●NOTICE 6●





「――…ひゃ…っ」


ワンピースのファスナーが腰まで下ろされて、上半身をあらわにされた。

ブラの上から胸を揉まれる。

その次は直に。

童貞じゃないくせに、この急かしさはきっと童貞並。

何をそんなに余裕がないんだろう。

もちろん、初めての僕も余裕なんてあるわけがないけど…。



「――ん…っ」


今度はスカートをめくられて手が脚に触れてきた。

どんどん上に上がってきて……ついに大事な場所にも触れてきた。

恐くて、ぎゅっと唇を噛む。


「……大丈夫か?」

「キミ…こそ…」

「うん…オレも無理…。我慢出来ない…」


次第に僕は演じることを忘れていった。

進藤も「さくらももこ」ではなく、もう「塔矢アキラ」を抱いてるみたいだった。

いつからバレてたんだろう…なんてことを考える余裕ももちろんない。



「――あ…っ…」


下着の隙間から指が侵入してきて、くちゅくちゅ弄られる。

音だけで恥ずかしいぐらいに濡れてるのが分かった。

でも、どんなに濡れていても初めて。

進藤の方も分かってるのか、急かしながらも…じっくり拡げていってくれた。

中で感じる彼の指。

右手の中指…だから、いつも石を掴んでるあの指だと思ったら、恥ずかしくてたまらなくなってきた。



「な…、も…いい?」

「ここ…で…するのか?」

「ベッドまで行く余裕ねーもん…」


入口に彼のモノが押し当てられた。


「付けてない…の?」

「付ける余裕もない…」

「…どうなっても知らない…からな」

「いいよ」


中にじわじわ入ってきた。

痛い……けど、進藤だから…我慢出来る。


進藤の体が僕に覆いかぶさってきた。

チュッ…と口にキスされる。

続いて髪に……


「……なんで、染めたんだよ…」

「キミが地味だって…言ったんじゃないか。変わるには髪の色を変えるのが一番早い…」

「オレ…オマエの髪好きだったのに…」



――…え…?



「すっげー悔しい…。自分のせいでこうなっちまったのかと思うと…尚更悔しい」

「……髪はまた伸びるよ」

「…そうだな。今度は絶対にいじるなよ」

「……うん」


奥まで入った後、また体を起こした彼は、今度は突き出した。

最初は痛かった痛みも次第に慣れてきて……徐々に気持ちよくなってきた。


「ぁ…っ、あ…ぁ…っ、ぁっ…」

「は…っ、す…げ…気持ちい…」

「ん…っ、僕…も…」

「塔…矢、塔…や…」

「進…藤…」


最後はお互いの名前を連呼しあって、僕らは一緒に絶頂を迎えた。

彼が僕の中から出ると、繋がっていた場所からたくさん白い液体が流れ出てきた。

ソファーが汚れてしまった進藤はちょっとショックを受けていたけど、完全に自業自得だ。

嫌ならベッドですればよかったんだ。

ちゃんと付ければよかったんだ。


「ま、いっか。オレとオマエが愛し合った証拠がいつも見れると思えばさ」

「………」


行為が終わって頭の熱が冷めると、僕は恥ずかしくて進藤の顔を直視することが出来なかった。

もちろん行為自体も恥ずかしかったんだけど、それよりも……



「…い、いつから気付いてたんだ…?」

「んー、映画観た時?ま、ずっと疑ってはいたけどな」

「映画…?」

「オレ、寝たフリしてオマエの匂い嗅いでたんだ」

「犬かキミは…」

「うん、嗅覚は犬並。で、塔矢の香りがしたから、もしかしたら〜って思った」

「い、いっておくけど、僕は別に騙すつもりはなかったんだからな!変わった姿を見せに道玄坂の碁会所に行ったら、キミ達が全然気付いてくれなかったから…!」

「だって塔矢アキラが髪染めるなんてありえないしさー。あーマジでありえない。何で染めたんだよ」


進藤がまた悔しそうな顔をして、僕の髪を引っ張った。

でもってまた髪にキスしてくる……


「いい香り…、髪の匂いは変わってないな…」

「…シャンプーは変えてないからね」


続いて、僕の鎖骨辺りにも顔を近付けてきた。


「いい香り…。一体どこから出てるんだ?この匂い…」

「し、知らないよ。そんなに嗅ぐな、変態っ」

「オレさ、この匂いに包まれて寝るのが夢だったんだよなー。塔矢、ベッド行こうぜ。寝よう」

「まだ8時だけど…」

「いいの、起きたらもう一ラウンドするつもりだし」

「ええ??」



進藤に引っ張られて寝室に移動した僕ら。

ベッドに座ったところで、進藤が抱きしめてきた。


「塔矢…好きだ…」

「…10年以上も好きだって…本当なのか?」

「ん、もちろん本当…」

「…僕には一生告白しないって言ってたくせに」

「だって怖いじゃん。ライバルとしてのオマエだけは失いたくなかったし」

「例え上手くいっても喧嘩ばかりだからすぐ別れるとも言ってたよね?それでも本当に付き合うの?」

「あ〜それなんだけどさ、いいコト思い付いたんだ」

「え…?」


進藤にトンっと体を倒されてしまった。

跨がって、また僕の上に乗ってくる。


「さっさと子供作っちゃおうぜ。子供がいたら、オマエは絶対に別れないだろ?」

「…まぁ、そうかもね…」

「よし、じゃあもう一回してから寝ような♪」



もう一度、今度は長時間体を繋げた僕ら。

その後…彼は僕を抱きしめて心地良さそうに眠ってしまった。

こそっと僕も進藤の匂いを嗅いでみた。




……いい香り……




僕の方からも進藤に抱き着いて――目を閉じた。

起きたら本因坊戦の検討をするからな、と呟いて―――











―――三ヵ月後

進藤の思惑通り僕のお腹に新しい命が芽生え、僕らはスピード婚することとなった。

もっとも、スピード婚だと思っていたのは僕らだけで、周りからは

「やっと一緒になるのか」

と言われてしまったのだけれど―――









―END―











以上、イメチェンアキラ子さん話でした〜。
ヒカルの中では茶髪のアキラさんなんてありえないので、少々気づくのが遅れてしまったみたいです。
ああ…でもエッチしたら二人とも素が出ちゃうみたいで。もうバレバレ〜ですね。

ちょっとありえない話でしたが、少しでも楽しんでもらえたのなら嬉しいです(*^ ^*)