●MARRIAGE WISH●






「アキラさんもハタチになったんだから、そろそろ結婚のことも考えないとね」


ハタチになったばかりの頃、母にそう言われたのだけれど、いまいちピンとこなかったのを覚えている。

僕には結婚願望がなかったのかもしれない。

囲碁さえ打てたら一生一人でもいいと思っていたのだ。





「結婚願望?あるよ。当たり前じゃん」


でも僕のライバルに聞いてみると、悩むことなくサラリとそう返されて、僕は酷く面食らった。


「そ、そうなんだ…」

「だって子供欲しいもん。最低でも3人はいるかな〜。オレ一人っ子ですげー寂しかったから」


ギョッとした。


「僕は3人も産めないぞ!多くて2人だ!」


今度は進藤が面食らったように驚いていた。

しまったと思った。


「ん、まぁ…2人でもいいケド。塔矢が望むなら…」

「え!?」


まさに晴天の霹靂だった。






――あれから早6年。


長男、長女、次男と、今では3人の子の親としてライバルしてる僕らがいます。







「あの時は驚いたよな〜。いきなり告ってくるんだもん」

「別に僕はそんなつもりじゃ…///」

「でもオレのこと好きだったんだろ?」

「う…」


真っ赤になってしまった僕に、ヒカルが肩に手を回してきた。


「明子さんには分かってたんだと思うよ、オレらの気持ち。さっさと身を固めて碁に集中しなさいっていう暗示だったのかも?」

「よ、余計集中出来ないよ!結婚してからというもの、キミは二人きりになるとすぐ求めてくるし…、しかもすぐデキちゃうし…妊娠と出産の繰り返しで僕は……」


僕はまだ一つもタイトルを取れていない……


キッと既に二冠で余裕をかましている夫を睨んだ。

回された手も剥がす。


「こんなの不公平だ!」

「まぁまぁ、これから頑張ればいいじゃん。オレの希望通り3人も産んでくれてありがとな。感謝してます奥様」

「当たり前だ!」


僕は早速碁盤の置いてある和室にヒカルを引っ張っていった――








―END―








以上、結婚願望話でした〜。
なんとなくだけど…、棋士って結婚が早いイメージがあります。
やっぱ早く身を固めて集中出来るように!なんでしょうか?
これから頑張ってタイトルを!アキラさんファイト!!