●PROMISE●





今日、12月14日は塔矢アキラの25回目の誕生日。

両親以外特に祝ってくれる人もいない彼女は、今日もひたすら碁盤を睨んでいた。



「ねぇ、アキラさん。今お暇?」

「え…?」

「これからお友達とランチする約束なの。アキラさんも一緒に来て。ね?」

「……別にいいですけど」


アキラを外出着(なぜ着物?)に着替えさせてる途中、彼女の母・明子はペラペラと一人喋り続けていた。

そのお友達とは、先日行われた同窓会で30年ぶりに会った小学校の時の親友らしい。

彼女らは「みっちゃん」「あっちゃん」と呼び合っていたそうだ。


「みっちゃんもね、ハタチ過ぎで結婚したみたいで、息子さんが一人いるんですって。その息子さんも今は恋人がいないみたいなのよ」

「…そうなんですか」


だから、何?

アキラは特に興味なさそうに聞いていた。

が、次の母の一言で固まることになる。


「私たちね、もし将来お互いに男の子と女の子が産まれたら、結婚さそうって約束してたのよ。叶いそうでよかったわ〜」

「………は?」


今日のランチの本当の目的を悟った時には、時既に遅し。

明子が呼んだタクシーに乗せられた後だった――











一方、その頃ヒカルは困っていた。

今日は長年想い続けてきた塔矢アキラの誕生日。

アキラは今日は一日中家にいると言っていた。

碁で釣って上手いこと呼び出し、食事にでも誘って、イルミネーションで有名なスポットにでもドライブに行って。

でもって今日こそ、今日こそ、告白しよう!!と意気込んで朝を迎えたのに……母・美津子から至急家に戻ってくるように言われたからだ。

よりによってなんで今日なんだ…と思いながらも、何だかんだで親孝行なヒカルはしぶしぶ実家に向かった。

だけど着いた途端スーツに着替えさせられ、ランチに連れ出される。


「オレ、これから行くところがあるんだけど…」

「いいじゃない。どうせたいした用じゃないんでしょ?」


いや、めちゃくちゃたいしたことのある用だよ…告白するんだから。


「ヒカル、今彼女いないって言ってたわよね?」

「……いないけど」


けど、今日中に出来る予定だ。

あくまで予定…だけど。


「そう、よかったわ。ヒカルももう25歳だものね。そろそろ結婚しなくちゃね」

「は…あ…?」

「お母さんね、小学校の時友達と約束してたのよ。将来お互いに男の子と女の子が産まれたら絶対結婚さそうって。まさか実現するとは思わなかったわ〜。でも、きっとヒカルも気に入るわよ。あっちゃんは昔から美人だったから。娘さんもきっと美人よ」

「な…っ!」


なに勝手に息子の人生を決めてんだこの母親は!!

冗談じゃねー!

オレにはちゃんと好きな奴がいるんだからな!

結婚なんて塔矢以外考えられない!


「帰るっ!」

「ダメよ、もう着いたし。ほら、あの人よ。あっちゃ〜ん、お待たせ〜」


ズルズル引きずられて、ヒカルはその友達の前に連れていかれた。

が、そのお友達の顔を見た途端に、彼は大きく目を見開いた。


「明子…さん?」

「あらやだ、進藤君じゃない。みっちゃんの息子さんって進藤君のことだったの」


ということは……とヒカルが期待して明子さんの後ろに隠れている女性の顔を覗き込むと――


「塔矢っ!!」

「はは…まさかキミだとはね…」


アキラはもう笑うしかなかった。

よりによって相手が永遠のライバルだったとは。

ちょっと安心したような…困ったような…嬉しいような…。



「母さん…ありがとう」

「何が?」


アキラの麗しすぎる着物姿を見て気持ちが抑え切れなくなったヒカルは、今日の目的を達成する為に彼女の手を取った。


「塔矢、オレ…ずっと言えなかったんだけど…」

「…え?」




――オマエのことが好きだ――




こうして母親ズの援護もあり、見事ヒカルはアキラを妻に迎え入れることが出来たのだった。







―END―









以上、アキラ嬢の25歳バースデー話でした〜。
全然祝ってませんけど(笑)、ま、12月14日のお話ということで許してください〜(^ ^;)
お母さんに感謝感謝だね、ヒカル君v

久しぶりに視点なくして話を書いてみました。
か、書きにくい…!><
やっぱり私には視点アリの方があってるみたいです。