●STAY NIGHT 7●


よくドラマや映画で酔った勢いでしてしまうシーンがあるけど……昨夜の僕らもそれに当てはまるんだろうか…。

でもそういう場合って大抵記憶なんかなくなってしまってるらしい。

でも僕らはお互いお酒に強い方なのか、どういう展開で何をしたのかもハッキリ覚えていて……

いや、覚えているからこそ………気まずい。


「お、おはよ…塔矢」

「…おはよう」

進藤が僕と目も合わせず挨拶してきた。

途端に少し辛くなる…。


確かに僕は進藤が好きだ。

彼としたことに後悔なんてしてない。

だけどやっぱり僕なりに…初めての時は夢見てた展開があるというか……こんな気まずさだけが残る朝を迎えたかったんじゃない。

恋人でも何でもない二人がしちゃった場合って…こんなものなのかな…。

布団の中を少し覗いてみると、血まみれになってる下半身があって……それもまたいたたまれない。


「ごめんな…」

「謝らないでくれ。別にキミだけが悪いわけじゃない」

「でもオマエ…すげぇ出血してた…」

「初めてだったんだから、多かれ少なかれ血が出るのは当たり前なんだ!」


その『初めて』という言葉で進藤の顔が更に暗くなった。

だからそんな『やっぱりしなきゃ良かった』みたいな表情しないでくれ!

これでも僕は…

僕は……

「キミと出来て…嬉しいのに…」

「え…?」

ボソッと呟くと、進藤が驚いたように顔をこっちに向けてきた。


「塔矢今…嬉しいって言った…?」

「言ったよ」

「オレとしたこと後悔してないのか…?」

「してない。キミはしてるみたいだけどね!」

嫌味っぽく言ってやると、進藤の顔が赤く染まった。


「オレ…オマエに呆れられてるのかと思ってた…」

「どうして…?」

「だって…オレの方からしたいって言ったのに……すげー下手で…オマエを思いっきり泣かせちまったし…」

「別に…キミは下手じゃないと思う。ただ慣れてなかっただけじゃないのか?」

「…そうかな?」

進藤の顔が少し明るくなった。


「キミも…初めてだったんだろ?」

「うん…」

「その割にはキスも上手かったし…あっちの方も最後はすごく…良かったと思うし」

「マジ?気持ち良かった?」

「う、うん」

そんなに笑顔で顔を覗きこまれると……動揺してしまう。


「な、女って2回目からは出血しないんだろ?」

「そうらしいけど……よく知らない」

「そっか…そうだよな。オマエも昨夜が初めてだったんだもんな」

何やら物欲しそうな目で僕の体をじっとみてくる。

まさか……


「塔矢…もう出血止まってるよな?」

「うん…たぶん」

「じゃあさー…」



『今からもう一回しねぇ?』



耳元でそう囁かれた途端…僕は真っ赤になってしまい、上布団を頭まで被ってしまった。


「ぼ、僕はキミのセックスの練習台じゃないぞ!」

「えー、いいじゃん。オマエも気持ち良かったんだろ?」

「それとこれとは話が別だ!」

「ちぇっ…何だよ。昨日はヤらせてくれたくせに」

「昨日の僕はどうかしてたんだ!」

「やっぱお酒の力か…。いや、待てよ。確か…―」


何やら一人ぶつぶつ言ってる。

気になって顔を少し布団から出すと……―

「ん…っ…―」

いきなりキスされてしまった――。


な、何なんだ一体!

何を企んでるんだ?!


「…は…ぁ…はぁ…―」

激しいキスをされた後も頬やら耳やらに唇を押しつけてくる。

ぼ、僕をキスでその気にさす作戦か??!


「塔矢…好きだよ」

「え…?」

「って言ったら昨日はヤらせてくれたよな」

「………」

「…な、塔矢ってオレのこと好きなの?」

「そ…それは……」

「好きなんだよな?」

「………うん」

観念して首を縦に振ると、進藤はたちまち笑顔になった。

「オレもオマエのこと好きだぜ」

「………」

ますます茹蛸になる僕の頬に、進藤がチュッと音をたてて甘いキスを落としてくる。


「付き合っちゃおっか」

「え…?」

「付き合ったらさ、エッチするの普通だもんな」

「……まさかそれが目的?」

「えー、んなことねぇよ」

だけど正直すぎる彼の顔には、明らかにそれが目的と書いてあるような…。


「なぁ塔矢いいだろ〜?オレのこと好きなんだろ〜?」

「……仕方ないな」


…僕はこの時、恋愛というものがいかに先に惚れた方が負けかということを思い知らされた。

彼の甘い顔や声でねだられると、簡単に付き合うことも体を重ねることも承諾してしまう。

でも結果的にはそれは僕の本望で、彼は僕の望んでた展開を推進してくれただけなのかな?


「オレ今なら80点取れそうな気がする〜」

「何の話…?」

「何でもねーよ。見てて、塔矢。昨日より気持ちよくしてやるからな」

「……期待してる」



――その後

僕らの間でますますお泊まり碁の回数が増えていったということは言うまでもない――















―END―














以上、お泊り碁話でした〜。
んー…何が書きたかったのかしら??(笑)
たぶんいつもの慣れた手つきでアキラを好き勝手するヒカルじゃなくて、ちょっと周りに呷られながら…その気になりつつ…失敗する、みたいなヒカルが書きたかったんだと思います。(ナンダソレ)
でもヒカルはやっぱり上手いと思うので、結果的にはこんな感じで!
世の中経験値がものをいうとも言いますが、やっぱり下手な人は何回やっても下手だと思うんですよ。
反対に上手い人は経験を積めば積むほど上手くなっていく。ヒカルはそっち側だと思います。

ちなみに私は酔ったヒカルとアキラを書くのが大好きです!!(笑)
アキラの壊れ具合を書くのが好き!
ここぞとばかりにヒカルに愚痴を言いまくったり、普段言えないことを言いまくるアキラが好きですvv

ちなみにお泊り碁〜。
普通は出来ないと思います(笑)
塔矢ん家で泊まりで打つから!なんて言ったが最後、両親に絶対止められると思う。
でも美津子ママは和谷君には弱いと思うんですよ〜(勝手な見解)
だからヒカルはそれをちゃんと分かってて、アキラん家に行くときでも和谷ん家に行ってくる!と嘘ついてると思います。
ちなみにこの話に関わらず、ヒカルが外泊する時は常に和谷を利用してるかと(笑)
和谷にとっては迷惑極まりないですが(=_=;)