●PRETTY WOMAN 9●





「あの…さ、オレなんかが入っていいのか?同室の奴ら何か言わない?」

「二人とも今日は帰ってこないから」

「え…」



二人で抜け出した懇親会。

塔矢に連れられて、彼女の部屋にやってきた。

オレらの部屋と全く同じ造りの12畳程度の和室。

3つ綺麗に並べられた布団にドキッとなる。



「あー…打つか?」

「昼間嫌ってほど打ったから…もういいよ」

「…だよな」


塔矢が布団に座った。

いつものきちんとした正座じゃなくて、少し崩した女の子座り。

浴衣の隙間から見えた太ももに、思わずごくっ…と唾を飲み込んでしまった。


触りたい。

このまま押し倒したい。


すっげぇチャンス…かも――



「塔矢…」


オレの方も脚組んで座って…そっと塔矢の頬に手を伸ばした。

顔…真っ赤だ。


「好きだよ…塔矢」

「…私も」


徐々に顔を近付けていくと…目を閉じてくれた。

そっと口付ける―――


「……ん……――」


初めてのキス。

温かくて…すっげー柔らかい唇。

徐々に啄んで感触を確かめた――



「…は…ぁ…、は…」


唇を離して目を開けると、頬が赤くて目がとろんとして一層可愛いくなった塔矢がいた。


「う…わ、うわうわわわ…」

「え…?」

「オマエ、可愛過ぎだって!やべー」

「進藤…?」

「このままだと襲っちゃうかも…オレ」

「………いいよ」



―――え?



「今…いいって言った?」

「…うん」

「オマエ…意味分かってる?」

「子供じゃあるまいし…当たり前だ」

「そう…だよな。じゃあ…」


もう一度、キスをした。

今度はそっと舌も挿入して…彼女の舌に絡ませる。


「ん…っ、んん…――」


ぎゅっとつむられた瞳。

初めての深いキスに、少し目尻から涙が出てきていた。



「は…ぁ…はあ…―」

「塔矢…」


細い身体を包み込むように抱きしめ、髪に何度もキスをする。



「…キミ、お酒の匂いがするね…」

「だってさっきまで飲んでたもん」

「…実は酔ってる?」

「酔ってねーよ。全然素面」

「そう…?」

「あ、疑ってる。別に酒の勢いでオマエを口説いてるわけじゃねーからな?飲んでなくても口説くし」

「……」

「つーか…塔矢は飲まなかったのか?」

「うん…断った」

「ふーん…」


床の間の時計をチラッと見た。

まだ8時過ぎ。

懇親会もまだ続いてる頃だし、まだまだ朝まで時間がある。

それじゃあ……


「…塔矢、先に星…見に行こうか」

「え?でもキミ運転…」

「うん。出来ないからオマエがして?免許持ってきてるだろ?」

「ええ??私ペーパードライバーだよ!?」

「平気だって。近いし真っ直ぐ一本道だし、オレの車オートマだもん」

「でも…っ」

「風にあたれば酔いも醒めると思うからさ。お願い」

「……もう」

「サンキュー塔矢♪」



せっかくの塔矢との初エッチ。

後で文句言われるのも嫌だし、やっぱ完全に素面でしたいじゃん?
















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