら浴衣プレイのスタートですよw