●SUMMER VACATION 19●






「そういやオレ…オマエの気持ちまだ聞いてない」

「え?」

「オレのこと、今も好きなんだよな?だから結婚OKしてくれたんだよな?」

「…ああ」

「なら、好きってハッキリ口に出して言ってくれよ。…でないと不安になる」

「……キミが勝ったら、言ってもいいよ」

「お、強きじゃん。現役本因坊に向かって」

「トータルタイトル数はまだまだ僕の方が上だ」


クスッと笑い合った後―――頭を下げた。


「「お願いします」」





一年ぶりの塔矢との対局。

コイツの碁。

すげぇワクワクして、嬉しくて、胸のドキドキが止まらなかった。

真剣に打たなくちゃいけねぇのに、笑みが止まらない。



「オマエ…全然棋力落ちてねぇな」

「そう?キミはまた強くなったんじゃない?棋譜見てたから知ってたけど」

「そういや棋譜並べはしてたって言ってたな」

「ああ。キミの対局は全部並べた」

「ふーん…フラれてもオレのこと気にしてたんだ?」


少し頬を赤く染めた塔矢。

可愛い…と思う。

一年前まではそんなこと思ってもみなかった感情。

つか、4日前までは考えたこともなかった。

塔矢は変わってない。

この数日で…オレの考え方が、気持ちが、変わったんだ。


好きだ…って―――







パチッ


不意をついた勝負手を打つ。

真顔で碁盤に向けられていた顔が一気に険しくなって、オレをキツイ視線で睨んできた。

オレが一番好きなコイツの顔だ。

勝負者の眼。

ゾクゾクする。



「…むっ」


さすが塔矢。

立ち切れないいい手で反抗してきやがる。

ここを生かすには―――









「…ありません」

「ありがとうございました」

「ありがとうございました」


結局はオレの2目半勝ち。

やっと満足のいく碁が打てて、充実感と達成感でいっぱいだ。

やっぱり打つのは塔矢がいい。

塔矢じゃないとダメだ。



「…やっぱり碁は楽しいね」

「だろ?オマエがオレをこの世界に引っ張ってきたんだぜ?」

「そうだったね…」

「責任持って…最後まで付き合えよ。もう逃げるのは許さねぇ…」

「ああ。またキミと頂上を目指すよ」

「―――で、塔矢」


ゴホンと咳ばらいして、彼女のすぐ横に移動した。

手を取って―――指先を口付ける。


「約束…オレ勝ったよ」

「……」

「言ってよ。好きだって…もう一度」

「……今度は拒否しない?」

「しないって!オレだって同じ気持ちだもん」

「じゃあ……」


耳まで真っ赤にして、勇気を振り絞って、オレの耳元で小さく囁いてくれた。


「好きだよ…ずっと」

「オレも……へへ」


一年前も、嘘でもこう答えればよかった。

一生一緒にいるのは塔矢しか考えられないのに。

でも、おかげでこの気持ちに気付けた。



「好きだ…塔矢。一緒に神の一手も…子供も生み出そうな」

「うん…」




外はまだ灼熱地獄の暑い夏。

オレらの熱さと同じくらいまだまだ暑い夏休みは続く―――










―END―













以上、スッチーアキラ子話でした〜。
以前某サイト様の日記に「スチュワーデスアキラ子っていいな〜」と書かれてありまして、それにものすごく共感を覚え、今回の話が思いつきました(笑)
ああ…いいわ。いいわ。スチュワーデスなアキラ子さんvv
ヒカルも言ってましたが、背が高くて美人で外国語も堪能なアキラさんはスッチーににピッタリだと思います!

ちなみにスッチーの呼び方。
スチュワーデス・スッチーに加え、客室乗務員、フライトアテンダント、キャビンアテンダント、CA。
本編でもコロコロ変えまくってましたが、気が付きました?(笑)

続いてソウルでもラブラブしちゃう続きもあります。
アキラ視点でどうぞ〜★





SUMMER VACATION〜SOUL〜