●REWARD 3●
「触って…」
僕の手を取って、自分の胸にあててきた。
セーターの上からでもハッキリと分かる柔らかさ。
勝手に手が揉み始める。
「…ぁ……佐為……」
声を殺す為に、僕は彼女に直ぐ様キスをした。
でも唇をくっ付けるだけのキスなんかでは当然物足りなく、次第に舌を絡めて濃厚なキスになっていく。
「……ん…ん……」
セーターの下から手を滑り込ませて、直に彼女の胸に触れる。
ブラの隙間から指を入れて、先端をプニプニと弄っていった。
もちろん今すぐにでもしゃぶりつきたくなる衝動をなんとか抑えて、次は彼女の下半身に手を伸ばした。
「――…ん…っ」
スカートだからちょっと捲れば簡単に下着まで手が届く。
隙間から指を入れると、既にぬるぬると愛液が溢れてきていた。
「……は…ぁ、精菜もう結構濡れてるな…」
「ん……だって、久しぶりにエッチ出来ると思ったら…」
「2ヶ月ぶりくらい…?だよな…」
「うん……開きすぎだよぅ」
この2ヶ月間、セックスどころかほぼ会えずにいた僕ら。
正直我慢の限界だ。
精菜の手が僕の下半身に伸びてくる。
ズボンの上から撫でて、固さを確認してくる。
「佐為…もう挿れちゃおう?邪魔が入る前に…」
「……うん」
ベルトを解き、取り出したソレに僕は手早くゴムを装着した。
そして下着をずらした彼女の入口に合わせ、直ぐ様腰を沈める。
「……ぁ…っ」
「精菜…声我慢出来る?」
「う…ん……頑張る」
もちろんこんなセックスは初めてだ。
ほぼ服は着たままで。
ベッドではなく床に彼女の体を倒して。
声も我慢して、音も極力立てないようにして。
この部屋の真下には彼女の親がいるのに。
いつ上がって来てもおかしくない状況なのに。
「は……佐為……私もう……」
「…僕も……」
「……あ…ぁ…っ――」
達したのか彼女の中が締まる。
おかげでもちろん僕もすぐに達して、脱力した。
「……はぁ……は……佐為……」
しちゃったね……と彼女が耳許で囁く。
「気持ちよかった…。たまにはこういうのもいいね…スリルあって」
「はは…」
「バレてないかな…?」
「たぶんな。急ごうか…」
「うん…」
体を起こした僕らはすぐに後処理をして、服装を正した。
そしてまるでカモフラージュするかのように碁石の音を響かせて一局打ち始めた。
程なくしてコンコンと誰かがドアをノックしてきた。
「あ、はーい」
慌てて精菜が開けに行くと、ドアの向こうにはコーヒーと洋菓子を乗せたトレイを持った彼女の母親が立っていた。
「ありがとう」と精菜が受けとる。
恐らくはバレてないんだろうと思う。
特に何も言わずにすぐにまた下に戻って行った。
ドアを閉めた途端、精菜が苦笑いしてくる。
「私ってイケナイ娘だよね…」
「僕も同罪だから…」
「佐為、どうする?もし将来私達に女の子が生まれて、その子が彼氏を部屋に上げてたら」
「はは……それは恐ろしいな」
邪魔をしまくる自分の姿が目に浮んだ。
娘が彼氏のいいようにされるなんて我慢ならない。
でも、そう考えると……
「緒方先生ってすごいよな…。全然邪魔しに来ないし…」
「佐為、信用されてるのかな?」
「だとしたら申し訳ないな…」
「あ。でも昔、彩をけしかけて来たことあったね」
「でもそれくらいだよな…」
「私のこともう諦めてるのかなぁ…?」
「それはないと思うけど」
精菜の新初段シリーズの時のことは今でも忘れられない。
『精菜を捨てたら殺すからな』
と言ってきた先生の目はマジだった。
『ありえません』――僕はそう先生に返した。
今でもそれは同じ気持ちだ。
一生傍にいてほしいと思う。
「緒方先生は精菜のこと大切に思ってるよ。きっと嫌われたくないから……しぶしぶ僕のことを許してるんだと思う」
「ふぅん…」
その分責任は取らさせる。
もちろん僕も取るつもりだから、何も問題はない。
「ね、今度は佐為の部屋でこそっとしちゃお♪」
「はは……ハマるなよ?」
「それも彩と京田さんがいる時に!」
「向こうも盛り上がって始めちゃうかもな」
「彩ならやりかねないね」
「必死に無駄な抵抗をする京田さんが目に浮かぶな」
「ふふ」
結局このあと一局打ちきって僕はお暇することにした。
玄関で別れを告げる頃には僕はまたいつもの眼鏡にマスク姿に戻っていた。
リビングからやって来た緒方先生に
「佐為君も大変だな」
と嫌味のような同情をされる。
「お邪魔しました」
「ああ、気をつけて。また5日に棋院で」
「はい」
5日は例年通り打ち初め式がある。
今年はタイトルホルダーとして新年の挨拶もしなくてはならない大事な行事だ。
「佐為、また明日ね」
「うん」
精菜の台詞に先生の目がつり上がる。
「明日も会う気か?!」
「え?うん。明日は彩や京田さんも一緒に初詣行くんだもん」
先生が僕に鋭い視線を向けてくる。
その顔には『明日はここには来るなよ』と書かれてあるように見えた。
全てを見透かされているような目。
少しだけ冷や汗が出た。
「…門限は5時だからな」
小さく舌打ちをしてリビングに帰って行った。
「……精菜、もしかしてバレてるんじゃないか?」
「えっ?!嘘…!」
途端に真っ赤になった可愛い彼女の唇にそっと一瞬だけキスをして、僕は緒方家を後にしたのだった――
―END―
以上、元旦のお話でした!
佐為が高3のお正月です。
ついに我慢出来ず親の在宅中にエッチしちゃう二人なのでした〜vv
もちろんバレバレですよw
〜〜佐為と精菜がラブラブしてる最中、リビングでは〜〜
「ったく、佐為君はやっぱり進藤の息子だな…」
「そろそろお茶運んでもいいかしら?」
「まぁ…もうちょっと待ってやれ」
「あら、ずいぶん寛容なのね」
「ふん、ご褒美だ。去年頑張ったからな」
緒方夫妻はもちろん最近二人がろくに会えてもいないことも知ってるのです。
少しくらいなら許してあげる愛娘には優しい二人なのでした!
緒方先生からの『ご褒美』なのです!