●SEINA U 6●





次に目が覚めたら、外が明るかった。



私のすぐ横で眠ってる佐為。

無防備な寝顔を見せてくる彼が可愛くて、何時間でも見ていられそうだ。

そっと口付けると、目を開けて来た。

残念、起きてしまった。



「おはよう、佐為」

「ん…おはよう精菜」


私の髪に触れてくる。

毛先にチュッとキスされる。


昨夜のことを思い出すと、恥ずかしくて顔の温度が上がる。

ついにしてしまった……佐為と。

しかも二回も。

恥ずかしいけど、それよりも嬉しい。

佐為の彼女にやっと本当の意味でなれた気がする。



「今何時…?」

「7時くらいかな。もう起きる?」

「…いや、8時まで寝るよ」

「そう?じゃあ私、シャワー浴びてこようかな」

「……」


ベッドから降りようとしたら、手を掴まれる。


「精菜も8時まで一緒に寝よう…?」

「え?」


引っ張られて、ベッドに戻される。

そしてまた――佐為に組み敷かれた。


「――……ん……」


落とされたキスは朝の挨拶みたいなキスじゃなくて、夜の本気のキス。

激しく貪ってくる。


「んん…っ、ん…ん…っ」


もちろんまだ裸な私達。

佐為がどこまでを求めているのかなんて、すぐに分かった。

朝なのに。

外明るいのに。


「――……はぁ。精菜、あと一回だけしよう…?」

「……いいけど」


再び私の体に手を伸ばしてくる彼。

まさか3回目をすることになるなんて予想外だけど……まぁいいか、と思う。

求められないよりかはずっといい。


十段戦が始まってからの佐為は、私に触れてくる余裕も無くなっていた。

最後に触り合ったのは……バレンタインデーだ。

もうGWも目前だというのに。

こんなにも間隔が開いたのは初めてだったから、心配になった……色んな意味で。

だから、こんな風に私に触れてくる彼を見てたら、いつもの佐為に戻ってる…と安心する。



「……ぁ……」


胸を揉みながら、舌でも執拗に攻めてくる彼。

気持ちいい。

佐為に触られると、どんなところでもすごく気持ちいい。

もっともっと私に触れてほしい。

私だけを触れてほしい。

一生、私以外の人を知ってほしくない。


「佐為……好き」

彼の動きが止まる。


「僕も大好きだよ…精菜」

と直ぐ様笑顔を向けてくれる。


「ずっと一緒にいようね…」

「そうだな…」


佐為が私の左手を取ってくる。

薬指にはめられている指輪にキスをしてくる。

そして指先にも――



「早くちゃんとした指輪を贈りたいよ」

「ふふ…まだちょっと早いかな。女の子も結婚年齢18になっちゃったもんね」

「そうだな…」



今月から法律が変わった。

男女共に18歳にならないと結婚出来なくなった。

でもその代わり、18歳になれば親の同意がなくても結婚が出来るようになった。


「精菜は今でも結婚は24が理想?」


プロ試験の時の約束を覚えてくれている彼。

24歳は確かに理想だけど。


「今はもうちょっと早くてもいいかな…と思う」

「へぇ…」

「18はさすがに早すぎだけど、ハタチくらいでもいいかな…」

「ハタチね、分かった」

「…何?本当にハタチにプロポーズしてくれるの?」

「それはなってからのお楽しみだよ」

「えー」


佐為がぎゅっと私の体を抱き締めてくる。


「僕もその頃には三大タイトル取れてるかな…」

「ふふ…そうだね。頑張って…」

「いつかお父さんの本因坊をいただきたいな」

「そう簡単にはいかないと思うよ?」

「たぶんね。でも、絶対に奪ってみせるよ」

「うん――佐為なら絶対出来るよ」

「…ありがとう」



もう一度キスした後、愛撫を再開した佐為。

そして3回目のエッチをした。

でもってそのあと一緒にお風呂にも入って、ずっとイチャイチャしていた。




結局朝食はルームサービスにした。

下手にビュッフェなんかに行ったら、絶対にタイトル戦の関係者に会うだろう。

お父さんになんか鉢合わせたら何を言われるか分かったものじゃない。











「ちょっとここで待っててくれる?チェックアウトしてくる」

「うん…」


結局チェックアウトの時間ギリギリまで部屋でゆっくりしてから、私達は東京に帰ることにした。

フロントで何かを話している。

支配人らしき人もやってきて、どうやらタイトルの奪取おめでとうございます的なことを言われてるんだなと悟る。


17歳、史上最年少で七大タイトルのタイトルホルダーになった佐為。

おそらく彼の次の目標は自分の父親が成し遂げた、18歳5ヶ月での名人位獲得の記録。

今期の名人リーグ、佐為は今のところ4戦して3勝1敗。

まだ十分狙える位置にはいる。

最後まで諦めずに戦ってほしいなと思う。



「おまたせ、精菜。じゃ、帰ろうか」

「うん――」



早く帰る家も一緒になったらいいね。

これからもずっと傍で応援してるからね――










―END―









以上、ついにやってきた佐為と精菜の初エッチ話でした〜。
あの佐為が4年3ヶ月ちゃんと待ちましたよー!!
きっと何度も挿れそうになったけど、ギリギリで耐えたものと思われますw

えー、京田さんの視点以降も順調に棋戦を勝ち進んでいった佐為〜。
あんなに心待ちにしていた4年3ヶ月後は、いざ来てみるとそれどころではなかったのです!
初タイトルがかかった重要な時期だったのです!
終わってからでないとゆっくり楽しめませんよね!
てことで、結局4月下旬になりました。
無事タイトルもゲットして、精菜もゲットして、よかったよかった(笑)
しょっぱなから一晩で3回はどうかと思いますが。
佐為はヒカルの息子だから仕方ないよね、ってことで〜(笑)

ちなみに、大盤解説会場に行っちゃった精菜。
もちろんヒカルは解説しながらも精菜の姿をバッチリ確認しています。
でもって、夕飯に向かう時に緒方先生に言うのです。
「精菜ちゃん来てましたよ」と。
緒方先生はもちろん何しに娘が来たのか一瞬で理解します。
自分の応援でないことは分かっています。
でもってめちゃくちゃ落ち込みます。
「俺の精菜が…」しくしくしく…と。
「お互いツラいですよね…」とヒカルは緒方先生に同情します。
「お前は別にツラくないだろう!!」と緒方先生は怒ります。
「はぁ…オレも色々あるんですよ…」と。

てことで!次の視点リレーは彩です!
精菜が高1ということは彩も高1です。
彩の誕生日は5月5日。
この十段戦は実は4月28日です。
てことで、もうすぐ彩の16歳の誕生日がやってきます!
京田さんに再び告る日がやってくるのですー!!
(てことでヒカルは落ち込んでるんですw)