●NEW FIRST-STAGE SERIES 17●
「それで?上手く説得出来たん?」
「うん」
翌日、西条に一部始終を話してみた。
昨日精菜に指輪を贈ったことには「マジかいな!」と驚かれたけど。
「早からプロポーズか?!」
「約束だけだけどね。正式にするのはきっとまだ10年以上は先だよ」
「10年以上先も一緒におるって自信あるんやなぁ…」
「当たり前だよ。10年どころか50年だって100年だって一緒だよ」
「一途やなぁ…。やっぱ血は争えんなぁ」
西条が感嘆の溜め息を吐いた。
「あ。そろそろ来る頃だな」
「誰が?」
「彩と精菜」
「え?」
昼休みに小学校を抜け出させて(というか海王小学校と中学校は塀を跨いだらすぐ行き来出来るんだけど)、僕は二人を中学校に呼び出した。
でもって1-Aに行き、
「内海さん、ちょっといい?」
と今回の張本人も呼び出した。
何故か1-Aの連中は大盛り上がりしていたけど。
「内海が王子に呼び出された!!」と。
「あの、何かな…?」
「ちょっと付いてきて」
彩達の待つ東棟の校舎裏に連れて行く。
でもって着くなり二人に
「「ごめんなさい!!」」
と謝らせた。
「あれ本心じゃないから!内海さん才能あるから!これからも諦めずにプロ目指して!」と彩。
「私が彩に頼んであんな酷いこと言って貰ったの。本当にごめんなさい!佐為を取られるんじゃないかって不安でたまらなかったの…」と精菜。
そして僕もちゃんと真実を話す。
「内海さん…僕はこの緒方精菜ともう2年以上付き合ってるんだ」
「え……」
「そして一生一緒にいるつもり。ごめんね…」
「……ううん。院生になったら、皆が知ってる話だったから…。私なんかより…進藤君には断然緒方さんの方が似合ってると思う…」
「ありがとう。試験、最後まで諦めずに頑張って」
「うん。院生続けて、私来年絶対にプロになるね。じゃ…」
パタパタと彼女は走って行ってしまった。
ふう…と安堵の溜め息が出た。
「そういえばお兄ちゃん、精菜から聞いたよ〜〜」
「え?」
「指輪プレゼントしたんだって〜?」
「…いいだろ別に」
ヒューヒューと口笛を鳴らされて、僕も精菜も顔を真っ赤にした。
ちなみに彩は2月下旬に無事全勝で、女流棋士の採用試験に合格する。
すぐに行われることになった新初段シリーズ第6弾。
彩の相手は母になった。
「えー?!何でお母さん?!忙しいんだから無理しなくていいのにー!」
「彩の師匠として、門出を祝わなくちゃね」
ということらしい。
「えーー……」
「でも手加減なしだよ。本気で来なさい」
「えーー……」
母と例の握手写真を撮った後、幽玄の間で始まった対局。
僕も精菜も父も京田さんも皆で見守った。
まぁ当然母が勝つんだけど。
でもって美人母娘が表紙の週刊碁はいつもの1.5倍やっぱり売れたらしい。
春は別れと出会いの季節だ。
今年の僕はもちろん後者が多いだろう。
学校が春休みに入る3月24日に、「新入段者免状授与式」が行われる。
いよいよ僕も精菜も彩も京田さんもプロになる。
一体どんな対局が打てるんだろう。
一日でも早くタイトル戦で両親の前に座れるよう、これからも日々精進したいと思う――
―END―
以上、新初段シリーズ話でした〜。
何か…色々すみません。(もうどこから謝ったらいいのか…)
中学入って半年キスすらしてなかったあの佐為が、精菜の振袖姿を見た瞬間からどうやら性に目覚めてしまったみたいです…。
西条が悪友過ぎるのも問題かと…。
きっと佐為にそっちの知識を付けてるのは彼やね。本とかDVDとか押し付けてるね、きっと。
佐為側はいいとして(?)、問題は小5の精菜側です。
もちろん家族会議級の大問題です。
怜菜さんカンカンです。
「あすこの家はご両親も結婚が早すぎるし!」と、ヒカアキもとばっちり。
賭けに負けた緒方先生は、もちろんあんまり強くは言えません。
「ま、まぁ最後まではしてないみたいだし…」
「当たり前です!!!(怒)」
でもって精菜とも言い争いになったり。
「精菜ちゃん、嫌ならちゃんと拒否しないと駄目よ?」
「嫌じゃないもん」
母親に向かってツンと。
「お母さん佐為のこと怒らないでね。佐為は我慢してくれようとしたのに私が誘ったんだから」
「だからって…」
「じゃあ私が今更拒否して佐為の気持ちが離れたらどうしてくれるの?お母さん責任取ってくれるの?取れないなら私達のことは放っておいて。だいたい愛のない結婚をしてるお母さん達に文句言われる筋合いないから。娘の幸せを願ってるなら二度と口出ししないで!!」
という感じで、精菜反抗期に突入です〜。
怜菜さんショック〜。
まぁでも相手が真面目な佐為な訳だし、二人は真剣に交際してる訳だし、怜菜さんもとりあえず様子見で落ち着いたと思われます〜。
佐為もおかしいですが、彩の設定もちょっとずつおかしいことになりつつあります。
精菜の性の知識は全部彩のマンガから得てますので、彩が少々オタク(?)設定に。
私の中では既にマンガもアニメもゲームもイベントもコスプレも全部こなすマルチ少女設定です(笑)もちろんBLもいけます。
今はお小遣い内でおさめてますが、きっと自分で稼ぐようになったら、もっと色々買いまくりの行きまくりになると思う。
ヒカアキももちろん彩の趣味は知ってるんですよー。
京田さんはまだ知りません〜。
とまぁ色々おかしいですが、とりあえず新初段シリーズは全員無事に済みまして。
次はいよいよ皆プロになります!