●TIME LIMIT〜結婚編〜 7●
今年もまたあの日が来る。
9月20日―――オレの誕生日。
去年は千明だけが祝ってくれた誕生日。
今年は塔矢もいる。
そしてアイツのお腹の中には、またしても芽生えた新しい命が。
夢みたいな現実。
去年の今頃は想像もしてなかった現実だ。
「もうすぐキミの誕生日だね。何か欲しいものある?」
14年前――同じ質問をしたよな。
『お前』
ってオレは答えたよな。
今も変わらないぜ。
オレはオマエが欲しい。
体だけじゃない。
心も。
存在すべてを――
「…一緒にいてくれたらそれでいいから」
ソファに座ってる塔矢の横に腰掛けて、腕を肩に回しながら…そう言った。
だけど横目でオレを睨んでくる。
「それはこっちのセリフだ!もう二度と、僕を置いてどこにも行かないでくれ!」
「行かねぇよ。ずっとオマエと一緒にいる」
「ならそのプレゼントは無効だな。ちゃんと考えてくれ」
「……」
「『子供』もダメだからな。既に先約済みだから」
「わ、わかってるよっ」
塔矢のお腹にそっと手を当ててみた。
すると途端に動き出す。
「すげぇ元気いいな」
「千明の時もこんな感じだったよ」
「へぇ…」
もうすぐ臨月に入る大きなお腹を、塔矢が愛しそうに撫でた。
「千明の時もそんな風に…撫でてた?」
「どうだったかな。でも千明の時はただキミとの約束を守る為に産んだようなものだったから…」
「そっか…。でも…和谷がさ、何とも思ってない男の子供をオマエが産わけない…みたいなこと言ってたんだけど」
「そうだね…。他の人の子供なんて…どんなに頼まれても産まなかったと思う。相手がキミだったから…例え気持ちに気付いてなかったその当時でも、産んでもいいかなって思ったんだ」
「すげぇ嬉しい…それ」
「キミには僕にとってそれだけ価値がある人間だってことだよ。キミがいなかった8年間…僕は囲碁がつまらなくて仕方がなかった」
「塔矢…」
そりゃ…そうだよな。
オレだってそうだもん。
塔矢のいない囲碁界なんか……興味ない。
「ごめんな…」
「謝ってる暇があったら、さっさと僕からタイトル奪取すれば?」
「もちろんそうさせてもらうぜ。名人様」
塔矢は現在三冠。
名人・十段・王座のタイトルを持ってる。
オレが取れなかったその3タイトルを――
「オレが前持ってたタイトル取り返したら、夫婦で七冠制覇するな」
「僕はそのつもりだよ。その為に今のタイトルを取ったんだから」
「んじゃオレも神の一手目指して、また囲碁三昧といきますか」
「うん。キミとまた公式戦で打てると思ったら胸が高鳴るよ」
「オレも♪」
でも取りあえず塔矢は出産が先だな。
あえて聞かなかった性別。
産まれてくるまでどっちか分からないからすげぇ楽しみ!
今度は一緒に育てような。
んでいつか神の一手も一緒に生み出そうぜ。
――これからはずっと一緒に――
―END―
以上、TIME LIMITでした〜。
ヒカルの誕生日話(途中から脱線しましたが 痛)をほぼ1ヶ月かけて書いてみました!
いや〜、長かった…デス(笑)全37話…でしょうか?続き物では最高記録ですね!何か異様に嬉しいです!
起の部分、恋人編ではヒカルが振られて…恋人ごっこを始めて…それが終わるまで、でした。
うちのアキラはどうもヒカルに甘いみたいです。
そしてヒカルのアキラ愛はもう犯罪並みで!ヤバいです(笑)
ちなみに今回舞台になったホテル……はシオサイトのあすこです。
1年に一回のアキラとのデートですからね!もう最高峰のホテルで!ひたすらラブラブいちゃいちゃベタベタです!(笑)
承の部分、離別編ではアキラが妊娠して…ヒカルが失踪して…千明がアキラに再会するまで、でした。
うちのアキラさんはすぐ妊娠しますよねー(笑)
でもそれが女体のポイントといいますか、ただの恋愛話なら通常設定でも書けるわけですから、あえていっぱい書いてます。
ちなみにアキラが1ヶ月ほど留学していた先はドイツかオーストリアでしょうか?もしくはドイツ語圏のスイスか。
一応アリバイ作りの為でしたが、でも実際アキラは語学が好きみたいなので留学自体も楽しんだと思います。産後の体でキツかったでしょうが(^^;)
ヒカルの失踪先は北関東か…下の方の東北かな??とにかく新幹線で2時間弱の距離らしいです(笑)東北新幹線?
そしてアキラとそっくりだったことからあっさり見つかった母の存在。
一体どんだけ似てんだって感じですが、アキラのミニチュアサイズってとこでしょうか(笑)
もうヒカルは紫の上大作戦気分ですね!親子ですが(笑)でも絆は深いと思います。
転の部分、再会編ではヒカルとも再会して…見事くっつくまで!
あぁ、良かった><
無事くっついてくれました。
あとはもうラブラブ一直線ですね!
てことで、最後の結の部分では結婚、そしてその後、でした。
何か遠回りしただけ?って気もしますが……ヒカアキの場合そんなもんですよね!
くっつくのは必然的で絶対。
結ばれるのは運命なのです!(笑)
いやー…周りは迷惑極まりないですが…。
そういえば今回やけに視点が変わりましたね。
こんなに書いたの始めてかも。
特に奈瀬さん視点を書いたのは始めてでちょっと新鮮で楽しかったです。
ヒカルが29歳、30歳ぐらいになる頃にはもうきっと皆結婚してますよねー。
和谷の相手が一番悩みました。
うーん…誰にしよう…。
今更ですが、ヒカ碁って女の子の登場人物少ない…と実感しました。テニプリほどではないですが(笑)
てことで最後になりましたが、ヒカル!お誕生日おめでとうvv