●OBESITY MISUNDERSTANDING 3●


あれから二週間。

再び体重計に乗った僕は、表示された数字を見てニンマリと笑った。


「戻った♪」


不思議なもので、生活ペースを元に戻すと自然と減っていった体重。

その上適度な運動を始めたから、前以上に体型はよくなった気がする。

これでやっと進藤に体を見せれるぞ♪




プルルルル
プルルルル


『…塔矢?』

「あ、進藤?キミ明日一日オフだろ?僕の家に打ちに来ないか?」

『…塔矢先生、いんの?』

「いないよ」

『じゃあ…行く』

「うん」


父がいたら進藤を家に呼ぶはずがない。

父も母も一昨日から韓国。

だから心置きなく進藤とベタベタ出来る。

楽しみ♪










ピンポーン


翌日――約束通り打ちに来た進藤を、いつもよりお洒落して出迎えてみた。


「いらっしゃい」

「うん…お邪魔します」

「……?」


何だか…今度は進藤の方に元気がない?

いつもなら僕がスカートを穿いてたりメイクしてたりアクセサリーを付けてたり、ちょっとした違いにも敏感に反応してくるのに…。

今日は僕をほとんど見ずに前を素通りして、さっさといつも対局してる居間へ行ってしまった。


…ちょっとショック…


この前僕が拒んだから拗ねてるのかな?

安心してくれ。

今日はこの前の分と合わせて、いつもより2倍いちゃいちゃしよう!





「進藤♪」

碁盤の前で律義に座って待機する進藤に、後ろから抱き付いて――珍しく僕の方から甘えてみた。


「塔矢…?なに?」

「ね、打つのは後にして、先に…しない?」

「はぁ??」

進藤が驚いたように目を見開いて、勢いよく振り返って来る。


「何言ってんだよオマエ!出来るわけねーじゃんっ」

「え…?」

「もっと体を大事にしろよ!」

「は…?」


えー…と。

一体どういう意味だ…?

どうして出来ないんだ?

体を大事にって…何を今更。


「だいたいいつまでオレに黙っておくつもりなんだよ!」

「え?何…を?」

「何をって……」


進藤が顔を赤くにも青くにもして、下を向いてしまった。

僕…、キミに何か内緒にしてたかな…?


「何のことだ…?」

「もう隠さなくてもいいって!オレとっくに気付いてんだから!」

「だから何を?」

「出来たんだろ?」

「だから何が?」


一向に具体的に言って来ない進藤にだんだんイライラしてきた。

何をキミは気付いてるんだ?!

何が出来たんだ?!

ハッキリ言ってくれ!!


「オマエは…どうしたいんだよ」

「どうしたいって……今はキミといちゃいちゃしたい」

「今じゃなくてもっと先!」

「先?」


先って……一年後とか?

五年、十年後とかか?


「いや、僕は別に…キミとこれからも打てればそれで…」

「そうじゃなくて!子供はどうすんのか聞いてんの!」

「こ…子供??」

「産みたいのか?!産みたくないのか?!」

「産みたくなくはないけど…」

「じゃあ産むのか?!」

「うんまぁ…いつかね」

「は?いつか?何言ってんだよオマエ…、んな悠長なこと…。今決めねぇと…」

「キミこそ何を突然…。子供なんて二十歳過ぎてからで充分だ」

「二十歳?じゃあ今お腹にいる子はどうするんだよ!おろすのか?」

「誰のお腹に何がいるって言うんだ…」


だんだん進藤の言ってる意味が分かってきた気がする…。

というか僕らの食い違いが…。

というよりは進藤の勘違いが…。


「進藤、言っておくが僕は妊娠してないからな」

「…へ?」

途端にマヌケな顔になる進藤。


やっぱり…ね。


「え…、だってオマエこの前…」

「何を見てそう勘違いしたのかは知らないけど、とにかく僕は妊娠なんかしてない!ちゃんと今週の頭まで生理も来てたし!」

「……マジ?」

「マジだ」

「………」

一気に力が抜けたのか、進藤は畳にふらふらっと倒れてしまった。


「何だよもぅ…オレの勘違いかよ…」

「みたいだね。僕が妊娠してると思ったのか?」

「うん…。だからこの二週間…一人ですげー悩んでた。オマエが産みたいって言ったらどうしよう…って」

「はは」

「良かった…」

「心配しなくても、僕だって今の歳で産むのは御免だから」

「…だよな。オマエならそう言うと思った」

「まぁ実際に出来たら…もしかしたら考えも変わるかもしれないけどね。大好きなキミとの子供だもん♪」

畳に倒れてる進藤に跨って、上から彼の額にそっとキスをした―。

すると進藤が下から僕を抱き締めて来る――


「オレも…な、この歳で親になんかなるのはゴメンだけど…、オマエが産みたいなら…って覚悟して今日ここに来たんだぜ?」

「ありがとう。ごめんね、僕が紛らわしい態度をとったから…」

「いや、オレの方こそ…。今度からはもっとちゃんと避妊するな…」

「今度から?今からじゃないのか?」

「ん、今から…――」


そうして久々に飛び切り甘いキスをした僕ら。


今年の僕らは去年よりもっと素敵な関係になれそう気がするね――














―END―















以上、太っちゃったアキラさん話でした〜。
&勘違いヒカル。
たたた楽しかった!書いてて楽しかったです勘違いヒカル!(笑)
一人暴走ですね。
アキラも大変。

にしても久々に書いたな〜、年相応なヒカル。
アキラが好きだけど、でもまだ結婚とか子供とかは重荷で。
今が大事。
ただ好きな子と付き合って、女の子と色々してみた〜い。
遊びた〜い、なお年頃。
私の中で、そのヒカルは17歳と決まってます(笑)
16歳以下はただ単に恋愛話。
18歳以上は結婚とかが乱入。
いい時期です、17歳。
遊んでるヒカルを書くなら17歳設定です(笑)