●MISCHIEVOUS●





「塔矢、飴食べる?チョコもあるけど」



10月31日の晩――日付も変わろうとしていた頃に、進藤が家にやってきた。

なぜかバスケットいっぱいにお菓子を持っていて、僕に差し出してきた。


「何時だと思ってるんだキミは…」

「え?まだ11時ぐらいだろ?オマエが寝るの早過ぎなんだよ」


勝手に上がって、勝手に冷蔵庫を漁りだした。

ジュースを二人分コップに注いで、ほいっと片方僕にくれる。


「今日ハロウィンだろ?イベントでガキどもにお菓子配ったんだよな〜」

「…余りをもらったわけか」

「そ。一緒に食べようぜ」

「夜に食べたら太る」

「オマエは少しぐらい太った方がいいって」

「……」


強引な彼に、僕はしぶしぶ付き合うことにした。

今日のイベントで棋士は全員仮装させられた、とか。

オレは吸血鬼になったんだぜ、とか。

夜なのによくもまぁこんなにハイテンションで話せるものだ。


「吸血鬼はキミにピッタリだな…夜行性で」

「そう思う?じゃあ塔矢の血、吸っちゃおっかな〜♪」


冗談半分、僕の首筋に吸い付いてきた。


「ちょっ…離せっ」


少し痛みが走ったので、ドンッと彼を突き放した。


「何を…」

「へへ〜、ちょっと痕を付けてみました」

「痕って…」


鏡で確認すると、見事にキスマークが首筋に付けられていた。


「信じられない…」

「二、三日で消えるって」

「だからって……もう」


呆れて溜め息をつく僕を見て、進藤がクスッと笑った。


「塔矢、知ってるよな?ハロウィンって、お菓子あげなきゃ悪戯されるんだぜ?」

「…だから?」

「ちょーだい♪お菓子」

「……残念だけど、買い置きのお菓子なんかないよ」

「だよな〜よかった」

「よかった…?」


じりじりと…彼が近付いてきた。

その分だけ、僕は少し後退りをする。


「これで心置きなくオマエに悪戯出来る」

「もうしたじゃないかっ…この痕」

「足りるわけないじゃん。オマエの部屋に行こ♪」

「あ…」


さっきまで寝てたわけだから、当然布団が敷いてある僕の部屋。

無理矢理引っ張って連れていかれ、布団に投げるように倒された。


「進藤!冗談にもほどがある」

「あれ?こんな時間に男を家に上げたんだから、普通OKって意味だよな?」

「そんな…勝手に上がったくせに」


両腕を掴まれて、体に体重をかけられて、身動きが出来ない。

抵抗しようとすると、力付くで抑えつけられた。


「別に処女じゃあるまいし、大人しく悪戯されとけよ。すぐに気持ち良くしてやるから」

「……っ」



―――こんな風に、流されるように彼と体を重ねるの…何回目だろう。

突然家にやってきて、色んな理由つけて、毎回求めてくる。

僕が拒否出来ないって…知ってて、そこに付け込んでくる。

拒否なんて出来ないよ。

本当は…嬉しいもの。



進藤が―――好きだから









―END―














以上、ハロウィン・悪戯話でした〜。
えーと、なんなんでしょうね…この二人は。
たぶん一度成り行きで体を合わせちゃって…そのままずるずる〜な感じでしょうか?
ヒカルにはおそらくちゃんとした彼女がいて、彼女から離れたい時に気分転換にアキラと遊んでる…みたいな。
アキラが自分のことを好きなのをちゃんと分かってて、利用してるんだと。うわ、最低なヒカルだ。
アキラの初めてはおそらくヒカル。
本当は普通に恋愛したくて、周りの進めるお見合いとかも実は積極的に受けてる感じ。
でもヒカルに「やめとけば?」と一言でも言われるといい人でも即座にお断り。
ヒカルはヒカルでアキラに特定の人が出来るのは嫌なのかしら〜?みたいな。
20代後半ぐらいでようやく結ばれそうな二人です。