●MEIJIN 69●〜精菜視点〜
起きたら見慣れない天井があった。
横を見るとまだ裸な彼が眠っていて。
私は幸せを噛み締めたのだった――
昨夜、念願の名人位を奪取した私の恋人――進藤佐為。
複数位タイトルを持つ場合は、そのタイトル戦の時以外は上位のタ
だから今後彼は『進藤名人』と呼ばれることになるんだろう。
いい響きだ。
「ん……」
私が彼の髪の毛をくるくるして遊んでいたら、目を開けて来た。
「おはよう……精菜」
と微笑まれる。
「お…、おはよう……」
まだ裸で、髪も乱れてて、気怠い声で「おはよう」なんて言われたら……
(鼻血が出そう…)
「精菜…」
「え?…ん…――」
佐為にキスされる。
もちろんこれは朝のおはようのキスではなくて、きっと「もう一回
昨夜あんなにシたのに、まだシ足りないらしい。
「――…は……」
「精菜…、いい?」
と耳元で囁かれる。
「さ、佐為…、記者会見また今日もあるんでしょう?」
「9時からだから大丈夫だよ…」
時計を見ると、確かにまだ6時半。
一回くらいは出来なくもない。
「じゃ…いいよ」
OKするとたちまち首筋にキスをして…舐めてきた。
胸に顔を埋めて、揉んでくる。
先端を弄ってくる。
「……ぁ…っ…」
昨日から何度も、長時間彼を受け入れてる私の下半身は既にとろと
きっともう慣らさなくても余裕で入るだろう。
「精菜…」
「ん……」
体を起こされる。
こういう時は決まって、体位を変える時。
正常位を好む佐為だけど、全く他をしないわけではない。
後ろから挿れられたり、座位でしたり、騎乗位でしたり、私達はそ
研究熱心なのは佐為のいいところだけど、こっちまでそんなに研究
「――…あ…ぁ…っ」
今日は後ろから挿れられてしまった。
まるで動物の交尾みたいなこの体位は、最初っから奥まで一気に貫
激しく出し入れされて、確かにものすごく気持ちいいのだけれど、
最中にキスが出来ないのだ。
これは致命的だ。
だからある程度出し入れして満足したら彼はいつも途中でやめて、
「精菜…」
「…ん……」
今度は座位で続きをする。
もちろん、キスしながら。
もちろん、彼は愛も囁いてくる。
「好きだ…」
と私の目の前で…、視線を合わせて。
「ん…、私も好き…」
とキスしながら返す。
繋がったまま、何度もキスしてキスされて。
甘ったるくイチャイチャ続ける。
そして下半身が限界になったところで正常位に戻り、彼は私を激し
「――…ぁ…ん、…あ…ぁ…っ」
お互いやがてやって来る限界。
頭が真っ白になって、私は体を反らした。
「――あ…ぁ…っ」
「は…精菜……」
彼もグッタリと私に体を預けてくる。
視線を合わせると…、にっこりと微笑まれた。
「精菜…、これからもずっと応援してくれる?」
くすっと笑ってしまう。
「もちろん…、当たり前だよ」
「じゃ…、王座戦も来てくれる?」
「もちろん――」
もう一度、私達は約束のキスをした――
9時になり、奪取翌日のお決まりの記者会見が始まった。
その様子をYouTubeの生配信で私は見ることにした。
花束を奈瀬女流から受け取り、記念撮影をまずは行って。
更に書いたばかりの揮毫とも一緒に撮影される。
『初志貫徹――名人 進藤佐為』
と書かれたその色紙。
それは何を意味しているのだろう。
もちろん今度の王座戦もそうだと思う。
でも佐為が一番欲しいのは本因坊なので、きっとそれを意味してる
「一晩経ちましたが、実感はそろそろ湧いてきましたか?」
と記者に質問された佐為。
「はい、そうですね」
即座に頷き、そして彼は続ける。
「と同時に、身が引き締まった感じがします。これからも鍛錬を欠
2日後――佐為の姿は早くも京都にあった。
王座戦・第2局だ。
私の方も女流本因坊戦・第4局が、棋院で行われた。
結果はおばさんの勝ち。
おばさんはもう何度目になるのか分からない防衛に成功した。
もう名人ではないおばさんは、今後は塔矢女流五冠と呼ばれるらし
今回は1勝しか出来なかった私だけど、でもその1勝が大事だ。
積み重ねて、いつか私もタイトルを奪取したいと思う。
王座戦では、早速『進藤名人』と呼ばれていた佐為。
今後はそれが彼の代名詞となるだろう。
――おめでとう佐為――
―END―
以上、佐為VSアキラの名人戦でした〜。長すぎた…!!!え?69話?今までの続きもので一番長いんですけど…!!
4勝3敗にすることは決まってたんですが、何で4勝1敗くらいの設定にしなかったの私><
しかも名人戦だけならともなく、女流本因坊戦とか王座戦とか他のリーグとか同時進行で…何か全然終わりませんでしたね…。ぜぇぜぇ
おまけに佐為と精菜、エッチしまくりだし!というかもう佐為ソレしか考えてないし!もっと碁のことを考えて!って突っ込みたくなるくらいエロい名人戦話でしたねー(遠い目)
でもとりあえず無事完結してくれてよかったです。10話だけ書いてしばらく(4年?)放置してたんですが、今なら書ける気がすると思って書き始めてみましたが、本当に書けちゃいましたね。あー、よかった。
さすがタイトル戦が舞台なだけあって、今回はやけに対局シーンがありましたね。棋力ゼロな私には大変過ぎました…><
特に最後の第7局はめちゃくちゃ大変でした…。ちなみにこれは数年前の名人戦最終局の展開を元にしています。
大盤解説会や揮毫(色紙)についても今回触れてみました。とりあえず佐為の字はめちゃくちゃ上手いみたいです(笑)なのに、実は利き手ではないらしいですw
さすがに69話もあったら視点がころころ変わりました。精菜と佐為がメインですが、彩や京田さん、FEMALEシリーズでは久々のヒカアキ視点も書けて楽しかったです。
箱根旅行では奈央視点も1回だけありましたね。箱根の温泉旅行の全貌も、3カップルの色んな視点から書けて楽しかったです。
登場人物もかなり多かったですね。窪田さんや別宮さん、緒方さん、芦原さん、怜菜さん、相川くん、京田さんのお母さん(撫子さん)や倉田さんや奈瀬さんまで最後は登場しました。
新キャラでは嵩原先生でしょうか(笑)佐為の担任になったばかりに大変な彼です…。柏木女流も新キャラでしたね。
あと途中よく分からない保健体育の話まで挟んだり、海王囲碁部に指導碁に行ったり。彩が長野に乗り込んだり、佐為が高松に乗り込んだり(笑)
佐為がネット碁のsai2世になってたりも。
本当、色々ツッコみどころ満載でしたが、こんな長ったらしい名人戦話を最後まで読んで下さった方に感謝!