●REVENGE おまけ4●





「うーん…京田さん、この因数分解の問題全然分かんないんだけど…」

「どれ?ああ…これはbの次数が最低だからbについて整理していけばいいんだよ」

「ふむふむ」



付き合い始めて2ヶ月。

海王高校から京田さんのマンションまではメトロでたったの2駅なので、放課後、彼の部屋で宿題をするのがいつの間にか私の日課になっていた。

分からないところはどんなに難しい問題でも即座に解き方を教えてくれる。

彼は最高の彼氏で最高の家庭教師だ。



「よし、宿題終わったー!ありがとう京田さん♪」

「どういたしまして」


パソコン机の前に座ったままの彼が、こっちを見て微笑んできた。

私の胸がドキッと飛び跳ねたのが分かった。



(カッコいいなぁ…)



パソコンをする時、京田さんはいつもメガネをしている。

それがとてつもなくカッコいいのだ。


「京田さんて視力悪いの?」

「1.0だから悪くはないけど」

「じゃあ何でメガネしてるの?お兄ちゃんみたいに伊達?」

「これはPC用の眼鏡なんだよ。いつも長時間になるからブルーライトカットでもしようと思って」

「へー」

「ていうか、進藤君がたまにしてる眼鏡は伊達なんだ」

「うん。メガネにマスクは最強の組み合わせらしいよ。まず素性がバレないって」

「はは、芸能人みたいだな。進藤君も相変わらず大変だよな」


笑ってくる彼の背中にぎゅっとまとわりついた。

そして「京田さん…まだパソコンするの?」と耳元で囁く。

「うん…もうちょっといい?最近忙しくて棋譜整理出来てなかったから溜まってて…」

「京田さんは溜まってないの?」

「……彩ちゃん」


顔を赤めた彼のメガネを外してやった。

それはもちろんキスする為。

正面に移動して、私は直ぐ様口付けて深いキスをした――


「……んっ、…んん……っ、ん…っ」


挿入した舌に彼の舌を絡める。

イヤらしくて気持ちよくて、もちろんこんなキスをしばらく続けてると……私の体は火照ってくる。


「……はぁ、ねぇ…京田さん…向こう行こ?」

「いいよ…」


向こうとはもちろん寝室。

彼がいつも寝ているベッドで再びキスを始めて――そして体を倒された――


「……ぁ…っ…」


制服のボタンを外されていって、露になった私の肌に彼の唇が口付ける。

ここまで来ると、私はもう後はされるがままでいい。

京田さんは自分からはなかなか誘って来ないけど、私がその気にさせて一度スイッチが入ってしまうと、彼はもう止まらないのだ。


「…ぁ……京田…さん…」

「彩ちゃん……」


制服を全部脱がされて、ベッドの下に落とされる。

もちろんすぐに下着も脱がされて生まれたままの姿にされる。

もちろん彼もいつの間にか服を脱いでいて、お互い素っ裸で肌を合わせることになる。

そして予想以上に激しいエッチに、私はいつも骨抜きになるのだ。


「…ぁっ、…ぁ…んっ、…ぁ…っ」


挿入されて、激しく動かれて、私の頭は次第に真っ白になってもう何も考えられなくなる。

考える余裕を与えてくれないのだ。

エアコンが点いてるはずなのに、お互い汗だくになって。

上り詰めた後は私も彼もいつもぐったりと倒れこんだ。


「……はぁ……は……京田さん…」

「……彩ちゃん……」


めちゃくちゃ運動だ。

運動としか言いようがない激し過ぎるエッチ。

終わった頃には既に18時を回っていたので、私は慌ててシャワーを借りた。

バスルームから出た後、再び制服に着替えながら、次会える日を確認する。



「京田さん、明日は火曜だから太田九段の研究会に行くんだっけ?」

「そうだね。今週は大阪で対局だから、明後日も昼過ぎには出発するよ」

「えー、じゃあ帰って来るの金曜?」

「うん。金曜は進藤先生の研究会があるから、その時また会えるな」

「えー…でもそれだと二人きりになれないじゃん。土日は?」

「うーん、実は仙台のイベントの手伝いが入ってて」

「ええー…じゃあ次は来週?」

「そうなるかな…」


私は頬をプウッと膨らました。


「京田さんちで宿題するのが日課なのに…」

とブツブツ言ってみる。


「……俺抜きでもちゃんと宿題出来る?」

「出来るよ」

「じゃあ来てもいいよ」

「でも京田さん留守なんでしょ?」

「うん、だから…」


はい――と私の手にソレを渡してきた。


ソレとはまさしく、紛れもなく――カギだ。


「きょ、京田さん、こここれって…合カギ?!」

「うん。俺がいない時でもいつでも上がっていいから」

「……」


めちゃくちゃ嬉しい……

感動。

嬉し過ぎて涙が出そうだ。


「ありがとう…京田さん」

「俺がいなくてもちゃんと宿題しろよ」

「うん、うん……もちろん!」


私はぎゅっと彼の胸に抱き着いた。

そして「ありがとう」とお礼のキスをした――








翌日夕方。

私は早速合カギを使って京田さんの部屋に侵入した。

誰もいない部屋。

新鮮だけど……いつもはいる彼がいなくて、やっぱり少しだけ寂しい。


とりあえず約束通り宿題をして。

その後は寝室でちょっとだけ横になった。


(京田さん匂いがする……)


何だか彼に包まれてるような気分になった。

私は幸せな気持ちでちょっとだけお昼寝をしたのだった――








―END―







以上、交際を始めて2ヵ月後、合鍵をもらった日のお話でした〜。
京田さんは数学と世界史と英語が特に得意なのですよ。
彩の宿題レベルなら一瞬で解いちゃうのですよ。
でも決して答えは教えません。
あくまで解き方を教えてあげるだけです〜。
その辺は厳しいですね(笑)
(精菜と早くいちゃいちゃしたいが為に、精菜の字に似せて宿題をしてしまう佐為とは大違いw)

ちなみに合鍵をゲットした彩。
1日目は真面目に宿題してましたが、2日目からは絶対家捜ししてると思う。
エッチな本とか隠してないのかな〜とかw