MEIJIN おまけ 5のおまけ@●〜彩視点〜





コンコン



精菜が兄の部屋に籠もってから15分後。

ものすごく申し訳ないけど、兄の部屋のドアをノックした。


「お兄ちゃーん。精菜がいるうちに先にお誕生日会しようってお父さんがー」


ガチャリとドアが開く。


「しなくていいんだけど…」

恥ずかしい…と。

「まぁまぁ〜そう言わずにさぁ〜」


兄と精菜を連れてダイニングに戻る。

ケーキに立てられたロウソクの数はもちろん18本…ではなく、大きいロウソク1本に、小さいロウソクが8本だ。

双子の弟妹はその大きいロウソクに目をキラキラ輝かせていた。

お母さんがロウソクに火を点けてくれて、弟妹達がハッピーバースデーの歌を歌い出した。

きっと保育園では誕生日会の度に歌っているんだろう。

歌詞も完璧に覚えていた。


歌い終えた弟妹は兄に向かって、

「ほら、お兄ちゃんロウソク、フーして」

とせがんだ。

「え、あ、…うん」


18
にもなると流石に恥ずかしいのだろう、兄の歯切れが悪い。

しかも精菜の前なのだ、どんな羞恥プレイだ。

お父さんは後ろで爆笑していた。


フーッと一気にロウソクを消し終えると、弟妹が大きな声で

「おたんじょうびおめでとう!!」

と拍手をしていた。

もちろん私も、精菜も、両親もだ。


その後は皆で切り分けたケーキを食べる。

ダイニングには6席しかイスがないので、兄と精菜はリビングで一緒に食べていた。

「佐為、クリーム付いてる」

とイチャイチャしながら。


同じような光景を1週間前の天元戦の中継で見たことを思い出す。

京田さんが兄の口元を拭ってあげてたのだ。

もちろんコメ欄は大騒ぎだった。


『公開デート?!』

『イチャイチャしすぎだろ』

『実は付き合ってる?!』

と――

(全く…、京田さんてばお兄ちゃんに甘いんだから)



でも、おそらくこんな風に家族皆で兄の誕生日を祝うのは、今年で最後になるんだろうなと思う。

来年一人暮らしを始める兄は、もちろん今後は精菜と二人きりで誕生日を祝うだろうし、その後結婚したら自らの家族と祝うだろうから。

それが分かってるから、兄も大人しく今日は祝われてるんだろう。


『お兄ちゃん、一局うって』

とケーキを食べ終えた弟がマグ碁を持って行って、勇敢にも三冠の兄に対局を挑んでいた。

「いいよ」

とすぐに応じてあげる兄。


大人っぽい兄と精菜の横に、ちょこんと座るまだ5歳の小さな弟。

歳が離れているせいもあって、遠目では親子に見えないこともない

兄も将来あんな風に自分の子供に碁を教えたりするんだろうな〜と

私は近い将来のことをケーキを食べながら考えていたのだった――

 

END

 

 

仲良し家族ですな!双子がいるとほのぼのするわ。