●RESORT WEDDING 3●
食事会が開始して約2時間後。
最後にケーキカットをして、そのケーキが皆に振る舞われた後、藤崎さんの結婚式は無事終了した。
ゲストハウスからホテルまでは徒歩10分。
送迎も出ていたが、ラベンダー畑の道がすごく綺麗だったので、僕は歩いてホテルに向かうことにした。
何故か進藤も付いてくる。
「いい匂いだね」
「そうか?何か臭くねぇ?」
「キミの嗅覚が変なんだよ」
「へいへい」
一本だけ摘んでみた。
押し花にしてしおりを作ろうかな。
「…いい結婚式だったね。僕もリゾートウェディングにしようかな」
「その前に相手がいないくせに」
「ああ。絶賛大募集中だ」
「……」
はぁ…と、つい溜め息が出てしまった。
結婚式の後は決まって出る。
昔はこんなことなかったのに、同年代の人達が結婚し出した最近特に…。
きっと羨ましいからだろう。
僕もあの白いドレスを着てみたい。
皆の前で愛を誓って、指輪を交換して、キスもして。
もちろん神前式でもいい。
「……さっき、藤崎さん変なこと言ってたね」
「え?」
「キミがまだ僕のことを好きだ…とか。もう四年も前に別れたのにね」
「ああ…四年も経ったら頭が冷めた」
「はは…もう僕への気持ちなんて忘れちゃった?」
「…違う。怒りが冷めたってこと」
「え…?」
進藤の方に振り返ると―――抱きしめられた――
「進藤…?」
「さすが幼なじみ様だぜ。口に出さなくてもオレの気持ちなんてお見通しってことか」
「……」
「そうだよ、オレ…まだオマエのことが好きだ。さすがに四年も経ったらあの時の怒りなんてどっかに行っちまった。残ったのは後悔だけだ。ずっと後悔してた…」
「進…藤…?」
「彼氏、絶賛大募集中なんだろ?じゃあオレともう一回付き合ってくれよ…」
彼の抱きしめる腕の力が更に強くなった。
イエスって言うまで、離してくれそうにない力。
「でも…僕らのことだから、すぐまた喧嘩するよ…?」
「いいじゃん…別に喧嘩したって。でもあの頃と今のオレは違う。二度と同じ間違いはしない…」
「僕と別れたのは間違い?」
「間違いだよ……オレの人生で二番目の大失敗」
「二番目?一番目は?」
「…内緒」
一瞬ムッとしたが、何だか進藤が少し泣いてるみたいで………ああ、そういえば今って5月か…って。
キミを支えてあげれるのはきっと僕しかいないんだろう…。
僕にとっては…キミと別れたのは人生で一番の失敗だよ。
いや、成功かな?
あの悔しさをバネに、今のタイトルを手に入れたから。
あれ?何の悔しさ?
ああ…そうか、思い出した。
あの時も最初の引き金はキミに『女のくせに』って言われたことだったんだ。
確かに今のキミならそんなことは絶対に言わないね――
「…部屋、変えてもらわないけど…いいよな?」
「…いいよ」
「睡眠不足になると思うけど、いい?」
「いいよ…」
「早くても怒るなよ?なんせするの…四年ぶりだし」
「え?キミ、四年間誰とも付き合わなかったの?」
「うるせぇなぁ…オマエの方こそ、他の奴に体許してないだろうな?」
「ふふ…調べてみたら?」
「おぅ!一晩かけてじっくり隅々まで調べまくってやる!」
藤崎さん夫婦が予約してくれた部屋は、見晴らしのいいダブルの部屋だった。
このラベンダー畑が見える部屋で、久しぶりに一晩中愛しあった僕ら。
ねぇ進藤、僕らもリゾートウェディングにしようか。
藤崎さんが北の端なら、僕らは南の端なんてどう?
―END―
以上、リゾートウェディング話でした〜。
何となく、あかりちゃんの結婚式にヒカアキ揃って参加してる話が書きたかったのです。
しかもこれを機によりを戻す話。
とりあえずアキラと別れた後、誰とも付き合ってないヒカルに萌える…(笑)
あかりちゃんが北海道なら、ヒカアキは沖縄かな♪芸能人みたいにハワイってのもいいよね!
(ただ行洋パパはリゾートって感じじゃないんだよなぁ…(=_=;))